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ゼロから始める「ひとり広報」お悩み解決!Q&A(後編)

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広報部門に配属されたばかりで未経験。ひとりで広報活動をしていて心細い。広報活動について社内で気軽に相談できる相手がいない。リモートワークの中、一体、何から手を付ければ、成果につながるのだろうか…。
ここではそんな焦りを感じている方に向け、「ひとり」だからこそ「やるべきこと」を考えます。

※本記事は3月1日発売の『広報会議』から転載しています。

——ひとりで広報を始めるにあたっては、業務に優先順位をつけ取り組んでいく必要がある。「ひとりで始める広報活動基礎講座」(宣伝会議 主催)の講師を務めるBAKE 企業広報室 室長 真鍋順子氏に、受講生である広報担当者からのお悩みに答えてもらった。

企業ブランディングは?

Q:企業ブランディングの強化を指示されました。何をゴールに取り組んだらいいのでしょうか。

A:広報担当者として、自社の企業ブランディングは今、何が課題なのかを考えて、提案できると一番いいですね。組織の内外からの評判に常に耳を傾けている広報なら、自社の課題を把握して、あるべき姿とのギャップを見つけることができるはずです。広報が何も提案をしないと、上から指示が飛んで来てしまうわけです。「企業ブランディングを強化してほしい」と指示を出した人が何を期待しているのか、よく確認しておく必要もあります。

ブランディングを含め広報については、私も日々勉強を続けていますが、広報がブランディングの基礎知識を学んでおくことは大切です。どのような会社と見られたいのか、社内外にいつ・どのような発信をすれば企業ブランディングの向上につながるのか、まずは自分で考え、そこから経営陣とディスカッションしたりしながら、考えをまとめてみてください。

私が所属しているBAKEでは、コーポレートブランディングの一環として、ミッション、ビジョン、バリューの改定に取り組んでいます。なぜ今改定する必要があるのか、根拠資料を作って、経営陣を口説き、予算をつけることから始めました。着手した背景には、自社の経営体制の変化による組織強化の必要性、スイーツ業界の競合環境の変化、コロナの影響による消費環境の変化、ESG経営へのシフトの必要性などが挙げられます。

広報は、経営の一つの機能です。経営者と一緒に、ヒト、モノ、カネの経営要素について、課題を解決していく立場にあります。課題が何か、経営者と共通認識ができれば、広報として何ができるか提案しやすくなります。

課題解決にビジョン改定が必要だと思えば、取り組めばいいですし、売上拡大のためにメディア露出が必要だというならば、情報発信を強化していけばいいのです。

ブランディングツールの制作はあくまで情報発信のひとつの手段。制作することが目的にならないように、全社的な経営状況に鑑み、費用対効果や適切なタイミングを見計らって制作するといいですね。今、何に着手すべきか、見極めるようにしてください。

「経営課題を解決していく仕事をしているのだ」と考えれば、広報活動が単なる業務ではなくなり、もっと楽しめるのではないでしょうか。

広報のKPIとは?

Q:新設した広報部門で、活動の効果をどう測定するか、考えています。KPIを数値でと言われていますが、具体的にどう考えればいいのでしょう。

A:企業の成長ステージや事業内容によってKPI(中間指標)は異なりますが、例えば立ち上げたばかりの商品や事業があって、そのブランドのSNSも立ち上げた、というタイミングなら、KPIのひとつにフォロワーの増加が入ってくるでしょう。一方で、軌道に乗ってきたタイミングでも、フォロワーの「数を増やす」ことが、広報にとっての目標として相応しいか、は考えてみる必要があります。

例えば、新ブランドに関心を持ってくれた人たちと、SNSを通じて良い関係を構築し、共感してもらえるブランドにしていくことが広報活動の目的なら、ブランドの好意度が、SNS施策の前後で向上しているかをKGI(最終目標)とし、いいね数やコメント数をKPIにするといった考え方があるかもしれません。

私は前職で、採用広報を担当することがあったのですが、応募者数がKPIと言われ、それは広報のKPIだろうか、と戸惑った経験があります。経営視点では、いい人を採用することが課題ですが、広報は、自社への理解度や入社意向が高まったのか、を追求していくものと考えていたからです。もちろん、広報担当者が人事も兼務している状況なら、応募者数がKPIというのは正解なわけで、状況に応じて設定していく必要があります。何のためにPRしているのか、目的は何か、逆算していくと適切な目標数値が出てきます。

ちなみに、広報と人事を兼務する場合、会社が成長期で、一気に人を雇わないといけないタイミングというケースもあるでしょう。スタートアップ企業でひとり広報の場合、経営課題が多岐にわたっていても対処できることは限られます。案件が同時に複数やってきた時は、「優先順位はこう考えていて、スケジュールはこうしようと思っている。Aの案件はすぐ着手できるが、Bの案件は来週になるので、待っていてほしい」などと相手に伝えると、安心してくれると思います。

「急ぎです」と言われる案件が多い時は、「本当に急ぐのはどれだ?」と自問します。最優先は、緊急事態への対応です。絶対に出たいテレビ番組から問い合わせがきたら、もちろん即対応しますが、同じタイミングで緊急事態が発生したら、先に緊急事態に対処して、ほぼ同時並行でテレビ対応する。見極めが大切ですね。

ひとり広報担当へのアドバイス

1 企業ブランディング
今の経営課題は何か、広報視点で考え、どんなブランディング活動が必要か提案できる広報担当者になろう。

2 効果測定
何のためにPRしているのか、目的は何か、逆算していくと適切な目標数値が導き出せる。

3 仕事の優先順位
緊急事態への対応を最優先に。本当に急ぎの案件から優先順位をつける。予め相手にスケジュール感を伝えると、安心してもらえる。

回答者

真鍋 順子/まなべ・じゅんこ
BAKE 企業広報室 室長
SMBC日興証券にて営業を担当後、留学しマーケティングを専攻。帰国後、IR支援会社でIRコンサルティングに従事。その後、IT関連企業にて約12年間、社内外向けのPR・IR業務を主幹。2019年よりBAKEにジョイン。副業としてスタートアップの広報顧問も担う。

 

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