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ソニーマーケティングが考えるコミュニケーション統合基盤を通じたデータドリブンマーケティングの新地平とは?

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効率的なマーケティングコミュニケーションに向けた環境作り

次にお話しするのは「効率的なマーケティングコミュニケーションに向けた環境」についてです。私は「効率的なマーケティングはロジックと経験によって生まれる」と信じておりまして、それにおいて「組織の経験を全レイヤーに活かしていく」ことが非常に重要だと考えています。そのためにはポイントとなる3つの環境があり、そのひとつ目が「PDCAが高速で回る環境」です。数字抽出に追われず、リアルタイムに指標が確認でき打ち手を打つことができる環境が求められます。ふたつ目には「ひとつの経験が組織の経験になる環境」で、個の経験に終わらず組織の経験になることも欠かせません。レバレッジをかけられる、指標を標準化し過去のキャンペーンや他カテゴリーの実績を把握して打ち手を設計できる、というところです。みっつ目は「透明性が保たれている環境」で、これは「担当者と代理店」や、「担当者とマネジメント」といった関係も含まれ、適切なレイヤーの人間が適切に指標をウォッチできてダイレクションできる、というのが非常に重要だと考えております。

そんな中で我々は2年前、「なかなか目標とする環境を実現できない」という課題感を持っておりました。具体的な課題は複数あり、そのうちのひとつは良くある話ですが「データ抽出に割く時間が多い」こと。ご存知の通りレポートには複数のデータが必要で、抽出すべき項目も非常に多い。広告パフォーマンスやウェブのパフォーマンス、オーガニックなパフォーマンス、SNSや実売データもあります。それぞれのデータを取っていくだけでも大変なうえに、管理上仕方がない話でもあるのですが、それぞれのデータは閲覧するための権限が絞られている。SNSであれば皆に権限を与えてしまうと事故が起こる可能性がある。ウェブマスター領域のサーチコンソールであれば、全員に権限を与えてしまったときに何が起こるかわからない。そうした理由で、データを取るだけでも複数人にまたがって取っていかなければならず非常に時間がかかってきました。

ふたつ目の課題は「指標の定義やレポート体裁が施策ごとに異なる」こと。レポートはExcelで作られているものやPowerPointで作られているものなど様々な体裁があり、レポートを読み込むのにも時間がかかってしまいます。また「指標の定義が異なる」こともネックで、コンバージョンひとつとっても媒体のコンバージョンやアドビのコンバージョン、さらにそのコンバージョンはラストのコンバージョンなのか線形のコンバージョンなのか。コンバージョンだけでも複数の定義が存在し「解釈が難しい」ため、なかなか過去の実績や横の担当者から施策を学ぶことができない、という環境が存在していたと考えています。

みっつ目の課題は「個人に依存し透明性に欠ける」ことです。これまでのレポートは代理店の担当者がExcelやPowerPointで運用担当者に渡し、さらに担当者からマネジメントに上げるために加工が重ねられる、という風に複数の加工プロセスが入っていました。これによって透明性・正確性が欠ける、という課題が生まれる。さらには「適切なタイミングでウォッチできない」という、人によって報告のタイミングは異なるため、運用担当者がマネジメントに上げた頃には打ち手が打てないタイミングになっている、ということが起こっていました。これらが当時抱えていた課題感になります。

そこで我々は課題解決のため、「限られた時間を分析・施策立案に使っていく」「同義の指標レポートで組織の経験値に」「関係者が共有できる透明性のある環境をつくっていく」ことを目的に広告の「ダッシュボードを導入」していきました。

「広告のダッシュボード」に絞ってお話ししていくための補足になるのですが、我々ソニーマーケティングは元々データオーナーであり、データによっては「Tableau」などを用いてビジュアライズ・モニタリングできる環境が整っていました。

しかし広告については代理店に運用をお願いしていたためデータオーナーではなかった。デジタルトランスフォーメーションが進んでいなかった、ということになり、そのタイミングでテコ入れを行いました。

その際に導入したのがセールスフォース・ドットコムの「Salesforce Datorama」というツールです。これはマーケティングコミュニケーション部門が活用できるBIとして導入したもので、「ひとつのプラットフォームでビジュアライズまでできる」「豊富なAPIがありデータ収集に強みを持つ」「SQLレスでデータ加工できるマーケターフレンドリー」といった部分をポイントとして選んでいきました。

選定理由としては、通常ダッシュボードを運用していくとき、「データ収集」「データ加工」「ビジュアライズ」というプロセスが走ることになります。しかしこのみっつのプロセスを別々の担当者が実行すると、先ほどのExcelワークと同様に人的ミスが起こりやすくなり、データの透明性が下がってしまいます。

しかしDatoramaでは、一連の作業がワン・プラットフォームで完結することができます。「データをAPI・メールで取得できる」「SQLレスで加工ができる」ため、一定のケーパビリティを持ったマーケティング担当者がいればシステム担当の力を借りずメンバー内で運用できることになります。「比較的Excelに強い」「アドビアナリティクスを運用している」といったマーケティング担当者であれば扱えるため、我々もマーケティング部門だけで運用しております。

「現在のダッシュボードの構成」としては、大きく「カテゴリー」と「プラットフォーム」に分けています。「プラットフォーム」では「広告」「SNS」「メール」等が集まったダッシュボードになっており、「カテゴリー」はそれぞれのカテゴリーに紐づく施策ベースのダッシュボードになっています。プラットフォームに入っているデータをカテゴリー軸に切ったものを上に乗せて運用し、それぞれのメンバーのニーズにあったものを提供している、という運用を行っています。

「活用による変化」としては、ダッシュボード導入の典型例かもしれませんが、「推移でのモニタリングが標準化」しました。Excelで定点集計した指標だけでなく推移も見ることで、変化があったときに「ここはどうなっているのか?」と代理店に確認できるようになったり、推移で見ることによって予測・計画が立てられるようになりました。

ひとつ実例をご紹介します。「Click最適化」から「CPA最適化」に変更した例で、CPCが低いところから一気に上がっているタイミングが「CPA最適化」に変えたタイミングになります。「CPA最適化」ではCPCを無視することになるためCPCは高騰していきます。しかし実際に運用してみたところコンバージョンは変わらなかったという結果が出たため、「CPCを低くしよう」「Click最適化にしていこう」と入札戦略を変更しました。また「どこまでCPCを戻すか」を検討する際にはDatoramaの表示期間を「過去3カ月」から「今年度」へと切り替えるだけで過去のCPCのラインと比較して「年度末でオークションプレッシャー高いけれどここまでCPCを下げよう」といったダイレクションができるところが変化のひとつだったと感じています。

ふたつ目の変化は「短期のキャンペーンのモニタリングが可能になった」という点です。コロナ禍でウェビナーが非常に増えてきていますが、B2Bの我々もウェビナーを月2回程度やっております。入稿しに行くだけでも大変な状況の中、細かくレポートまで代理店にお願いするのはなかなか難しいところだと思います。ですが広告系のダッシュボードを入れることによって、開始からDay1では「広告が出ているのか?」の部分を確認でき、Day2・Day3では「CPC・CPAの水準」を確認できるようになります。ここでCPAが通常よりも低かった場合には、「増額して拡大していこう」という判断ができます。また、Day4・Day5で「メディアの絞り込み」をして、Day6・Day7で「着地見込み」を確認する。こうしたモニタリングを短期のキャンペーンの中でも実現できるのは、ダッシュボードがある醍醐味だと思っています。

みっつ目の変化は「権限が限られていた指標へのアクセス」です。これまではアクセス権の関係ですぐに取得できなかった「Organic Search」や「Social Media」、「動画プラットフォーム」といったパフォーマンスが容易に取得できるようになりました。シンプルなことですが、多くのメンバーに喜ばれた部分です。

次ページ 「ダッシュボードの位置づけ」へ続く


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株式会社セールスフォース・ドットコム Datorama

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