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家はこれから健康基地となる。「CES2021」でヘルス・ウェルネスを意識する企業が続々(玉井博久)

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家電メーカーがヘルス・ウェルネスを意識

メディアデーは通常2日ありますが、今回は1日のみの開催。トップバッターはハイセンスでした。その後立て続けにLG、サムスンと家電メーカーのカンファレンスを聴講しました。そして、3社のプレゼンから感じたのは、家がこれから「健康基地」になるということです。家電メーカーのプレゼンにも関わらず、「ヘルス」「ウェルネス」「ケア」という言葉が多く使われていました。すべては新型コロナウイルス感染症とそれによる生活の変化によるものです。

今やリビングルームがクラスルームになり、ベッドルームがオフィスになり、キッチンがDIY空間になるなど、家がワーキング、ラーニング、エンターテイニング、ショッピングなどのすべての活動の拠点になっています。これらの活動を安全に、そして便利に行うための支援をすると彼らはうたいます。

LGは安全の打ち手のひとつとして空気清浄を紹介しました。LG PuriCareは食器洗い機や洗濯機の洗浄技術を活用し、自宅の据え置きタイプだけでなく、ハンディタイプやマスクタイプなどを含め、いつでもどこでもきれいな空気を提供すると発表しました。パナソニックも「nanoe」の技術を使った空気清浄を紹介していました。

LGの清浄技術を活用した空気清浄を可能にするマスク。家の外でも使用可能。

そしてサムスンは「Samsung Health」として、ホームトレーニングを提案。テレビ画面を活用したエクササイズプランを巣ごもり生活に提案します。エクササイズを完了したらワークアウトサマリーが表示され、運動の成果を確認することができます。

様々なタイプのワークアウトプランを選ぶことができる。

さらにサムスンは「Samsung Bot Care」という家での生活を支える、AI搭載のロボティクスを紹介しました。「Samsung Bot Care」は生活者の行動を観察します。例えばパソコンを長時間見ていると、「ちょっと休んでストレッチをしたほうがよいのでは?」という提案をするのです。

また、家での時間をより有意義なものにするロボティクスとして、「Samsung Bot Handy」も併せて紹介されました。こちらのロボットには手があり、その手を使って、ワインをボトルからグラスに注いだり、散らかっている服を片付けたり、お皿を食器洗い機に入れたり、花を花瓶にかざったりできるロボットです。人間に代わってそうしたサポートをしている分、生活者はより有意義な時間を過ごすことができるようになります。

サムスンの「Samsung Bot Handy」。この手で色々生活者をサポート。

家電メーカーに続いて、フィリップスがプレスカンファレンスに登場しました。ヘルスケアカンパニーを代表する彼らは、今回のコロナパンデミックにより「健康が今までにないくらい生活者の意識に表れている。生活者は自分の健康のことを知りたいと思っているし、自分の健康をコントロールしたいと思っている」と捉え、生活者が家にいてもアプリやウェアラブルを通じて、必要な時に専門的なヘルスケアにアクセスできるように手を打っています。

例えば、オーラルヘルスケアです。多くの人がコロナによる外出自粛により歯科に行くのを躊躇していましたが、口内環境は健康に影響を与えるため「テレ歯科サービス」を提供。「フィリップスソニックエアシリーズ9900プレステージ」によって、ブラッシングの仕方が口内に圧力を与える場合にブラッシングを調整したり、アプリが正しいブラッシングをコーチしたりするものです。

また、ちゃんとした睡眠を得られていないと免疫システムに悪影響を及ぼすことから、家での睡眠時の無呼吸状態を把握し、よい睡眠をガイダンスすることにも手を打っています。生活者とプロがテクノロジーでつながることで、生活者が自分たちでコンディションをコントロールできるようにサポートしています。

CES2021のプログラムには健康軸のテーマが多い印象を受けます。家電メーカーが家の健康に進出してきたことで、今後ますますどの企業にとっても健康は重要なテーマになっていくことが予想されます。

玉井博久
Glico Asia Pacific Regional Creative & Digital Senior Manager 
兼 江崎グリコ アシスタントグローバルブランドマネージャー

広告会社側(リクルート、TUGBOAT)のクリエイティブと、広告主側(グリコ)のブランド構築の両方の経験を生かして、デジタルを活用した顧客体験(CX)を手掛けカンヌライオンズなど受賞多数。著書に『宣伝担当者バイブル』。2018年より3年連続CESに足を運び最新のデジタルテクノロジーを視察。得られた知見を、マーケティング、Eコマース、コンテンツプロデュースに活用。シンガポールにてASEANのECビジネスを2年で10倍以上拡大させる。2012年より日本のポッキーの、2016年より全世界のポッキーの広告を統括。ポッキーは、2020年にチョコレートコーティングされたビスケットブランドの世界売上No.1*として、ギネス世界記録™認定。

* タイトル:最大のチョコレートコーティングされたビスケットブランド/2019年 年間世界売上高 推計$589,900,000 (国際市場調査データによる)国際市場調査のデータ分類上、クリームでコーティングされたビスケットも含まれる。