安倍首相の「資料トントン揃え」は百害あって一利なし

【前回コラム】「オバマ前米大統領のスピーチに学ぶ リモート時代のトップメッセージ」はこちら

8月6日に広島市、9日に長崎市で行われた平和式典での、安倍晋三首相のスピーチが酷似していた件が取り沙汰されている。これは安倍首相自身の問題ではないといっても良い。

では、スピーチライターの問題かと言ったら、それも違うだろう。まぁ、近しい内容になってしまうのは止むを得ないとして、それを聞き手が違った印象で受け取れように工夫する、プロとしての技があってしかるべきだったともいえるが。

一番の原因は、安倍首相の一番近くを取り巻く人々といえるのではないだろうか。どんなにプロがアドバイスをしても、最終的にそのアドバイスを受け入れないかもしれない。原稿だって内部で直されてしまうことがあるのだ。もしそうだとしても、安倍首相は言葉に突っ掛かったりせず、自分の言葉であるかのように話すべきだったが……。

平和祈念式典が開かれた長崎市の平和公園。

手元の資料を見せてはならない

と言うことで、そのような内部のことはさておき、筆者が残念極まりないと思っていることがある。これは、企業トップは是非とも反面教師にして欲しいことでもある。

それは、9日の長崎での会見時、記者からの質問終了後に手元の資料を立ててトントンと揃えたこと。あらかじめ用意した答えを読むだけだったことを、総理自身が見せてしまったことだ。

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日野江都子(企業ブランディング・プロデューサー/ 国際イメージコンサルタント)
日野江都子(企業ブランディング・プロデューサー/ 国際イメージコンサルタント)

東京生まれ、ニューヨーク在住。フリーランスを経て、2004年、ニューヨークでリアル コスモポリタンを設立。日欧米亜合わせ数千人のハイプロファイリング・クライアント(日系企業や外資企業日本法人の経営層、政治家、財界人、セレブリティーなど)の包括的なブランディングを手がけてきた。施策提案など総合的なコンサルティングを実施し、高い評価を得ている。主な著書『仕事力をアップする身だしなみ 40のルール』(日本経済新聞出版社) 、『Premium Image Management for Men』DVD監修(SONY PCL)、『NY流 魅せる外見のルール』(秀和システム) など。

日野江都子(企業ブランディング・プロデューサー/ 国際イメージコンサルタント)

東京生まれ、ニューヨーク在住。フリーランスを経て、2004年、ニューヨークでリアル コスモポリタンを設立。日欧米亜合わせ数千人のハイプロファイリング・クライアント(日系企業や外資企業日本法人の経営層、政治家、財界人、セレブリティーなど)の包括的なブランディングを手がけてきた。施策提案など総合的なコンサルティングを実施し、高い評価を得ている。主な著書『仕事力をアップする身だしなみ 40のルール』(日本経済新聞出版社) 、『Premium Image Management for Men』DVD監修(SONY PCL)、『NY流 魅せる外見のルール』(秀和システム) など。

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