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コラム

いい企画のつくりかた

『風姿花伝』に学ぶ企画脳を鍛える方法

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【前回コラム】「企画は、明るく・楽しく・元気よく!」はこちら

「いい企画」をつくるためのヒントを「販促会議企画コンペティション(販促コンペ)」の審査員に聞きました。

販促会議5月号にて、第12回 販促コンペの課題を発表しました。

提供=123RF

「初心忘るべからず」

これは観阿弥・世阿弥が好んで使ったことばです。ある能楽師のインタビュー記事を読む機会があったのですが、能楽師はこのことばを次のように説明されています。

初心の「初」の字は、左側が「衣」、右側が「刀」で、もともとは着物を作るときに、布地に刀(ハサミ)を入れる、その最初を意味する語。どんな美しい布地でも着物を作るためにはハサミを入れなければならない。それと同じように、人は進歩をするためには、過去の自分を切り捨てなければならない、これが「初心」の意味です。

考えたアイデアが突き抜けきれていないと感じたときには一度アイデアを練り直すなど、一歩踏み出す勇気と覚悟が必要なのは企画も同じですよね。

いつも企画をつくるときに、「一歩を踏み出せているのか?」を自分に問うと、これはなかなか一人では難しいことがわかります。私も多くの周囲の人たちに手を差し伸べてもらって進んでいることばかりです。年齢関係なくダメ出しをしてくれる人、褒めてくれる人、示唆をくれる人、などなど行き詰まったときに相談にのってくれる大切な人たちにはいつも感謝しています。

とはいえ感謝しているばかりではいられません。そこで私は、普段から企画脳を鍛えることを意識して行動するようにしています。

世阿弥が残したとされる能楽の秘伝書『風姿花伝』には、

「物まね」  
…役に扮すること

「秘すれば花」
…秘伝の芸を持っていること。ただ大事なときに出さないといけないので秘密の芸は一つでは足りないこと

「離見の見」 
…観客席から見た自分の姿を意識することで本当の自分の姿を見極めること

など、能の心得が記されています。

これを企画の心得として置き換えてみると、自分が近づきたい人の企画や著書(つまり秘伝書)で企画の型を覚え、専門性を増やす。そして考えた企画が生活者に動いてもらえそうか検証し続けることは、企画脳を鍛える一つの方法ではないかと思います。

通勤中に目にはいった商品を題材に、その場で企画を考える習慣をつけると企画脳の瞬発力も高まります。でも、正直なところはじめはつらいものです。それに昨今の状況であれば、仲間と一緒にその日のニュースでみた情報を題材に制限時間を決めて考える。そして、Web会議などのオンライン環境で、お互いに企画を見せ合って思考の癖を把握し合うほうが毎日続くかもしれません。

「初心忘るべからず」

大事にしたい言葉です。
みなさんもこの言葉を頭の片隅において企画を考えてみませんか?

博報堂
マーケティングシステムコンサルティング局 インタラクティブディレクター/行動デザイン研究所 研究員
石毛正義氏

国際博覧会や文化施設など空間デザインプロデュース業務を担当後、本質的な課題解決を目指しマスから店頭まで一気通巻したプランニング・プロデュース業務に従事。現在は顧客基盤を支えるデジタルUX/UI設計、リアル体験とデジタル体験を行き来する統合コンサル&プロデュース、クリエイティブ開発などを通じ新たな価値創造に取り組んでいる。販促会議賞、GLOBES Awards 、Cannes Lionsほか受賞。

 

第12回 販促コンペの特設サイトはこちら