ロサンゼルス滞在で学んだものは大きかった。もちろん、英語でのアイデア開発やブランディングという実務も学んだが、それ以上に、違う環境に身を置いて自分を相対化することを学んだ。違う環境にいくと、自分のスキルや、属していたカルチャーの特徴に気づく。二つの環境に身を置いて初めて、物差しが手に入る。それまでに培ったクリエイティビティを、いっそう意識的に使えるようになった。CHIAT\DAYでは、リークロウという伝説的なCDの元でブランディングを学び、大好きなAppleの「Think different.」を生み出したカルチャーに触れることができた。当時は「Think different.」という、僕自身が広告に夢中になったきっかけでもあり、意志を持って世界を変えるスティーブ・ジョブズ自身を表したような言葉に惹かれていた。でも8年経ってちょっと感じ方が変わったことがある。実は今、スティーブの言葉で一番好きなのは、「Connecting the dots.(点と点をつなぐ)」だ。