【前回コラム】「企画を立てるなら、エゴよりイマジン」はこちら
第11回 販促コンペの一次審査通過者は、月刊『販促会議』9月号にて発表いたします。
換気のすすめ
たとえば冬の日に、こたつに入ってテレビを見ながら、
みかんでも食べているとします。
ふと気づけばもう夕方で、そこへ家族の誰かが帰ってきてこう言います。
「空気こもってるから、窓開けたほうがいいよ!」と。
あなたはとてもウンザリした気分になります。
ウザいなあ…立ち上がるのもめんどくさい…。
ぎゃあすかうるさい家族に押されて、
餅のように膨れた頭をなんとか持ち上げながら、えいやっと窓を開けると、
冬の清冽な空気が一瞬で部屋に流れ込んできます。
それは火照った肌に心地よく、たった一呼吸で身体の奥まで洗われるようです。
たった数秒前まで、換気するのがあれだけめんどくさかったのが嘘のよう。
そしてあなたはやっと気づきます。「部屋の空気、こもってたんだなあ…」と。
初めはキレイでも、少しずつ淀んでいく空気に気づくのは、とても難しい。
自分にとっては問題ないように感じられても、
外から来た人には“淀み”がわかるということはよくある話。
だって、自分にとってはそれが「ふつう」なのだから。
企画も同じです。
どれだけ本人が一生懸命取り組んでいたとしても、
“心地いい部屋”の中から一歩も出なければ、次第にその“部屋”の空気は淀んでいく。
しかも脳が慣れてしまうので、なかなか淀みに気づきません。
淀んだ空気を、換気してリフレッシュすること。
これがいい企画をつくるための必要条件の一つであると、僕は考えています。
換気方法のひとつとして、たとえば、「誰かに意見をもらう」というやり方があります。
僕が博報堂に入社した頃、とにかく毎日たくさん企画することが仕事でした。
ほとんどの新人と同じように、どんどん没になっていくわけですが、
「つまんない」という感覚を言語化できる先輩たちが、本当にまぶしく見えました。
「っていうかさあ、つまんないじゃん、これ」。
言われた瞬間、毎度、はっとしました。
なんでもっと早く自分でそこに気づけなかったんだろう。
めちゃくちゃつまんないって、わかってますよ、そんなの…。
わかってるけど、なかなか自分では、気づけないんだよなあ…。
その、はっとする感覚が、「淀んだ部屋を換気する瞬間」によく似ている。
そう思うのです。
脳が換気を必要としているというシグナルもあります。
たとえば、「早く終わらせたい」とか「俺は向いてない」とかいった気持ちです。
そこで「あっ、なんかつまらないことにこだわってたな」と気づいて
空気を入れ替えられるなら、実のところ環境はどうであろうが関係ありません。
さあ、まずは窓を開けることからはじめてみてはいかがでしょうか。
近山 知史氏
TBWA\HAKUHODO
Disruption Lab ECD
早稲田大学政治経済学部政治学科卒業 2003年博報堂入社。2010年TBWA\CIAT\DAYで海外実務経験を経て2011年よりTBWA\HAKUHODOで現職。特に映像コンテンツを得意領域としているが、マーケットデザインからコンテンツ制作まで領域は多岐にわたる。カンヌライオンズゴールド、アドフェストグランプリ、ACCグランプリなど国内外で受賞多数。2015年クリエイターオブザイヤー・メダリスト。2016年キャンペーンアジア クリエイティブオブザイヤー受賞。
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