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コラム

ブランドなんか大嫌いなブランド担当者が33年かかって、たどり着いたブランド論

「ブランドパーソナリティ」を偽ると、ブランドづくりは失敗します。

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「ブランドパーソナリティ」は、ブランドづくりの判断基準になるもの

それでは、③「ブランドパーソナリティ(人格・個性)」とは何なのでしょうか?

簡単にいってしまえば、それはあなたが仮に生活者から、「あなたの企業・商品を人間に例えたらどんな人ですか?」と問われたときの答え。つまりは、ブランドが持つ「人格・個性」のことです。

そして、この「人格・個性」は、「ブランドアイデンティ(存在価値)」と同様に、あなたの企業・商品が生まれながらに、今もなんとなくもっている「人格・個性」でなければ絶対にダメです。それにもかかわらず、自分たちの憧れや理想をブランドパーソナリティにしてしまいがち。例えば「超真面目で保守的」な企業のくせに、「チャレンジ精神にあふれた」などと定義してしまうのです。しかし、このように「ブランドパーソナリティ」を偽ると必ず失敗してしまいます。

それでは、なぜ憧れや理想を「ブランドパーソナリティ」に設定してしまうと失敗するのでしょうか?

そもそもブランド(妄想)とは、論理、理屈(頭で理解した情報)ではなく、感覚的・情緒的なものであり、それは企業・商品という物質的な存在が、生活者と「約束(ブランドプロミス)」を交わすという情緒的な関係づくりの結果、生まれるものです。

約束というのは、相手のことがわからなければ結べません。そこで「この人(この人格や個性の持ち主)」であれば約束できる、「この人」であれば約束してもいいかもと、思ってもらなければなりませんが、そのためには「この人」は、どんな人(人格・個性)なのかが、はっきりしている必要があります。

加えて、「ブランドパーソナリティ」は、ブランドづくりにおいて、何かをやるときに、それをやるべきか、やってはいけないのかの判断基準の役割も果たします。

よく人に対して、「あの人が絶対にこんなことをするはずがない」とか「あの人ならやってくれるはず」といった評価をしますが、ブランドも同様でパーソナリティが決まると、おのずと自分が「やってはいけないこと」と「やること」がはっきりしてくるのです。

それゆえ、「ブランドパーソナリティ」に「憧れの人格」を設定してみたところで、どうしても「企業・商品が持っている本来の人格」は隠しきれず、判断基準がぶれることでブランドづくりが失敗してしまうのです。

次ページ 「「存在価値」と「約束」が「ブランドパーソナリティ」の前提になる」へ続く