ロウソクの“意味のイノベーション”とは?
ロウソクは、ガス灯や電球が世に登場する前は、生活に明かりという価値を提供する一大産業でした。
ですがロウソクが提供していた価値は、電球の登場によって取って代わられてしまいます。その後、ロウソクは斜陽産業になり市場は縮小しました。
1990年に入り、ロウソクは消費者の生活上の“意味”をリニューアルします。
これまでの「部屋を明るくする」という意味から「部屋を暗くして、食事のムードを演出する」「心が癒される」に意味を再定義したのです。
“新しい意味”に最適化するかたちで、香りの立つアロマキャンドルなどの製品改良は行われたものの、相変わらずロウソクはロウソクです。基本的な製品の成り立ちが大きく変わったわけではありません。
これが意味のイノベーションです。
では、このような自社の製品にとっての“新しい意味”は、どのように見つけ出せばよいのでしょうか。
それは、新しい消費者行動に着目することが挙げられます。
・ロウソクの新しい使い方をしている人はいないか?
・ロウソクが新しいシーンで使われていないか?
使い方やシーンを、まずは見つけ出します。
そして、そこで感じられている価値は何か?
つまり、消費者にとっての“意味”は何かを明らかにするのです。
このように新しいシーンや使い方を探すときは、自社商品やカテゴリーだけでなく、その周辺の生活領域まで拡げて探すことも必要です。
これには前回紹介した「生活の14分類」が有効に活用することができます。
では、さらに自社及びその周辺の生活領域の新しいシーンや使い方を、素早く効率的に発見するにはどうしたらよいでしょうか。
家庭訪問をしてユーザーを観察すればよいでしょうか。InstagramやYouTubeなどのSNS投稿を分析すればよいでしょうか。
ただ、やみくもにリサーチを実施しても、不確実性が高い仮説しか導き出せません。時間や手間ばかりかかって、大した発見が無かったということになりかねません。その発見のためには、的確なリサーチデザインが必要となります。
リサーチデザインについては、また別の機会で紹介したいと思います。
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