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若手トップクリエイターが語る! 企画のタネの見つけ方 JAAA若手大賞トークセッション

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究極のエンゲージメントマーケティング「MCU」

-世の中のコミュニケーションの中で、「これはやられた…!」と思った事例、モデルケースとしている事例はありますか?

尾上:好きなのはプーマのソーシャルです。コンセプトが「ミッドナイトアスリート」というやつで。たとえば、ナイキはイメージとしては活躍の瞬間、逆にアンダーアーマーは闇の瞬間を描いてたりします。一方でプーマはというと、若者たちが夜中にビリヤードやボーリングをしたり、酔っぱらって走ったり、これら含めて「ミッドナイトアスリート」とする考え方。これは素晴らしいなと思いました。一気にゲームが変わっちゃうような考え方で。

畑中:僕の場合は、桃太郎の新聞広告です。「ボクのおとうさんは、桃太郎というやつに殺されました。」という1つのコピーですが、これが示したもう1つの視点の存在は、いま中学校などで「多様性」の学びとして道徳で取り上げられているんですよ。決して新しいものを作るのではなく、桃太郎の昔話のように今まであったものを、別の視点から見ているだけ。

『絶メシ』もそうで、今まであったものをなにも変えていないんですよ。「これは絶メシです。希少です。」って言うだけで人が動く。このテコの原理みたいな感じが好きで、この桃太郎のメッセージからはそれを感じます。

尾上:あるヒーロー単体でなく、多様なキャラクターによる多様な視点って強いですよね。マーベルコミックスみたいな。

畑中:MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)は、僕が一番崇拝しているマーケティングです。たとえば、ハリー・ポッターの場合、次の作品まで3、4年くらいスパンがあるので、その間に作品へのエンゲージメントが下がっちゃうんですよ。

でもマーベル作品は、今回はドクターストレンジ、次はブラックパンサー、そしてアベンジャーズというように、同じ世界で行われている別の物語が次々に公開されていくので、作品へのエンゲージメントが下がるどころがどんどん上がっていく。さらにそれが何作も公開されていき、蓄積されていく。ここまで世界を巻き込めて、エンゲージメントを高められる仕組み、これが究極のコミュニケーションだと思う。

尾上:それぞれの時代とテーマに合わせて、アップデートしながら繋げていく。この設定はすごいです。

若者よ、インプットしたものを形にせよ。

-最後に本日お集まりいただいた「若手」のみなさんへメッセージをお願いします。

畑中:若手のうちは、賞は狙った方が良いと思います。肩慣らしというか、野球で言うと160㎞のストレートを投げる肩をつくるために賞を獲ることは大事で、それに挑戦できるのは若い頃しかないと思います。体験談として、自ら仕事をつくってきて賞を獲れたので…。どんどん仕掛けていったほうがいいと思う。

尾上:僕も賞は応募したほうが良いと思います。逆に僕は全然獲れない側だったので、獲れなかったときに、「賞じゃねぇ、本業で返してやる。」みたいな奮起の材料になるというか。全部が勝負みたいな考え、すごく大事です。賞もそうだし、一回ごとの打ち合わせもそうだし、企画者だとしたら、企画で勝つ以外無いというか。立食パーティーで人気者とかになってる場合じゃない。というか出来ないし・・・。

いずれにせよ、若い自分の能力をいかに効果的に運用するか、というのを意識すると良いのかなと思います。あとは、ジャンプ+の『青のフラッグ』を読んでください。広告の速度では出来ないことを成している素晴らしい作品です。

-若手大賞は2019年10月31日まで応募を受け付けています。みなさんぜひチャレンジしてみてください!

高橋鴻介

1993年12月生まれ。東京都出身。慶應義塾大学環境情報学部卒。企業でプランナーとして働くかたわら、発明家としても活動中。プロダクトデザインを主な活動領域とし、ペットボトルのキャップ部分をネジとして再活用するプロジェクト「CAPNUT」や、墨字と点字を重ね合わせた書体「Braille Neue」など、日常に浸透した文脈を応用し「あたらしい普通」となるデザインを模索している。

 

尾上永晃

2009年電通入社の平社員。企業広告からまちづくりまで臨機応変なコミュニケーション設計をしている。最近の主な仕事は、ネットフリックス「リラックマとカオルさん」/スクエアエニックス「ドラゴンクエストウォーク」/日清食品「チキンラーメン アクマのキムラー」/東急電鉄「池上線フリー乗車デー」など。ACC・アドフェスト・電通賞グランプリ、TCC新人賞やカンヌライオンズ、メ芸など受賞。海外賞審査員なども。
『青のフラッグ』くらい時間をかけて人の意識に働きかける仕事がしたいと思っている。

 

畑中 翔太
博報堂ケトル クリエイティブディレクター

2008年博報堂入社。
プロモーション局に配属後、イベント制作やキャンペーングッズ制作の業務に従事。
その後、コミュニケーションのど真ん中を目指し2012年に博報堂ケトルに出向。目指すのは、「究極のなんでも屋」。
これまでに国内外150以上のアワードを受賞、Cannes Lions 2018 ダイレクト部門審査員、2018 クリエイター・オブ・ザ・イヤー メダリスト。