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社会になくてもよいモノを売る 元ブランドマネージャーのPR戦略

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「愛着」の形のひとつを見つけられた気がした話

このような仮説と選定軸でターゲットの選定を議論していく中で、私は「ストリート(ファッション)」というカテゴリーを好んでいる層に着目しました。なぜなら、ストリートを好む彼らの特徴としてブランドロイヤルティがとても高いことが理由です。

熱狂的なファンがついていて、そのブランドが出す新商品はすぐに完売し、そして何より興味深いのは発信力の強い人がそのブランドに共感し、ファンになる。そしてその方たちを見ているフォロワーもそのブランドを知り、またファンになる…。この認知と購買が鎖のように連鎖的につながっていく様子がとても印象的だったのです。

例えばシンプルなパーカーでも、そのブランドロゴがつくと途端に商品が売れ、人々はそれを大切に着ている。まさに、これがひとつの「愛着」の形なのかなと感じられたことが大きいです。

ただ、それだけでストリートを選んだわけではなく、「Ploom」は加熱式たばこ市場の中では3位のブランドであり、これから競合とわたり歩いていかなければならない商品です。その想いに共感し、共に歩んでくれるカテゴリー層を探してみたところ、ストリートという属性にマッチしたと感じています。彼らはたばこをアイデンティティのひとつとして選択・使用している人が多く、そして何より「ストリート」というカテゴリーを文化にしようと活動しています。

渋谷でスケボーを片手にたばこを吸っていて、そんな人が集まってひとつのコミュニティになり、またその人たちに憧れた人々が真似をする。まさに文化や空気感をつくりながら、情報を拡散していくことができるカテゴリーなのだと個人的には思っています。

そんな彼らと一緒に手を組むことができればPloomへの「愛着」を創出する大きな一歩になるのではないかと考え、2019年から実行してきました。

2020年は、Ploomがこれから加熱式たばこ市場でプレゼンスをより発揮したい、そこに力を貸してくれるブランドとして、渋谷原宿のストリートブランドの中ではロイヤルティの高い人々が注目する振興ブランドであった「Black Eye Patch」とコラボすることになりました。施策自体はすごくシンプルで、Ploomの旗艦店である渋谷店をラッピングし、Ploomブランドのデバイスにストリートブランドのオリジナルデザインを装飾、パッケージもその期間限定のデザインとして販売するというものでした。

結果としては、商品は即日完売。約250媒体に掲載され、SNSリーチも約450万リーチを達成。たばこ商材では類を見ない結果となりました。

2020年12月に渋谷・原宿エリアで開催された加熱式たばこブランド「Ploom」のPOPUP。開催直後に即完売する商品もあったという。メディアでも取り上げられ、話題となった。

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