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データ時代に勝ち残るのは、信頼できる企業だけ — 「CES2019」現地レポート②(玉井博久氏)

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米国・ラスベガスで1月9日から開催されている「CES(コンシューマー・エレクトロニクスショー)2019」。江崎グリコの玉井博久氏が広告主の視点から、現地よりレポートします。

CESに出展していないアップルが屋外広告で、来場者の注目を集めた理由

「Data Age」となる2020年代は、デジタルを活用してデータを駆使しパーソナライズされた商品・サービスを提供していくことになることが予想されます。企業の関心がそちらに向く中で、生活者の関心はプライバシーとセキュリティに向かっていくだろうとCTAは指摘しています。

サムスンは自分たちが透明性のある信頼できる企業だと訴える。

今回、CESに出展していないにもかかわらず、CESで注目されている企業があります。アップルです。CESのメイン会場であるラスベガスコンベンションセンターの近くに大きな看板広告を出稿しています。

CESの会場入り口近くに巨大な広告を掲出するアップル。

この広告でアップルは大きく「あなたのiPhoneで起こることは、あなたのiPhoneに留まる」と謳っており、ユーザーのiPhoneの利用データが、誰か他の人に監視されたり、抜き取られることはない、つまり安全に使えるスマートフォンであることを訴えています。

個人情報の扱いに懐疑的な目を向け始めたユーザーの動き

アップルがこの様な広告を掲出した背景には、おそらく昨今の個人情報を取り巻くニュースが起因していると思われます。私たちはこれまでGoogleやFacebookを利用する際に、より安全に使えるようにするためにという理由で、自分の電話番号や他のメールアドレスの登録を促され、特に不審に思うことなく登録をしています。

その一方で、英国議会で公開されたFacebookの内部文書によると、彼らが得たユーザーのデータは、アプリ開発者やホワイトリスト入りした企業に提供されていたというニュースが取り上げられています。その真偽は分からないものの、名のある企業のサービスであってもこれからは自分でセキュリティに関する判断をしなければならなくなるということだと思います。

実際にアメリカの若者の中には、自分の情報が悪用されているのではないかと懐疑的になりGAFA離れを始めている人もいると聞きます。あるNHKの報道番組の取材に答えたアメリカの若者によると「GAFAが提供するサービスを使わなくても。今のところ特に困っていないし、周りもそういうサービスを使うことを考え直す人が増えてきた」とのことです。GAFAの1社であるアップルはそうした兆しに目を向けたのではないかと思います。「自分たちは決してデータを悪用しない企業である」ということを納得してもらわなければならない時代に突入したのでしょう。

次ページ 「『マイノリティ・リポート』の世界が現実になる!?」へ続く