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動画による社内エンゲージメント向上プロジェクトは、どう進んだのか?(後編)

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社内コミュニケーションをより活発にし、オーナーシップを養う

前田:今ようやく「社員自らが情報を発信するようになり、他の部署の人が何をしているかがわかるようになってきた」中、このエンプロイーエンゲージメント向上プロジェクトの次なる勝利条件、次はこういうふうになっていきたいという姿をどのようにお考えでしょうか?

北條:イメージとしては、この一年でベースができたかなと。こういうツールを使って、こういう情報発信ができるようになったというのが第一弾で、この次、こうなっていきたい思うのは、こうした情報発信の在り方が当たり前になり、それが全社的に広がり、デジタルツールや動画を活用して情報発信する文化ができあがるというような・・・

原田:根付くということですね。今、こういう状態になったとはいえ、動画を活用して情報発信をする部門とそうではない部門があります。目指すゴールは、社員の皆さんが、何か情報発信したい時に自ら「こういう方法があるよね」「こうやって表現できそうだね」と考えてコミュニケーションできる状況ではないでしょうか。そうして、社内のあらゆる情報がイントラに集約されていき、全員がそれらの情報を知っている、そして必要な行動を自らがとる状態を目指したいですね。

あと、もう一つ大事なこととして、オーナーシップが会社の重要なカルチャーとしてあります。私たちの取り組みがこのオーナーシップを育てることに寄与しているかもしれません。私たちは「One MetLife」と言っているのですが、ここから先は、メットライフの一員として地域・部門関係なく、ここに来ればみんなが等しく情報を得て、コミュニケーションができるようにしたいですね。

それをまずは国内で進めながら、せっかくグローバルで同じプラットフォームを使っているので、最終的にはアジアだけでなく全世界にひろがる弊社の社員同士でコミュニケーションできるようになってくると、この会社ならではのグローバルなダイナミックさなども、より体感できるようになるのではないでしょうか。

前田:このプロジェクトは広報やコーポレートコミュニケーションに関わる人々にとって、とても参考になるナレッジが詰まっているのです。ある意味、理想的なマーケティングといいますか、どのコンテンツの視聴率や、どのユーザーの反応率が悪ければ、次はこうしてみようという仮説を立てて実行したことが当たっているという印象をすごく受けました。

北條:このプロジェクトを進めていくなかで、こうしたらもっといいんじゃないかというか、やってみてあまり良くなかった経験から改善していくことの方が多くて、最初からクリアなゴールが見えていた訳ではありませんでした。

前田:試行錯誤を何度も何度も繰り返していては、
関わる人々のモチベーションが落ちてしまいますが、筋のいい試行錯誤、仮説の立て方、プ譜でいえば中間目的の設定とそれに連なる施策を打ったということが、広報以外のプロジェクトに携わる人々にとって、非常に参考になるものだと思います。

また、一人一人の社員が自ら情報を発信するというのは、社内広報業務にかぎらず、製品開発担当者や商品企画担当者が、最もその製品に関する知識や想いを持っている人間として、社内外への情報発信を広告・広報宣伝部といった専門部署に任せきりせず情報発信するという、新たな可能性も孕んでいるのではないかと感じました。
今回は、貴重なお話を頂き、本当にありがとうございました。

 

【今回のインタビューから得られたプロジェクトの教訓】

● ツール導入者は、社内利用浸透のため、まずツール利用に対する不安を取り除くべし。
● ツールを導入(インプット)したら、その成果を発表・共有する場所を設けるべし。
● 情報は制作する手段、発信する手段、受け取る手段をセットで整えよ。

 

メットライフ生命保険株式会社
コーポレートコミュニケーション エンプロイーエンゲイジメント デジタルチャネルマネージャー
北條 秀興

大手外資系金融機関や外資IT企業でデジタルスペシャリストとしてデジタルマーケティングやブランディングを指揮。
メットライフ生命ではグローバルオフィスに先駆け、日本オフィスでのデジタルチャネル刷新プロジェクトをリード、最新のイントラネットや社内向けSNS、動画制作スマホアプリ、デジタルサイネージなどのデジタルチャネルの導入と運用を指揮。

 

メットライフ生命保険株式会社
コーポレートコミュニケーション エンプロイーエンゲイジメント ディレクター
原田 栄美

プロ野球球団のマーケティング担当を経て、PRエージェンシーにて外資系ホテル、外資系消費財企業をはじめ、国内企業や一般社団法人などのクライアントに広報戦略、ブランディング、イベントプロデュースなど戦略的なコミュニケーションを提供。
メットライフ生命ではエンプロイーエンゲージメント向上のため、社内だけでなく、社外に対し効果的、かつ戦略的なコミュニケーションを行う。

 


書籍案内
予定通り進まないプロジェクトの進め方
ルーティンではない、すなわち「予定通り進まない」すべての仕事は、プロジェクトであると言うことができます。本書では、それを「管理」するのではなく「編集」するスキルを身につけることによって、成功に導く方法を解き明かします。

 

『予定通り進まないプロジェクトの進め方』 対談バックナンバー
プロジェクトは発酵させよ!「発酵文化人類学」の著者が語るその意外な共通点とは(2018.05.22)

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