動画による社内エンゲージメント向上プロジェクトは、どう進んだのか?(後編)

share

同じ会社でもどの部門が、いつ、情報を得やすいかを分析する

原田:これらのことをまとめると、大切なのはタッチポイントを増やすこと、と言えると思います。イントラを新しくしたということをフェーズ1だとします。このことによってみんながグローバルと同じように、情報を見ることのできるプラットフォームができました。

このプラットフォームに情報が集まり、見られるようになるのがフェーズ2。そのためには、自分にとってプラスになる情報を集めたり、動画にして情報をコンパクトに、あるいはリッチにして見たくなるようにすることであったり、部門によって異なるワークスタイルに合わせて発信する情報の時間帯を変えるといったことが必要です。どの時間にどんな情報や動画を投稿すると、どの部門の人に見られやすいのかといった分析と改善を行ってきました。

前田:すべての情報を全社一斉に流しているというわけではないんですね。

原田:情報は適時適切に扱わないと、その情報を必要としていない人にとっては、何の意味もなしません。

イントラを使うことによって、会社で起きていることがすべての社員に、地域差もなく、全員が同じ情報を持てるようになりますが、それを見てほしい人や伝えるべき人に届ける必要があります。このような工夫を行うことで、これらのツールがエンプロイーエンゲージメントを高める力を発揮するようになると思います。

そうした情報発信の工夫を行っていく中で、「会社のルールが変わるんだけど、どういうふうに周知したらいいだろう」といった相談が来るようになり、「こんな動画はどうかしら」といったアドバイスだけでなく、互いにアイデアも出しあうようになりました。たとえば、交通費の入力計算が簡単な便利なアプリが導入される時は、「動画で使い方を見せた方が理解が早い」と、その使い方を動画で紹介するといったことも行っています。

前田:情報を発信する時の相談がきて、それに対するアドバイスを行うといったコミュニケーションが生まれて、加えてティップスやノウハウの共有が行われているんですね。以前教えていただいたものに「ハドルコンテスト」があったのですが、あれは正に…

北條:ハドルコンテストは部門担当者が動画制作アプリを使って、コンテストの活動紹介や社内のノウハウ共有を行った事例ですね〔※編集部注 ハドルとは、アメリカンフットボールで、次のプレーを決めるフィールド内での作戦会議のこと。そこから転じてTo do確認のミーティングなどを行うスタイルとして使われています〕。

動画で各チームのミーティングの様子を撮影し、どのようにスペースやホワイトボードなどのツールを活用し、どんなスタイルで業務情報の共有を行っているかといった取組や工夫を紹介し合いました。今まではテキストで紹介されていたんですが、それを読んでもわかりづらかったものが、彼らのチャレンジのおかげでそれがとてもよくわかるようになりました。

前田:視覚的に見せられることで、チームによってホワイトボードに使うマグネットやポップアップなどに工夫しているところが随所に見ることができて、自分たちのチームでもあの方法を取り入れたりといったアイデアを得ることができますよね。

原田:動画はナレッジ共有だけでなく、このコンテストのキックオフに始まって、表彰式の様子なども動画で発信しつつ、社内SNSも活用して「今、おきている情報」をライブで届けるということをしました。

前田:表彰された方が嬉し涙を流されている動画を拝見したんですが、関係のない私でももらい泣きしてしまいました(笑)。

原田:動画制作アプリには秒数やカット数があらかじめ指定された定型のテンプレートがありますが、同じテンプレートでも撮る人によって演出の仕方が違うので、できあがる映像がまったく異なり、まさに個性がでており、驚かされるますね。

北條:アプリを使っているユーザーである社員がどんどんクリエイティブになっていると感じますね。完成した動画を見ると、「こういう使い方があったか!」というものがあります。

原田:あと、映像の手ブレを気にする人もいますが、すこしくらい手ブレがあったほうが手作り感というか、ライブ感があっていいと考えています。

取材にご協力いただいた北條秀興さん

北條:一応、手ブレしないようにスタビライザーや、音がよく録れるようにピンマイクを貸し出しているんですが、トレーニング時にその方法を教えると、みんなワクワクするんですよね!

前田:それはプロっぽいというか、テンションが上がりますね(笑)

原田:社内イベントにもそういったものを持っていくと、取材されている感があって、みんなモチベーションが上がるみたいです(笑)。スマートフォンにスタビライザーをつけてピンマイクをつけて、というプロっぽい感じで撮られると、「この動画いつ載るんですか?」となって、さらに動画配信の日をワクワクして迎えるといったことが起きてますね。そうして色々な動画が流れると、その部門の人だけではなくて、他の部門の人が見かけた時に、「うちの会社はこういうことをやっているんだ」ということが視覚的に、それもダイレクトにわかるようになります。

あと、忙しい営業の方からは、「映像を3分間見るのはキツイんだけど、60秒くらいだったらテキストを読むくらいの気軽さで見られるから非常にいい」といったフィードバックがありました。それまでは自社の映像チームがあって、そこで動画をつくってもらっていたんですが、そうすると制限がないので、どんどん長くなっていきます。がんばって3分くらいに短くするんですが、アプリ内の定型のテンプレートを使うと60秒で収めないといけないので、情報の取捨選択もしますし、結果的に良いフィードバックが得られているので、手ごたえを感じています。

前田:ここまでのお話をプ譜の中間目的にまとめてると、「見るべき人に情報が届いている」ということになるでしょうか?


書籍案内
予定通り進まないプロジェクトの進め方
ルーティンではない、すなわち「予定通り進まない」すべての仕事は、プロジェクトであると言うことができます。本書では、それを「管理」するのではなく「編集」するスキルを身につけることによって、成功に導く方法を解き明かします。

次ページ 「人任せだった情報発信を、自分たちの言葉や映像で伝えられるように」へ続く

Follow Us