本コラムが書籍化されました!
【2022年6月20日発売】
『わたしの言葉から世界はよくなる コピーライター式ホメ出しの技術』
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最後に惚れたのは、いつですか?
恋を何年休んでますか?
みたいなノリで言ってしまいましたが、
実際みなさまどうでしょうか。
惚れるとは、何も恋愛だけに限定した
感情ではありません。
こんまりさんが提唱する、
「ときめくものは捨てない」
の「ときめいている」とは、
服や日用品に惚れているともいえます。
実はコピーライターの仕事とは、
目の前の商品や企業に
惚れることからはじまります。
惚れるから、褒める(コピーを書く)ことが
できるわけです。
そのとき重要なのは、
ホロレンズならぬ、
「惚れレンズ」
越しに対象を見ることです。
つまり、相手が「惚れどころ満載」
という前提に立つのです。
そうすることで、
抽出できる商品の魅力や、
出力されるキャッチコピーの
量や質が変わってきます。
「(500)日のサマー」という映画をご存じでしょうか。
超端的にいうと、
トムという男性が、
サマーという女性を好きになる
恋愛映画です。(端的)
この映画には、印象的なシーンがあります。
光が注ぐ美しい空間の中。
スローモーションで、サマーがやわらかな笑顔を見せる。
そこに、トムのダイアログが入ってきます。
あの笑顔 髪の毛 ヒザも好きだ
胸元のハート型のアザも 話す前に唇をなめる癖も好きだ
笑い声も 眠っている時の顔も
いやあ映画史に残るポエティックなシーンです。
ところが、サマーとの関係性が悪化すると、
状況が変わります。
先ほどとまったく同じサラの笑顔シーンに、
トムのまったく別のダイアログが重なります。
俺はサマーが嫌いだ
不ぞろいの歯と 60年代風の髪型も嫌いだ
骨張ったひざも ゴキブリのような形のアザも
話す前に舌打ちする癖も 高笑いも嫌いだ
罵詈雑言がクリエーティブ。
そう、同じ景色でも、
「惚れレンズ」をつけているかどうかで、
意味が変わるという象徴的な例です。
「惚れレンズ」をつけているとき、
長所は目につきやすい。
だから「ヒザも好きだ」なんて
言えちゃうわけです。
と同時に。
短所さえも長所にひっくり返してくれます。
無双モードです。
無限にホメ出しできます。
逆に、惚れレンズをつけていないと、
「胸元のハート型のアザ」も、
「ゴキブリのような形のアザ」に
見えてしまうわけです。
では、どうやってこの
「惚れレンズ」をつけるか?
恋してないと無理じゃない?
と思うかもしれません。
いえいえ。
