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サイン看板にかかるコストが約8分の1に ガストが取り組む新素材の活用

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店舗内外に掲出するサインボードなどの販促物には、多くの側面で削減が求められる。制作コストはもちろん、輸送費や在庫スペース、廃棄コストなどだ。そうした課題を解決する素材が登場した。

 

サイン看板にかかるコスト 約8分の1に圧縮可能に

女性3人で持ち運びおよそ15分で取り付け

ファミリーレストラン「ガスト」などを運営する外食大手のすかいらーくレストランツはノンアルミ複合板「NOALX(ノアルクス)」に切り替えることで、制作や掲出にかかるコストをおよそ8分の1に削減しようとしている。

「従来と比べ、掲出するのに社内でも対応でき、素材も軽いので輸送費を下げられる。貼るのに技術を要しないので、各店舗へのアナウンスも容易になる実感があります」と、すかいらーくレストランツのセールスサポートチームリーダーを務める大西大介氏は話す。

従来型のアルミ複合板であれば、上から塩ビシートをきれいに貼りつける必要があった。手慣れていないと空気が入ったり、シワが寄ったりしてしまうので、パートタイマーやアルバイトなどに任せると見栄えが悪くなりがちだ。そこで、業者に頼むケースが多い。

一方の「NOALX」は、女性社員3人が看板自体を丸めて持ち運び、現地で広げて、工業用両面テープでそのまま貼り出すことができた。

「かかった時間は、元々あったサインを剥がし、キレイにするのを含めて、大体15分ほど。店頭スタッフは女性が多いのですが、『これなら店舗に送って掲出を頼めそうだ』という実感がありました」(すかいらーくレストランツ セールスサポートチームの竹松千穂氏)

設置の仕方が簡単だと、説明するのにかかる手間も省ける。

ほかにも、全国各地にある運営店舗の駐車場に貼り出す案内に「NOALX」を活用する方針だ。駐車場の掲出物では落下時などへの対応も求められる。

「強風時に万が一外れてしまうようなことがあった場合でも、軽量で柔らかい素材であれば被害を最小限に抑えられると考えています」(大西氏)

イン看板に示した営業時間を変更するケースも出てきている。

「内照式の場合、塩化ビニル樹脂など素材によっては上から貼ると夜間は光が透けてしまうのですが、『NOALX』は99%遮光と聞きましたので、期待が持てます。店舗の看板もブランドの重要な要素と考えています」(大西氏)

看板素材の見直しで削減したコスト分は別の顧客満足度向上のための施策に割り当てるという。

焼却時に有毒ガスやダイオキシンが発生しない

PET素材のため環境配慮の燃料化も視野

(写真左から)すかいらーくレストランツ セールスサポートチームの大西大介リーダー、同・柴崎香織氏、同・竹松千穂氏、藤田産業の河野一昭・取締役副社長。

費用や重さ、在庫スペースを圧縮できる「NOALX(ノアルクス)」の秘密は、素材にある。PET(ポリエチレンテレフタレート)の複合材を用いているのだ。

開発した藤田産業はアルミ複合板を主軸とするメーカー。これまでは「いかに強く、硬く、変化しないという点に力を注いできました」と話すのは、同社の河野一昭・取締役副社長だ。

「しかし、想定外の突風や地震などは免れません。落ちて人に当たってもケガをさせないよう、柔らかく、丸められる軽い素材として、発想を180度転換して開発したのが『NOALX』です」(河野氏)

素材をPET 複合材にした結果、廃棄時のコストも削減できた。つまるところ、環境への負荷を軽減できたのだ。

アルミ複合板に塩化ビニール樹脂シートを貼り付ける手法の場合、撤去後の廃棄物の量が多く、コストも大きくなってしまう。しかし、PET複合材であれば、廃棄費用を減らすことも容易になる。

環境省が進める「プラスチック・スマート」という追い風もある。同キャンペーンは海洋プラスチック問題の解決を目指し、ポイ捨てや不法投棄撲滅のほか、「3R」(削減・再使用・再生)、代替素材の活用を促すというもの。

藤田産業が想定しているのは、使用後の「NOALX」と木くずや紙くずを配合して生成する固形燃料「RPF」(廃棄物固形燃料)だ。乾燥や暖房、発電などの用途に供される。

「PET複合材は焼却時に有毒なガスやダイオキシンが発生しません。さらに、『プラスチック・スマート』のような後押しを受け、RPF活用のような廃プラスチック対策が進めば、総合エネルギー効率の向上と化石燃料の削減が両立できます」(河野氏)

色変化もインクジェット媒体と同等ビジュアル・アイデンティティを守る

こうしたサインは通常、アルミ複合板の上にインクジェット印刷媒体を貼り、さらにラミネートを重ねる必要があるが、「NOALX」は工業用両面テープでそのまま貼り付けられる簡便さが特長のひとつ。

NOALX」は耐久性の面でも、アルミ複合板+塩ビシートと同等の性能を有している。実験で太陽光相当の光量を照射した結果、塩ビシートは商品によって3年で変化する商品もあるが、「NOALX」は推奨ラミネートとのセットで5年間、ほとんど変化がなかった。

「一般的なインクジェットメディアは、長期間太陽光に当たると茶色味を帯びてきてしまうのが難点です。『NOALX』であれば色の鮮やかさを長く維持できるという特徴があります。ブランドカラーやロゴなどのビジュアルアイデンティティの一貫性を保つためには、こうしたケアも欠かせません」(河野氏)

店内サインにも。軽量なため面ファスナーで取り付けられ、時間帯ごとに貼り替えるといった活用が想定される。


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藤田産業株式会社 SD営業部
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