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若手トップクリエイターが語る! 企画のタネの見つけ方 JAAA若手大賞トークセッション

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【第二部】尾上永晃さん×畑中翔太さん トークセッション

-早速ですが、Braille Neueを見て、どう思いますか?

畑中:誰かのために何かしたいとか、してあげようという感情ではなく、純粋な疑問を持ち、たまたま視覚障害者の方と出会って、アイデアのタネを発見した。それこそ根っからのプランナーなんだと感じます。

尾上:しかも彼の素晴らしいところは、これでたとえば賞とか獲っちゃったらそこで一旦取り組みを止めそうなものを、継続してデザインを調整したり、他の言語にも対応させたり、相当腰を据えてやっているところにリアリティを感じます。若い頃に考えたアイデアなんて、「思いついた→世に出た→はい次!」みたいになりがちなのに。そこは見習いたいです。畑中さんは過去に何かフリーワークされてました?

畑中:入社して5年くらいは、賞を獲ることをある意味ライフワークにしていました。もともとはプロモーションの部署にいたので、キャンペーンの景品とかを作っていましたが、同期がどんどんコピーを書いたり、CMを作ったり……ちょっと焦りを感じてました。

尾上:そのフリーワークは自分でアイデアを考えて、クライアントを見つけたんですか?

畑中:初めてカンヌで賞を獲ったのが、海上自衛隊の敬礼を訓練できるiPhoneアプリのキャンペーンでした。アイデアがあってもそれを実現できるクライアントさんがいなくて、そこで、手を挙げればどんな企業でも参加できる防衛省のWebサイト構築の競合入札にエントリーしました。公募なので全部で30社以上のエントリーがあった中から、なんとか競合を勝ち獲れました。それが2年目のことですね。そのWebサイト構築の裏で、賞を獲るような企画に乗ってくれた人たちを集めてなんとか実現しました。

尾上さんは、そういうのありました?

尾上:好きでよく見ている『オモコロ』っていうウェブサイトがあるんですけど、そこで数年前にマンガを描かさせてもらっていました。で、仕事が全然パッとしないのでこっちで何か出来ないかと「いいね」欲しさに狂ってしまう人の漫画を描いたら、それがけっこうウケました。みんなのインサイト的な部分を表現すると、こんなにウケるんだと思って。そのとき感じたことが今でも仕事に活きてます。

畑中:賞とかじゃなくてネットバズみたいな。

尾上:逆に賞を獲ろうと思っても全くひっかからないし、狙えば狙うほど何か向こうから見透かされる感じがあって全然ダメでした。

畑中:そういう意味では、まったく邪念のないBraille Neueは素晴らしいと思います(笑)。

左)畑中さん、右)尾上さん

若手トップクリエイターが語る!企画のタネの見つけ方

-いい企画を考えるために日々意識していることや、インプットの仕方を教えてください

畑中:ヤフーニュースに対するコメントを見て、世の中のグッド/バッドの空気を見ています。今どんなことがグッドで、どんなことがバッドなのか。そんなソーシャルの空気をいつも感じようとはしています。例えば、有名人の結婚のニュースが報道されたら、なんであの人は祝福されて、逆になんであの人はそんなに祝福されないのかとか。そんなふうに世の中の空気を常にアンテナを張っていることは大事だと思います。

尾上:ヤフコメ(笑)。胃もたれするのであんまり見ないですが、その感覚はよくわかります。僕の場合、日々の仕事は、これまで好きだったものとか気になることを全部ぶっ込んだみたいな感じになってます。無理してインプットしようってよりは自然に気になるものを重視するというか。『リラックマとカオルさん』とか日清食品さんの案件などは、これまで培ってきたものが企画になっていますね。

畑中:あと若手の皆さんだったら、自身のインプットのために一度カンヌには行ったほうが良いです。僕はカンヌに行ったら、企画の「箱の開け方」を吸収しています。企画をするとき、世の中に既にあるものとは違う「箱の開け方」をしようとすると企画がジャンプします。たとえば、世の中がいつも正面から開けようとしているアイデアの方向性を後ろ側や横側から開けてみるとか、そういう感覚ですね。

尾上:『絶メシ』はどういうインプットからきたんですか?

畑中:よくネットの記事に「地元に愛されたお店○○が閉店。惜しむファンが長蛇の列。」みたいなのあるじゃないですか。今まで気にも留めていなかったのに、いざ閉店といわれると行きたくなるみたいな。そういう人の行動心理をとらえたらどうだろう?と思い企画にしました。

ポイントは、数あるグルメサイトからどう差別化するかというところ。高崎にある有名な定食屋があるんです。一日で2時間半しか開店しない上に、メニューが2種類しかないんですよ。さらに店主は非常にユニーク。そういう都心からちょっと離れた人たちの感度って、ソーシャルと相性がいいのではと思い、それらを引き出そうと思いました。

尾上:観光って、メジャーなものがどんどんメジャーになる。勝ってるやつがどんどん勝っていき、負けていく人はどんどん淘汰されるようなルールで定型化されがちなので、そこに何というか、負けすらも気にしていない人たちを取り上げるっていうのが新しい構造。それがまさに、「違う箱の開け方」なんじゃないですかね。『絶メシ』っていうのがまたキャッチーですよね。

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