外発的動機付けをプライドに変える
沼田:僕がやってることはだいたい同じなんです。最初は外発的動機付け、外から刺激を与えて、ご褒美で動かすんです。世の中にはご褒美はよくないという方もいらっしゃるじゃないですか。内側から出てくるものを引き出しなさいというんですけど、最初は外のほうが早いし、楽だと思うんですよ。やってるうちにそれをしれっとプライドに変えるんですよね。
だって、帝国ホテルの件も、最後のほうはお金が十分に貯まったから「もういいんじゃない?」と言ったら、「いやいや自分で賞を取っていくのは違うから」というんですよ。俺は今おごられているだけだからと。
中村:自分も賞金を取って行きたいと。
沼田:「それは味が違うね」という話をするんですよ。
中村:これは家で僕もやってるんですけど、テストの点がよかったら、または結果じゃなくて努力で、新しい本を読んだら、ピアノを練習したらお小遣いをあげますと。そういうのはダメなんですか?
沼田:僕個人的にはいいと思いますよ。ただ、それって続かないんですよ。たとえば、小さい頃に歯磨きしたらシール、8時までに寝たらシールをあげるじゃないですか。これ2週間ぐらいで破綻するんですよ。
中村:そうなんですよ。はじめはうれしくてシール貼るけど、何なんだろうなと。
権八:貼るところないしね、もう。
沼田:いらなくなるから、飽きる前に自分からそれがやりたくなる仕掛けに変えていけばいいんです。キャンプのときに火をつけるとしたら、外発的動機付けは新聞紙なんですよ。新聞紙を燃やしてるだけなんです。早く薪に火をつけておかないといけないんです。
権八:外発的動機をうまいことプライドにすり替えるとおっしゃるんですけど、それが難しい気がするんですよね。
沼田:ただ家でやるよりも学校でやったほうがちょっとやりやすいんですよ。
権八:それは競い合うからですか?
沼田:競い合うし、みんなの中で頑張ってるのもあるし、褒められる可能性も大きいし。だから僕は学校だからそれを使ってますけど。そのへんを家にアレンジしたらどうなるのかなと書いてみたのが今度の本です。
中村:前に少し先生に聞いたかもしれないんですけど、バスケのルールをちょっと変えてみたみたいな話も面白いですよね。
沼田:小学校の体育ってバスケやると間違いなくバスケ部の独壇場になるんですよ。だってドリブルはものすごい技術が必要じゃないですか。バスケ部だったらバスケ好きで入ってるからいいんですよ。だけど、学校の体育はバスケ好きだからバスケやってるわけじゃないんですよね。
これみんなどうしたら楽しくなるかなと思って、うちの学校の久保先生の授業を見たら、彼はドリブルをなくしてたんですよ。タッチされたら止まってパスかシュート。それを見て面白いなと思ったんですけど、それでも結局うまいやつがバンバン決めるから、「全員決めるにはどうしたらいいかね」と6年生と話しまして。「決めたら退場にすればいいんじゃない」という話になったんです。
権八:なるほど。
沼田:面白いねと、実際にやってみたらめちゃくちゃ面白くて。シュートを決めると退場するんですよ。選手交代で次入るじゃないですか。エースがいなくなるからボールが回らないんですよ。負けるんです。早く入れろ、入れろと言っても、うまくない子たちは入れられないから、結局どうなるかというと、うまい子がボールを回すだけ回して、最後スクリーンかけて止めて、打てと。
中村:あまりうまくない子にパスして。
沼田:だから苦手な子はゴール前で待っていて、ロングパスが飛んで来たら取って入れるんですよ。今まで馬鹿にされていた子が得点を決めて、みんなから笑顔で送り出されるんです。
権八:めっちゃいいじゃないですか。
沼田:これはめちゃくちゃ面白かったですね。
<END>
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