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コラム

「恐れながら社長マーケティングの本当の話をします。」ディレクターズカット

最終回 第8章 「恐れながら社長マーケティングの本当の話をします。」ディレクターズカット

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【前回】「第8回 第7章 「恐れながら社長マーケティングの本当の話をします。」ディレクターズカット」はこちら

恐れながら社長マーケティングの本当の話をします。』の著者、小霜和也氏が本書では収録しきれなかった内容をお届けするコラム。本書と合わせてお楽しみください。

「恐れながら社長マーケティングの本当の話をします。」
著:小霜和也
発行:宣伝会議
詳細・購入はこちらからご覧ください(宣伝会議オンラインはこちら)(Amazonはこちら

こんにちは、小霜です。

今週も本書への質問が届いていますので、その回答から始めたいと思います。

Q.4Pとか3Pとか2Pとか1Pの話をしていましたが、普通、削除するとしたらそういう箇所ではないでしょうか?

A.蒙を啓かれるとはまさにこのこと…。考えてみれば、そりゃそうですな。

第8章では、カスタマーエクスペリエンスについてチラッとだけ触れました。

削除した箇所は、

P.334
ちなみにこれはクリエイティブチームもよく似ているところがあって、コピーライターやプランナーは良い意味で無責任に、純粋に面白いコピーライティングやプランニングに集中できます。一方CDの大きな役割はバランサーです。エージェンシーの利益、部下のモチベーションを慮りながらどういうカタチに持っていくか、そういう力が問われるために、多くの人がクライアントに対しヘタな嘘をついて切り抜けようとします。そんなストレスフルなポジションはごめんだということで、クリエイティブ職で独立してからも他のCDの下でコピーライターやCMプランナーをし続ける人は少なくありません。

エージェンシーが直面している大きな課題として、キャリアパスの整備があると感じています。特にクリエイティブ職はもうグチャグチャですよね。僕が新人の頃は、右も左も分からないという前提で、無責任に好き勝手にやらせてもらって、それをどうカタチにするかはCDに預けるというところからスタートしました。そういうポジションを10年以上やって初めてディレクターの肩書きをもらえました。

今では「わからん」人に「わかった」顔を強制しますから、それで現場がうまくいくはずがない。クリエイティブはわからない方が偉いんです。すぐにわかった言う人は偽物なんですよ。本当にこれでいいのか、わからん、わからん、とずーっと答を出さない人が偉いし、成長するんです。時間切れでその時のベストをカタチにするのですが、それで満足してもいけない。確かにクライアントの社長に対してわからんとは言えません。

そこはハッタリです。エージェンシーは、若いクリエイターにどれだけわからんと言わせるか、彼らのわからんを誰がどのようにわかった顔に変換してクライアントにぶつけるか、その正しい体制を整え直す必要あると思います。経営者にクリエイティブのエゴは通用しません。これまでの騙しは通じません。まあいいか、とはなりません。成果を上げられるか否かです。そのためには、どれだけのわからんを集約して精度の高いわかったに昇華できるかです。

マーケティング全体についても同様のことが言えます。先日ある広告主がこんなことを仰ってました。「これまでマーケティングの本を読んでも、定義は理解できたけど使い方がわからなかった」と。昔から良く言われることとして、「知っているだけでは半分、使ってこそ真の知識」というものがありますよね。これまでマーケティングは「やったつもり」「わかったつもり」に留められていました。

なぜなら、知っている人と現場でコミュニケーション設計する人は別々だったから。まさに半分。素晴らしい理論はたくさんあっても、セミナーで聴いたり本で読んだりして、わかったつもりになって終わり。そもそもマーケティングやブランディングが「こういうことネ!」なんてわかるはずないのです。

大事なのは、それを自分たちなりに現場に落しこんで実際にどうWORKさせるか。上流から下流まで意思を統一し、どう全体最適を行うか。その最短コースは、社長を巻き込むことです。役員会で「説明責任を果たしてない」と叱られることにビビっているより、こっちから積極的にトップを巻き込んでいったらどうでしょう。「来いよ、社長」と。

長々とありがとうございました。

新型肺炎騒動が収まった頃、また講演会ででもお会いしましょう!


恐れながら社長マーケティングの本当の話をします。

<目次>

はじめに


第一章 社長、まずはマーケティング部をなくしましょう
・マーケティング=価値の創造
・マーケティングの4P
・総力戦の時代
・マーケティング部を宣伝部に戻す
・貯めるべきもの3つ「直感力、共有知見、データ」
・忖度のない体質がマーケティング体質


第二章 「名物宣伝部長」はどこいった
・管轄外の責任を負わされる宣伝部長
・広告業界の構造的問題
・宣伝部とエージェンシーの深まる溝
・CMOに「4P」全部預けられるのか?
・社長と部長はパートナー


第三章 御社は「ミドル・ファネル」作れますか?
・ミドル・ファネルから作る
・外してならないファネルだけが外れてる
・トップ、ミドルのクリエイティブを寸断させない
・社長は「トータルCPA」を見る
・部門「間」がますます重要に


第四章 やっぱし事件は現場で起きている
・制作現場の実状
・戦略、メディア設計、クリエイティブの順に
・現場の忖度で得体の知れないものができあがる
・社長が「おかしい」と感じたら、何か起きている


第五章 「Vision」の本当の話をします
・時代変動の中で自分は何者か再点検
・Visionを間違うと正しいマーケティングはできない
・Visionの話(つづき)
・Values
・オレのCI


第六章 テクノロジー変わるマーケティング思想変えるビジネスモデル変える
・新たなマーケティング思想、カスタマーサクセス
・競合より顧客の動向を見て成功する
・広告という神話
・顧客を手放さないサブスクリプション
・商品は優れていても、ビジネスモデルで負けていないか
・テクノロジーが新しいビジネスモデルを閃かせる


第七章 不買運動が起きてます!
・SDGsはイケてる
・誰かを変えるCSR、自分を変えるCSV
・ESG投資で変わる企業の戦い方
・Belief Driven
・次世代の動き
・SDGsはこれからの参加資格
・IRで商品Promotionの土壌をつくる


第八章 社長、さっき言いかけたことですが


おわりに