TCC新会長・新副会長 谷山雅計×福里真一×箭内道彦が語る「これからのコピー、これからの広告」

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コピーライターに質問 その6【アートディレクター:副田高行さん】

副田:アートディレクターの副田です。TCCの組織が新しくなり、TCCに対しての質問ということですが、うーん、これが結構難しい。

そういえば、仲畑さんの辞退の言葉が笑っちゃいました。「このまま会長を続けるといけないことをしそうなので辞退します」というのが、仲畑さんらしくて笑っちゃいました。さて、谷山さんこれからもTCCをよろしくお願いします。

かつて、1980年代にコピーの時代というのはありました。仲畑さんや糸井さんら、若いコピーライターがそれまでの広告を一新させました。数々の名作コピーが生まれました。「好きだからあげる」、「おいしい生活」などなど。

ちょうどその頃、私は仲畑さんと幸運にも出会いました。その新しいコピーと出会い、私のアートディレクターとしての考え方が一変しました。そもそも広告はコミュニケーションであると。そして今、広告に元気がないといわれています(特にグラフィック広告)。近年のTCC賞グランプリを見ても、テレビCMやウェブCMが受賞しています。

かつて広告は「コピーは骨格、アートは肉体」といわれていました。骨格(コピー)のしっかりしたものでなければいい広告は作れません。時代が変わっても、広告の本質は変わらないと思います。もう一度元気な広告を作ってほしい、元気なコピーを書いてほしいのです。よろしくお願いします。

TCCへの質問というのが、何だかお願いのようなものになってしまい、すいません。そこで、質問です。コピー(広告)はこれからどこへ向かうのか、です。よろしくお願いします。コピーをこよなく愛す、アートディレクター副田でした。
デザインは、まあまあうまいです。ありがとうございました。


 

佐倉:谷山さん。どうします。

谷山:いや、素晴らしいですよね。ていうか、棒読みもちゃんと演出ですよね。

佐倉:しかも副田さん、今、全く目が笑ってないわけですよ。そういうことも含めて、新会長の谷山さんとしてはコピーって、広告ってこれからどこへ向かうのかなって所見がいただければ。

谷山:ものすごく真面目なこと言いますけれど、副田さんはやっぱり広告っていうのはコピーっていう骨格があってって、骨格、コアだと思うんですけど。それは僕もずっと昔からそう思ってたんですよ。

でも、一方で僕思うのは、今の時代には、昔はやっぱりわれわれって、広告って、言葉で集約して、削って削って集約するコピーで真ん中にっていう仕事をしてたんだけど、やっぱり最近、それはウェブとかも含めて、媒体の特性もあれなんだけど。別に集約しなくても、だらだらだらと拡散したもので伝えるっていう方法もやっぱりあるわけじゃないですか。

佐倉:さっきの冒頭の菅野君の質問が近いと思いますよ。

谷山:だから、僕、一方でやっぱりそこの動きで、だらだらだらと拡散してるやつのことを「お前らには集約力がない」と言ってるだけでは意味がないと思ってて。僕は全然、おそらくきっと、一方で集約する力の持ち主と、一方で拡散する力の、拡散っていうか、だらだらだらっと伝える力の持ち主がどうせめぎ合って、その中で新しい広告とか言葉とかコピーとか生まれてくるのかなっていうふうに思っております。

佐倉:なるほど。

箭内:「僕はコピーライターじゃないから」ばっかり言ってると、谷山さんと同じで逃げになっちゃうけど。

谷山:何で俺が逃げなんだよ(笑)。

箭内:すごく言葉を待ってる時代だと思いますよ、今。みんながこれだけ言葉に触れた時代ってないし、日本全国。短い言葉で自分の人生変えてほしいとか、励ましてほしいとか。本気で思ってると思う、みんな。

谷山:でも俺思うのは、みんな名言好きだと思う。名言好きで、すっごい名言聞きたいんだけど、名言聞いた人って大抵、名言聞いて「ありがとう」って終わって。

箭内:いやいや、会長それはね。

谷山:ちょっと待って、最後まで聞き……

箭内:ごめんなさい。

谷山:名言聞いて「ありがとう」って終わって、大体それを言ったブランドとか商品のこと、ぱーんて忘れる人がほとんどだから、そこどういうふうにつなげ……。

箭内:会長駄目だ。

谷山:なきゃいけないのかなと俺は思うよ。

箭内:会長やっぱり現状の分析しかしてないですよ。副田さんはこれからどこに向かうのかって言ってるんですよ。

谷山:そうか。

箭内:現状に対応し過ぎてますよ、あなた。

谷山:だって俺、今のことしか分からんもん。

箭内:いやいや。理想を持って、コピーライターがどう逆襲していくかってことを、それ考えなかったらあんた会長失格だ。

谷山:すみません(笑)

福里:それで、どうすればいいんでしたっけ。

谷山:どうすればいいの。

福里:どうすればいい?

箭内:そこまでは俺、まだ担えない。すみません。

佐倉:意外といいことしか言ってなかったのが気になるけど、まあいっか。じゃあ、最後です。最後にもうひと方質問がありますんで、お願いします。

谷山:いやあ、いじめられてるな。

箭内:いじめてないって(笑)

コピーライターに質問 その7【歌手/俳優/演出家:夏木マリさん】

夏木:東京コピーライターズクラブ、シフトチェンジおめでとうございます。夏木マリです。さて、きょうはおめでたいお3人に質問です。コピーライターの三種の神器ってどんなのかなと思って。もちろんクライアントワークあってのことだと思うんですけども。トップを走るお3人に伺ってみたいなと思いました。

それで、ここから無茶振りなんですが、例えば、男性のベテランの方と若い女性っていうカップリングが多いと思うんだけど、矢沢さんと若い女性とか、泉谷と若い女性とか。例えば私みたいなキャリアの女性と若い男性のカップリングで何かクライアントからオーダーがあったとして、マーケティング戦略に乗るようなコピーを今ここで考えてくださいっていう無茶振りはいかがでしょうか。よろしくお願いします。


 

谷山:無茶振りだなあ。

佐倉:三種の神器、それぞれ多分、福里副会長、箭内副会長、谷山会長それぞれ違うと思うんで。

谷山:三種の神器って何?

佐倉:それも知りたいなと思いつつ、どっちかっていうと後半ですね。夏木マリと若い男性のカップリングの広告のコピーをこの場で作ってください。大喜利みたいですけど。これ3人にちゃんと答えていただきたいなと。

箭内:僕最初に、僕考えないようにしたいんですけど。『大貫卓也全仕事』大好きでね。ペンギンが表紙のやつ。あれの後ろにボツ案集っていうラフがあって。

佐倉:あった、あった。

箭内:豊島園の夏のプールで「夏決まり。」っていうのがあった。

谷山:「夏決まり。」ってあった、あった。

箭内:今こそ、あれ形にしたらいいんじゃない。「イッセイ・ヒヤケと夏決まり。」。

佐倉:なるほど。結構きれいだね。

谷山:カップリングって何? マッチング……じゃあパートナーエージェントでほら、「ドロンジョより夏木マリだろう」ってほうでいいんじゃないの。

佐倉:なるほど。

谷山:あれ? うけなかった。

箭内:大丈夫ですよ。自信持って谷山さん。大丈夫。
(会場から笑い)

佐倉:福里副会長は?

福里:何か言うんですか。

佐倉:何か言ってください。

福里:はい。この惑星の……

(会場爆笑)

谷山:また、全部それで済まそうとしてんだろう。

福里:「この惑星の夏木マリは、若い男と一緒にいても、決して母親や祖母には見えない」っていうのはどうですか。

谷山:いいよね、もうそのパターンがあるとね。

箭内:それをほんとに実現したらいいと思う。BOSSで。

福里:うん?

箭内:実現されるんだっていう。

福里:ていうか、最後すごい無茶振りで終わりましたね。

佐倉:谷山さんと福里さんと、箭内さんのそれぞれの意見を聞いていると、本当にドラスティックにTCCが変わっていく潮目なのかなと思っていて。それも含めちょっと谷山さんから何か一言あって、終わりにしたいと思います。

谷山:急に真面目にあれするんだね。本当にお騒がせしましたと言いますか、秋山さんからあんまり内にこもってなくて、やっぱり外の人たちと接して、外向けにTCCが何なのかを発信してくれよっていうようなことで、何かやろうとやった割には全くそういうことにはなってなかった。多少でも楽しんでもらえればそれで良かったのかなと思ってます。ほんとにこういうものに付き合っていただきまして、ありがとうございました。これからもTCCよろしくお願いします。てことでいいですか。

佐倉:どうもありがとうございます。

パネラー&司会者プロフィール

谷山雅計

コピーライター。1961年大阪生まれ。博報堂を経て(有)谷山広告。
主な仕事 :新潮文庫「Yonda?」東京ガス「ガス・パッ・チョ!」資生堂「TSUBAKI」東洋水産「マルちゃん正麺」
著作 :広告コピーってこう書くんだ !読本など

 

福里真一

CMプランナー・コピーライター。1968年鎌倉生まれ。ワンスカイ所属。
いままでに 1500 本以上のテレビ CMを企画・制作している。主な仕事に、ジョージア「明日があるさ」、トヨタ自動車「こども店長」、BOSS「宇宙人ジョーンズ」、ENEOS「エネゴリくん」、東洋水産「マルちゃん正麺」など。

 

箭内道彦

クリエイティブディレクター。1964年福島県生まれ。
「月刊 風とロック」発行人。渋谷のラジオ理事長。東京藝術大学学長特別補佐・美術学部デザイン科教授。2011年のNHK紅白歌合戦に出場した猪苗代湖ズのギタリストでもある。

 

佐倉康彦

クリエイティブディレクター。1963年足利生まれ。サン・アド、博報堂を経ナカハタ設立に参加。
主な仕事にリクルート「卒業って、出会いだ。」、サントリー「愛だろ、愛っ。」、イザック「大好きというのは、差別かもしれない。」など。近作に映画「男はつらいよ・お帰り寅さん」のコピーワークなど。

 

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