「世界の言葉」に着目して見えてくるもの
今、世界各国でそれぞれの「新しい文脈」が形成されています。新型コロナウィルスが変えたのは、政治や経済の大きな流れだけでなく、私たちの小さな日常感覚にも甚だしく及んでいます。そして、人間の心理や感覚、それをあらわす言葉は各国各地域で微妙に違っているはずです。
私の専門であるトランスクリエーションは、各国各地域での言葉のコミュニケーションに違和感を無くし、さらに共感を生むメッセージを作ることが目的です。企業の経営企画やマーケティング、あるいは営業の現場でも、要になるのは「言葉」です。今後の世界でコミュニケーションを進める上で、それぞれのローカルに住まう人々が共感する「新しい文脈」を読むことは欠かせません。
人の使う言葉は、その人の考えに影響を与えると言われています。※1 現代の言語学で再注目されている学説のようです。その説に従うならば、やや単純化しすぎかもしれませんが、コロナで生まれたいろんな「言い回し」や「論調」が、これからの世界の人々の考えに影響を与えるということになります。言葉の変化の観点から学べることは少なくないはずです。
3.11の言葉とコロナの言葉
世界の言葉をご紹介する前に、こちらのワードクラウドをご覧ください。
安倍晋三首相のコロナに関する国民へのメッセージと、2011年当時の菅直人首相の3.11(東日本大震災)に関する国民へのメッセージの比較です。官邸公式HPに載っている両首相の記者会見のテキストを複数集めて解析しました(解析:morph transcreation)。※2
一国のリーダーが発する言葉は、ニュースやSNSで繰り返し流布され、少なからず国民の意識や記憶の形成に影響を与えます。
ここからいろんな分析ができるのですが、まずは両首相が共通して使った言葉に絞ります。一目見てわかるように、安倍首相も菅元首相も最も使っているのは「皆さん」です。
「皆さん」は、国民に呼びかける首相の言葉として、当たり前に感じられるかもしれません。しかし、たとえばアメリカでは、“We”が多く出てくるように思います。国民一人ひとりが「皆さん」と呼ばれるのか、「私たち」の一人として呼ばれるのか。日本語で暮らす人と英語で暮らす人の間に、とても微妙ではありますが、受け取るニュアンスの違いが生まれることは想像できるでしょう。
複数言語でのコミュニケーションの成否に、こういった小さなニュアンスの違いが、大きく関わっていたりします。
「コロナ禍で広まる世界の言葉 With/Post Covid-19 Communication」バックナンバー
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