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TCC新会長・新副会長 谷山雅計×福里真一×箭内道彦が語る「これからのコピー、これからの広告」

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コピーライターに質問 その2【映画監督/作家:西川美和さん】

西川:映画監督の西川美和です。

私は広告のコピーとかプランニングっていうのをほとんどしたことがないというか、1回もしたことがないので、ちょっと私が質問するのも僭越なんですけれども。絶対に使わないようにしている言葉があったり、言い回し、もしくは絶対にやらない手法というのがおのおのにお有りになれば教えてください。

また、広告を作る人たちにとって、本当に欲しいとか、本当に憧れる賞になっていくにはどんな工夫が必要だと思われますか。


 

佐倉:TCC賞をもっと憧れる賞にするにはどんな工夫が必要かっていうことで言うと、トリックスターの箭内辺りからちょっと振ってみたいなと思ってんですけど、どうでしょう。

箭内:いやいや、トリックスターじゃないんです。僕、本当に総会はもちろん出たことないですし、同期の会の名前も知らないです。で、TCCに応募もしないって基本決めていて。

谷山:昔はしてたでしょ。

箭内:昔はしてました。昔してました。

福里:樹木希林さんの富士フイルムで受賞もしてますよね。

箭内:そうそう。あれは取りたかったんだよ。あれ1個だけ、あの時。希林さんと一緒に、連名で。

福里:「写真は家族の形を整える」っていう名コピーで。

箭内:そうそう。そういじめないでくださいよ。

谷山:その前に新人賞取ってるじゃん。だから、会員になってるし。

箭内:いや、否定してるわけじゃないです、会長。僕は谷山派ではないです。谷山さんの指名を受けましたけど、谷山派ではなく。やっぱりTCCってどうなんだろうって、会費を払ってる外側からずっと見てて、格好悪いなって思うこともたくさんあって。で、谷山さんに急に電話でこのことを頼まれてというか、「やって」みたいな感じだったんで。

何ていうんですかね、自分がそういうコピーライターでもない、会費を払ってるだけの、何かTCCって気持ち悪いとこあるなって外側からずっと思ってた人間が、何かできることが1つ、2つあるならそれをやってクビになろうって思って、これを僕は引き受けました。

憧れる賞にするには、僕のもちろん私見ですけど、いいものを受賞させることを増やそうってし過ぎたような僕は気がしてます、TCC。

谷山:そうですか。

福里:なるほど。

箭内:それによってCMプランナーたちが流入してきた。僕はやっぱ、コピーライターのクラブであるべきだと思います。だから、たとえばCMプランナーには会員資格をご返納いただくとか。僕も辞めなければならなくなりますが。(会場から笑)

福里:なるほど。

箭内:で、ほんとに……

谷山:取りあえずこの場のうけで言ってない?

箭内:いや、言ってない。審査員を辞退したのもそうですが、やっぱりCMとコピーが、コピーライターズクラブっていう名前に同居してることにずっと違和感を感じていたんです。

福里:どの人がコピーライターで、どの人がCMプランナーかっていうのは?

箭内:よく分かんない。分かんないけど。

福里:箭内さんが全部決めてくれないと。

箭内:知らない、知らない。知らないっす。もう帰りたいです、僕。本当に。こんなにアウェーなとこに何でこの歳で来なきゃいけなかったかって。

谷山:でもこの人、実は数年前から「何年か審査員を断ってたら、みんな投票してくれなくなっちゃった。そろそろ戻りたい」って言ってたんですよ。

箭内:いや、だってほら。

谷山:言ってたじゃないか。

箭内:いろんな人と会えるし。すごくいい場所だけど、もう当選しないっていう。
あれは、何人かのCMプランナーやCDと話して、揃って辞めたんです。

福里:でも、憧れる賞にするにはっていうのは?

箭内:そこ何なんだろうっていうね。

福里:まあ全部CMプランナー辞めさせるっていうのがいいかどうかは別として……

箭内:それは確かにちょっとうけ狙いもあったかもしんない。ごめんなさい。

福里:別として、あれですか。もうちょっとコピーというものを突き詰めた賞になったほうがいいっていうご意見なんですか?

箭内:クリエーティブディレクターって言うより、コピーライターって言ったほうが、「あ、そうか」って言われるっていう話が出てて、すごいすてきなことだなと思ったし。コピーライターって格好いいなって思って。

福里:でも、箭内さんが、そういう意見なのは意外ですね。意外と。

箭内:意外ですか。

福里:意外と意外ですね。コピーなんかに限定しないで、もっと広く広告を捉えるべきだ、みたいな意見のこともあり得るじゃないですか。

箭内:でも、僕やっぱりTCCっていうのは一部だと思うんですよ。広告全体ではない。

福里:そうですね。私も、それはすごくそう思います。

箭内:広告界全体がこれからの広告がどうあるべきかを本当に考えなきゃいけないときで。TCCの中で審査どうするか。何て言っとけば炎上しないかなみたいな、そういうときじゃないんですよ、今。だから、もっとADCやACCや電通や媒体とも、ちゃんとこれからの広告がどうあるべきかを話さなきゃならないタイミングじゃないかなと。

谷山:会長になる?

箭内:いや、ならないです。ならないです。外側でやります。

コピーライターに質問 その3【女優/歌手:大原櫻子さん】

大原:東京コピーライターズクラブの皆さん、こんにちは。大原櫻子です。私コピーライターというか、キャッチコピーですごく日常で印象に残ってるのが、セブンイレブンの「さて!カフェラテ」っていう広告が一番印象に残っております。何て言うんでしょうね。理由は本当に分からないんですけど、目に入ったときに「わ、何かすごいうまいな」っていう。「さて!カフェラテ」、なんか飲みたいなって、その広告を見ただけでぐっと心をつかまれて、すごく不思議だなって感じております。

そんな皆さんへ質問なんですけれども、私も実際音楽活動とかさせていただいていて、タイトルとかを考えるんですけど、それこそ世の中の人に分かりやすい言葉だったりとか、あとは聞いたことのない、見たことのない造語がないかとか、いろいろ探っていて。その中で1人でも多くのお客さんの目に留まるような、心をつかめるようなキャッチフレーズというか、タイトルを毎回考えてるんですが。

何か今私が言った以外にも、皆さんの考えてる人の心をつかむコツっていうのは何かあるんでしょうか。ぜひ教えてください。


 

福里:この質問の前半部分が、けっこう大事なところだと思うんですけど、やっぱりTCCって審査のときに、結構難しいところありますよね。機能するコピーと受賞するコピーの微妙なズレというか。「さて!カフェラテ」は確かにカウンターの所にあるとすごく効きそうだなって思うんですけど、でも審査でずらっと並んでいる中で見ると何か……

谷山:ちょっとなかなか入らないかもなってありますよね。

福里:あっちのほうが上に行くでしょ、やっぱり。「お金なんていう不思議なものを持ってるもんだな」みたいなやつのほうが。

谷山:一応グランプリですからね。

福里:グランプリ行くわけで。そこの基準っていうのは結構難しいところありますよね。

谷山:そうですね。僕もこの質問を聞いて、言われてみれば「さて!カフェラテ」は自分の心にも残ってるなって思って。確かにあれ結構機能してる言葉だな。やっぱああいうものもちゃんと評価できるようなTCCであってほしいなって。

福里:そこはどうですか。でも……

谷山:そこは思いました。

福里:「さて!カフェラテ」が谷山新会長時代にはTCC賞に入るっていう可能性はどうなんですか。

谷山:現状の、今の審査員の傾向からするとものすごく低そうな気はします。

佐倉:じゃあ、次に『ガキ使』のディレクターのヘイポーさんから来てます。

次ページ 「コピーライターに質問 その4【テレビディレクター:斉藤敏豪さん】」へ続く