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オーディオコンテンツ活用のこれから① 「熱量」が伝わる音のコミュニケーション 急成長するデジタル音声広告市場

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米国のポッドキャスティング市場に見られるように、ここ数年オーディオコンテンツが人気だ。日本でもClubhouseが盛り上がるが、オーディオコンテンツ市場、それに伴う音声広告は国内でも活性化するのだろうか。TOKYO FMの嶋氏、長瀬氏に聞く。

月刊『宣伝会議』4月号(3月1日発売)では「ラジオを起点にデジタルへも広がるデジタル化で進化!『オーディオアド』の活用術」と題し特集を組みました。ここでは、本誌に掲載した記事の一部を公開します。

ユーザーへより魅力的なコンテンツ提供が必要に

嶋:2017年から米国のデジタル音声広告市場は150%近い伸びを続けています。その背景には、強力なコンテンツが次々に生まれることによる、ユーザーの拡大があります。記憶に新しいのは、アメリカのマルチメディアラジオ放送局「This American Life」が制作したポッドキャスト番組『Serial』。実際に起こった犯罪を女性記者が調査していく内容で、シーズン1と2のエピソードは合計3億4000万回以上ダウンロードという世界記録を達成しています。

その影響力の高さから、この事件について裁判所の再審を求める社会現象にまで発展しました。このように米国は先んじて、オーディオコンテンツが盛り上がりを見せています。

長瀬:日本国内でも2021年のデジタル音声広告市場の市場規模は約50億円、2025年までに420億円ほどに伸びると予測されています。このように市場が拡大している背景として米国3月以降の聴取を開始した15~19歳は他世代の2倍以上近年、コロナの影響もあり、ラジオの聴取を取り巻く環境は大きく変化しています。

昨年11月、当社がユーザーに対して行ったアンケート調査や聴取ログを分析した結果を見ると、その変化を数値で把握することができました。例えば視聴時間帯。もともと、聴取のピークとなる時間帯は通勤・通学時でしたが、2020年3月~5月にはリモートワークの増加に伴い、10時~ 18時という日中の聴取時間が増加しました。また新規ユーザー数の変化も顕著でした。

全体的にユーザー数は増えているのですが、2020年3月以降にラジコの聴取を開始した「15歳~19歳」の世代の割合は他の世代と比べて2倍以上になるという結果に。これは、休校や外出自粛によって増加した在宅時間の使い方として、ラジオが選択肢に入ったためだと考えられます。テレビやWebメディアと同様、オーディオコンテンツを楽しむユーザー数が増えているということがあります。

例えば、「Clubhouse」の日本のユーザー数の伸びを見ると、その拡大ぶりが伺えます。招待制というサービスにも関わらず、1週間で約50万人が登録。SNSの先駆けとも言われる招待制だった「ミクシィ」が50万人のユーザーを集めるのに1年かかったことを考えれば、その勢いのすごさがわかります。

これだけユーザーの関心が高いオーディオコンテンツですが、広告市場も含め、さらなる市場拡大のためには、それぞれのオーディオプラットフォームがエンタテインメント性を高めて、よりユーザーが楽しめる環境を市場全体でつくっていかなければなりません。

このような市場全体の拡大によって、音声広告の役割や価値も変わっていくでしょう。例えば、各種調査で、音声広告のブランド認知率は、非接触者よりも接触者のほうが高いことがわかっています。それは、パーソナリティとリスナーの距離が近く、エモ―ショナルなつながりによって、熱量が伝わりやすいという音声広告ならではの力だと思います。

ここに今後、コンテンツ力やクリエイティブ、さらに商品・サービス購買までの導線を構築することができれば、単にブランディングだけではなく、どれだけ売りにつながるのか、というコンバージョンまで追えるようになっていきます。

嶋:昨今は、radikoの普及により、ラジオ聴取に関連するデータの可視化や外部データとの連携も進んでいます。かねてからいわれている「ラジオはリスナーの心に深く刺さり、企業のブランディングに適している」といった「目に見えない価値」がデータで実証が可能となっており、広告メディアとしての価値も高まっています。

TOKYO FM 執行役員 デジタル戦略局長
嶋 裕司氏

 

TOKYO FM チーフデジタルプロデューサー
長瀬 次英氏

 

月刊『宣伝会議』4月号(3月1日発売)

特別企画
第58回「宣伝会議賞」ファイナリスト発表

 

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TOKYO FM/radiko/スポティファイジャパン