豊田社長がスピーチで見せた腕を広げるポーズ、アリ?ナシ?

【前回コラム】「ゴーン氏が会見で駆使した、スピーチを成功させる強者のテクニック」はこちら

2020年1月に米・ラスベガスで開催されたCES。そのプレス・デーで、トヨタ自動車の豊田章雄社長はプレスカンファレンスに登壇した。

そこで筆者が気になったのが、終始、腕を大きく広げるポーズをしていたことである。これは文章の末尾すべてにびっくりマーク(!)がついているようなものだ。ジェスチャーというものは、本来は文脈に合わせて付けるものである。

そこにはどんな意図があったのだろうか。

全身ストライプの衣服を着た豊田社長。聴衆の目線を縦方向に動かすことによって、首を縦にふったかのように錯覚させ、自然に「Yes」と同意につなげる心理戦略か、体をより縦長に見せて腕を広げたときにさらに身体を大きく感じさせる“視覚のトリック”を狙っていたのか。

 

過剰なジェスチャーは金太郎飴作戦?

動画を見ても分かるように、ステージ上の豊田社長はスーイスイと平泳ぎをしているかのようだった。終始、両手を大きく広げては閉じを繰り返しながら話していたからだ。この様子を見て、「全文が強調ポイントってどういうスピーチなのだろうか?」と思ったのは筆者だけだろうか。

ただ、よく見ると豊田社長のジェスチャーは、話の内容に表情をつけたり強調をしたりするためのジェスチャーとは違うことがわかる。いつだったか、とあるテレビ番組で豊田社長が「アザトイって言われるんですよ」と仰っていたのが記憶にあるのだが、今回のプレスカンファレンスでも「また(そう)言われてしまうだろうなぁ」と思うのだ。なぜなら前述の通り、“そこには必要ない”という場面でも「手を広げて強調する様なポーズ」をわざとつけていたからだ。

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日野江都子(企業ブランディング・プロデューサー/ 国際イメージコンサルタント)
日野江都子(企業ブランディング・プロデューサー/ 国際イメージコンサルタント)

東京生まれ、ニューヨーク在住。フリーランスを経て、2004年、ニューヨークでリアル コスモポリタンを設立。日欧米亜合わせ数千人のハイプロファイリング・クライアント(日系企業や外資企業日本法人の経営層、政治家、財界人、セレブリティーなど)の包括的なブランディングを手がけてきた。施策提案など総合的なコンサルティングを実施し、高い評価を得ている。主な著書『仕事力をアップする身だしなみ 40のルール』(日本経済新聞出版社) 、『Premium Image Management for Men』DVD監修(SONY PCL)、『NY流 魅せる外見のルール』(秀和システム) など。

日野江都子(企業ブランディング・プロデューサー/ 国際イメージコンサルタント)

東京生まれ、ニューヨーク在住。フリーランスを経て、2004年、ニューヨークでリアル コスモポリタンを設立。日欧米亜合わせ数千人のハイプロファイリング・クライアント(日系企業や外資企業日本法人の経営層、政治家、財界人、セレブリティーなど)の包括的なブランディングを手がけてきた。施策提案など総合的なコンサルティングを実施し、高い評価を得ている。主な著書『仕事力をアップする身だしなみ 40のルール』(日本経済新聞出版社) 、『Premium Image Management for Men』DVD監修(SONY PCL)、『NY流 魅せる外見のルール』(秀和システム) など。

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