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コラム

「恐れながら社長マーケティングの本当の話をします。」ディレクターズカット

第8回 第7章 「恐れながら社長マーケティングの本当の話をします。」ディレクターズカット

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【前回】「第7回 第6章 「恐れながら社長マーケティングの本当の話をします。」ディレクターズカット」はこちら

恐れながら社長マーケティングの本当の話をします。』の著者、小霜和也氏が本書では収録しきれなかった内容をお届けするコラム。本書と合わせてお楽しみください。

「恐れながら社長マーケティングの本当の話をします。」
著:小霜和也
発行:宣伝会議
詳細・購入はこちらからご覧ください(宣伝会議オンラインはこちら)(Amazonはこちら

こんにちは、小霜です。
第6章の見出しですが、次の重版から修正します…。

第7章では、SDGs、ESG投資といった経営トレンドをどうマーケティングに取り込むかの示唆をしています。

削除した箇所は、

P.293
話は飛びますが、年金って誰が始めたかご存知でしょうか。鉄血宰相のビスマルクです。彼は軍事国家として国民のモラルを上げるために、働き手が戦死しても国家が遺族の面倒を見る仕組みを作ったんですね。これが年金の始まりです。日本でも軍人や公務員への「恩給」はありましたが、労働者への年金が始まったのは戦時中で、その目的は戦費調達でした。戦費調達の苦し紛れに始まった制度がそのままズルズルと今に続いているのだから、無理があって当たり前とも言えます。そもそも歴史的には、社会課題解決を行政がやるという発想はほとんどありませんでした。老後の食い扶持は自分で貯めなければならなかったし、道路を作るのはその地域の住民がやってたわけです。戦後、先進国では政府にお金が余ったために何でもかんでも行政が面倒見るようになっていったのですが、もー限界、と手を挙げ始めてるってのが財政破綻の背景にあると思います。

豆知識。本題とあまり関係ないなと思い削除しました。さらに関係ない話をすると、生命保険はスコットランドの教会が寡婦のために始めた互助的な仕組みが起源と言われてますね。

P.294
間違えてはいけないのは、企業に求められているのは「課題解決そのもの」ではないってことです。「クリエイティブ・ディレクションの定義を拡張しよう」という文脈の中で、よく「企業内クリエイティブでソリューションに繋げる」などと言われますが、確かに僕らは企業に対してソリューションを提供します。でも、企業が売っているのはソリューションではなく、あくまでプロダクトなのです。プロダクトを売ることがソリューションに繋がる、それがCSVなので、そのあたりを混同しないようにしてください。

中身スカスカなのに一見カッコイイ、僕はそういうのが嫌いなんですッ…!

P.295
米国のある製薬会社はM&Aで次々と他の製薬会社を買収し、独占した薬の価格を100倍とかに吊り上げて成長してました。それまで年10万円を薬代に払って生きていた人が1千万円も払うようになり、ヒラリー・クリントンが選挙キャンペーンで採り上げたことがきっかけで悪辣な手法が暴かれます。法的には裁けないのですが、もちろんSDGsの精神とは真反対です。株価は1割以下に落ち込みました。

米国の薬価はメチャメチャなことになってますね。製薬会社が示し合わせ、確確かインシュリンも10年で10倍以上に引き上げて、貧しい糖尿病患者は薬が買えなくて死んでるんですよ。

インフルエンザのシーズンになると大量の人が亡くなるのも薬が買えないからでは。新型コロナウィルスに過敏になってアジア人狩りしたりするのも、薬が高くて買えない恐怖が背景にある気がします。やたら日本Disって米国バンザイな人いますけど、僕はそのあたりを見ても、日本はまともな国だなあと感じます。

P.323
この本を書いている最中にYahoo! からDMが届きました。個人情報保護に重きを置いて、
グループ内でのデータ活用同意(パーミッション)をデフォルトで「オフ」にするという内容でしたが(デフォルトで「オン」になっていることをオプトアウトと言いますが、デフォルト「オン」のGAFAに批判が集まっています)、事例なども混ぜていて「ちゃんとわかってもらおう」という意思の伝わるものでした。信用スコアの取り扱いで大きな批判に晒されての対応であると思いますが、なんだかうまく煙に巻くような言い方をしてくる企業よりも好感が持てました。EUのGDPR(一般データ保護規制)では「同意を求める際には明確かつ平易な用語を用いるべきで、理解が困難な長文のプライバシー・ポリシーや法律の専門用語の多い説明を使用してはならない(小霜訳)」と「煙に巻きたがり企業」にとっては逃げを打てないものとなっていまして、その流れに合わせたものとも言えます。Yahoo! はアスクルやZOZOの買収など「攻め」の経営に入っているようですが、それらが空回りしているような報道がされています。僕はソフトバンクのテコ入れによって最近良い方向に経営陣の刷新が行われたんじゃないかと見ていましたが、こういうDMの文面だけでも、そのあたりが伝わって来ます。PayPay など他ブランド毀損に広がる前に手を打つ早さも含めて。正直僕の中でYahoo! はややオワコンだったのですが、今後は注目すべきと思い直しました。

そう思っているのにッ…!

P.323
と、書いて来て手のひらを返すように感じられるかもしれませんが、日経BP社が刊行した「ファクトフルネス」が世界的に話題となりました。世界中で貧困率は減少し続けている、など、一般人のイメージよりはるかに世界は良くなっているという内容です。これを読むと、SDGsの17箇条はやや扇情的に引っ張られすぎてないかな…と疑問が出て来ます。おそらく正しい理解としては、世界は良くなっている部分と悪くなっている部分が並立して存在するのだ、ということでしょう。そして、マーケティング視点で重要なのは、やはり人々はネガティブイメージを持ちやすい傾向があるのだ、ということです。

「ファクトフルネス」が面白いのは、一般人が抱いているイメージと事実には大きな乖離がある、というところですよね。たぶんSDGsの17のうち、温暖化問題のように、今かなりの力技で対処しないとヤバいぞというものもあれば、ほっといても良くなっていくんじゃない?というものもあって、緊急度は凸凹だろうと思うんです。

ただ、「これは問題ないからほっておく」という姿勢は無知な生活者に通じなかったりします。通夜は私服で行くのが礼儀なのですが、喪服を着込んだ人たちが多数派を占めると知識のある人が逆に白い目で見られるようになります。誤解したイメージを抱いている生活者とどう向き合うか?そのあたりの腹芸的なこなし方も必要となってくるわけです。

次回は最終回、「第8章」です!


恐れながら社長マーケティングの本当の話をします。

<目次>

はじめに


第一章 社長、まずはマーケティング部をなくしましょう
・マーケティング=価値の創造
・マーケティングの4P
・総力戦の時代
・マーケティング部を宣伝部に戻す
・貯めるべきもの3つ「直感力、共有知見、データ」
・忖度のない体質がマーケティング体質


第二章 「名物宣伝部長」はどこいった
・管轄外の責任を負わされる宣伝部長
・広告業界の構造的問題
・宣伝部とエージェンシーの深まる溝
・CMOに「4P」全部預けられるのか?
・社長と部長はパートナー


第三章 御社は「ミドル・ファネル」作れますか?
・ミドル・ファネルから作る
・外してならないファネルだけが外れてる
・トップ、ミドルのクリエイティブを寸断させない
・社長は「トータルCPA」を見る
・部門「間」がますます重要に


第四章 やっぱし事件は現場で起きている
・制作現場の実状
・戦略、メディア設計、クリエイティブの順に
・現場の忖度で得体の知れないものができあがる
・社長が「おかしい」と感じたら、何か起きている


第五章 「Vision」の本当の話をします
・時代変動の中で自分は何者か再点検
・Visionを間違うと正しいマーケティングはできない
・Visionの話(つづき)
・Values
・オレのCI


第六章 テクノロジー変わるマーケティング思想変えるビジネスモデル変える
・新たなマーケティング思想、カスタマーサクセス
・競合より顧客の動向を見て成功する
・広告という神話
・顧客を手放さないサブスクリプション
・商品は優れていても、ビジネスモデルで負けていないか
・テクノロジーが新しいビジネスモデルを閃かせる


第七章 不買運動が起きてます!
・SDGsはイケてる
・誰かを変えるCSR、自分を変えるCSV
・ESG投資で変わる企業の戦い方
・Belief Driven
・次世代の動き
・SDGsはこれからの参加資格
・IRで商品Promotionの土壌をつくる


第八章 社長、さっき言いかけたことですが


おわりに