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博報堂プロダクツの「顧客化力」を行動経済学を取り入れて進化させる!

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総合制作事業会社・博報堂プロダクツが掲げる「人を動かし、商品を売り、顧客にする力=顧客化力」。2015年からは、ノーベル経済学賞を近年受賞して話題の「行動経済学」をいち早く取り入れ、次世代の消費マインドの研究に挑む“ゼミ活動”を開始。プロモーションを科学する、その新しい取り組みに迫った。

行動経済学のアプローチで次世代の「顧客化力」に挑む

—行動経済学をベースに「顧客化力」を研究する「顧客化行動ゼミ」がスタートした経緯を教えてください。

博報堂プロダクツ 企画制作事業本部コピー部 クリエイティブディレクター/コピーライター「顧客化行動ゼミ」プロジェクトリーダー 塚原 孝史 氏

塚原:ゼミの準備は2015年から始まりましたが、この活動は博報堂プロダクツが掲げてきた「顧客化力」強化の一環という位置づけです。

元々「顧客化力」に関する取り組みは、プロモーションの結果モノが売れた、つまり「顧客化された事例」について社内で年4回の事例共有会や専用ポータルを通じて共有し、それを業務に活かしてきました。その中で次世代の「顧客化力」のために必要な消費者心理の理解には「行動経済学」が活かせるのではないかと考え、経営陣に“ゼミ”というスタイルをプレゼンして設立に至りました。

—ゼミは具体的にどのように活動を始めたのでしょうか。

塚原:まずは日本の行動経済学の第一人者である明治大学の友野典男教授を講師として迎え、社内セミナーを数回開催して行動経済学を浸透させながら、メンバー18人を募集・選定しました。友野先生に学んだ多摩大学の後藤晶先生にも月2回行動経済学の授業をしていただきました。

ゼミと名付けたのは「社内の若手が皆で学んで新時代の消費の兆しを発見する」という思いを込めているから。私を含めて、せっかく若手のメンバーに機会を与えてもらったので、若者ならではの視点でイマドキの消費者心理の研究ができればと考えました。

後藤:博報堂プロダクツの皆さんの業務知見は経験と実績に裏打ちされているものが中心であったように思われますが、行動経済学の知見と一致する点が多いと思いました。行動経済学を通して社内に蓄積された顧客化の知見をより体系化することができれば、会社の財産になるのではないかと考えています。

デジタル時代の新しい消費活動仮説づくりと実証を重ねる

—活動内容について教えてください。

塚原:過去の事例を分析するよりも、購買行動が激変する今、ちょっと先の未来に向けた消費に対する価値観を提示するような発表がしたいと考えました。そこで「デジタル時代の消費マインドを解明し、行動経済学の新しい効果を発見する。実務での応用を見据えて次世代の『顧客化力』を強化する」という目標を設定。後藤先生の協力を得て、行動経済学からアプローチをする「顧客化力」の研究会「顧客化行動ゼミ」がスタートしました。

後藤:行動経済学の授業を受けてもらった後、3チームに分かれて「イマドキ消費の仮説立て」と「仮説を実証するための調査設計、社内・社外でのグループインタビュー」を行いました。

塚原:ゼミの目的は消費者心理の新しい化学反応を見つけ、さらに実務を通じて実証すること。デジタル時代の消費行動を研究し、新しい行動経済学の可能性を発見するため「ビジュアルコミュニケーションチーム」「C to Cチーム」「EC購買チーム」に分かれて研究を開始しました。それぞれのチームで設定した仮説は新しいビジネスモデルとなりえるようなアイデアもありました。

今回のゼミでは仮説をもとに、具体的な商品やプロモーションのアイデアにまで落とし込むことを重視。次世代「顧客化力」を発見するところまでが研究だという話をしていたからです。

仮説や研究結果は常に社内で共有 次は行動経済学の社内浸透目指す

塚原:ゼミで得られた成果は逐一、レポートにまとめ社内向けに発信。途中経過も含めて、報告するようにしてきました。また社内向けに実施した、友野教授の行動経済学セミナーの中でも、我々の研究成果も発表。社内全体でいかに行動経済学および今後の消費者の買い物動向の気づきを得られるのか、どれだけ広められるかが次のテーマになっていくと思います。

—ゼミに参加して得た成果について教えてください。

大谷内:私は入社直後に参加させてもらったのですが、いろいろな事業本部の方と関わることができ、それが今の仕事に活きていると感じています。さらに研究活動では行動経済学の知見だけでなく、調査の設計、仮説検証など実務に活きる知識も身につけることができました。

橋本:私はデザイナーなので行動経済学やアンケート調査の組み立て方といったことも全く知識がありませんでした。ゼミを通じて、行動経済学の考え方を応用して理論立ててアイデアを組み立てられるようになったことが大きな成果でした。

後藤: 最近、広告業界でも行動経済学に対する関心は高まっています。しかし、小手先の技術として行動経済学を使われ、その真価が理解されていないことに懸念を抱いています。博報堂プロダクツさんではゼミを始め、行動経済学にしっかりと向き合い、かつその知見が社内に根付きつつあります。このまま浸透していけば、行動経済学を理解したうえで、実務に使ってみようという文化が醸成されていくのではないかと期待しています。

塚原:これまで人それぞれの知識や経験、センスや直感で行われがちだった広告制作やプロモーション設計ですが、これからは人の心理や選好を理解した上で新しい時代の消費マインドの変化に対応する力が必要だと思います。デジタル時代の「顧客化力」を磨いていくには、行動経済学は大いに役立つと信じています。まだ一部かもしれませんが、社内に広がって、最終的には行動経済学を消化した上で使いこなせる人がひとりでも多くなり、それが会社全体の「顧客化力」の底上げになると期待しています。

左上)博報堂プロダクツ 企画制作事業本部コピー部 クリエイティブディレクター/コピーライター「顧客化行動ゼミ」プロジェクトリーダー 塚原 孝史 氏
右上)博報堂プロダクツ データビジネスデザイン事業本部 KPIプランナー 大谷内 翔平 氏
左下)多摩大学 経営情報学部 専任講師 後藤 晶 氏
右下)博報堂プロダクツ プレミアム事業本部 プロダクトデザイナー 橋本 千里 氏


お問い合わせ
株式会社博報堂プロダクツ「顧客化行動ゼミ」
〒135-8619 東京都江東区豊洲5-6-15 NBF 豊洲ガーデンフロント
URL:https://www.h-products.co.jp/