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「顧客理解」「全体最適」がキーワード!位置情報ビッグデータ活用の要諦

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特設サイト:「人の流れ」を可視化する位置情報ビッグデータの活用」はこちら

マーケティング領域ではデータドリブンの重要性が叫ばれるようになって久しいが、世の中に流通する様々なデータの量・質がともに日々向上する中、どれだけの企業がデータを駆使し、より良い顧客体験創出のサイクルにつなげられているであろうか。本特集では、位置情報ビッグデータの解析プラットフォームの開発・提供を行うクロスロケーションズ社協力のもと、先進企業の取り組み取材や、有識者との対談を通じて、より良い顧客体験を生み出すためのデータ活用戦略や考え方、また、それらを実現するための組織づくりや人材開発もふくめたヒントを提供する。

1回目は、通信キャリアやIT業界とネット広告会社を経て、2014年からNear社で位置情報広告に携わり現在にいたるクロスロケーションズ 取締役COOの猪谷 久氏と、サザビーリーグで、店舗出店戦略や新規事業のマーケティング、商品MDの標準化や中期ブランド戦略、スタッフ教育にいたるまで、横断的な組織シナジーの推進や事業全体のキャッシュフローマネジメントの経験を持つ同社の濱田知行氏に話を聞いた。

クロスロケーションズの皆さん。今回の取材は新型コロナウイルスの影響を鑑み、オンラインで行われた。

販促施策から経営・事業戦略まで
「顧客理解」を軸に据えた活用

—最近、改めて注目されている「位置情報ビッグデータ」ですが、その現在の活用状況とポテンシャルについて教えてください。

猪谷:私はこれまで、前職含め、長きにわたってデジタルマーケティングに関連するシステムソリューションの提案に携わってきました。位置情報ビッグデータについては前身のNear社時代も含めると、もう6年ほどご提案させていただいています。6年前と比べると、位置情報ビッグデータを活用し店舗の近くにいる人に広告を配信するなど、同データだからこその販促手法が一般的にメディアプランの中に組み込まれるようになり、だいぶ普及してきた印象です。

しかし、現状、マーケティングにおける“飛び道具”的な活用にとどまる企業も多く、一体どれだけの企業・組織で結果のデータが社内でフィードバックされ、より有効的な活用につなげられているかはクエスチョンかなと。今後は、より中長期的なマーケティング戦略の中で、顧客の生活導線やオフラインの買い回り行動、行動からみえてくるインサイト把握など、顧客理解のために重要なデータとして活用が広まっていくことが、これからのフェーズだと思っています。

取材に応じる猪谷氏。

濱田:確かにそうですね。私も多くのクライアントさまと導入事例インタビューでお会いする機会がございますが、最近は特に「自部門だけでなく、他部門とも連携し会社全体で部門間シナジーを生み出し、企業としてのパフォーマンスを発揮できるよう、全社的に力を入れていく」という声を多く聞くようになっています。

全社でパフォーマンスを最大化、顧客体験を向上させるのに、顧客理解は当然欠かせません。「顧客の動き」でもある位置情報は、そのための基本のデータとして、販促領域から事業・経営戦略にいたるまで、あらゆる企業・団体の様々な部署部門で横断的に共有・活用されていくポテンシャルがあると考えます。

—濱田さんは、元々サザビーリーグ、事業者側にも在籍されていたそうですが。

濱田:はい。私自身、今は支援側に回っておりますが、元々サザビーリーグで、事業者側にいましたので、実体験を踏まえながら、実際に多くの企業さまが、現在直面している課題に対して、位置情報ビッグデータを活用し具体的にどのように解決できるのかをできるだけリアルにお伝えしていきたいと思います。

私自身は1993年にサザビーリーグに入社し、同社の展開するブランド「アフタヌーンティー・ティールーム」の一般社員として店舗へ配属された後、店長経験を経て、本部で15年以上、事業戦略やスタッフ教育のマネジメントを行ってきました。

特に事業戦略では、中長期計画や事業計画の立案と、経営層に対する月次の予実対比のギャップに対する要因分析と改善プランの報告を行っていましたので、部内間の年初目標の遅れやズレを補整するアクションを社内で推進し、会社では「一気通貫」をモットーに、部門最適と全体最適を意識しながらマネジメントを行う立場にいました。

その後、広告会社や位置情報を使ったマーケティングコンサル会社を経て当社に移籍。昨年はマーケティングの責任者として、今年は改めてプロフェッショナルサービスの責任者として、様々な業種業態のご担当者さま、経営層の方々のリアルな声を多くお聞きして参りました。そこで、業界は違えど、私がサザビーリーグの時に経験し感じていた課題と、きわめて類似した課題を多くの企業さまがお持ちであることを痛感しました。

エリア内訪問分析イメージ。自社と競合店の利用者の推計を曜日や時系列ごとにまとめて比較が可能。

例えば、店舗をお持ちの企業さまであれば大半はPOSレジを導入しているため、収集したデータから時間帯別の売上高や来客数、曜日ごとの集客特性などは、本部も現場も当然のことながら把握しております。

外食産業であれば日々のランチ出品数や人気メニュー、お店の回転率はどうなっているのか、前年はどうであったのかなど、当たり前に把握しておりますが、一方で前年割れをしたとき、なぜ前年割れしているのか、他店に客を取られたことが原因なのか、それともメニューが不評だったことが原因か、提供時間やサービスの問題なのかなど、いろいろな可能性がありますし、いくつかの要素が重なっている場合ももちろんあるわけですが、前年割れの最大の原因は、客観的に正しいかどうかはいざ知らず、エリア長の見立てや店長のコメントが「正」となり、属人的な判断になりがちだったことです。

言葉を選ばなければならないのですが、話が上手な人が認められる一方、的確な状況把握や課題分析ができていたとしても言葉足らずなだけでマイナス評価をされる、など、属人的な評価にならざるを得ない状況が今も続いている、と多くの企業担当者さまから伺っています。そしてそれが課題であることも認識をしながらも、それを裏付ける根拠、データがない、というのが実態だそうです。

特に競合店の影響となると、それを裏付けるデータは他社のPOSデータや販売実績データとなるため、当然入手は