メール受信設定のご確認をお願いいたします。

AdverTimes.からのメールを受信できていない場合は、
下記から受信設定の確認方法をご覧いただけます。

×

川崎フロンターレ中村憲剛さんが考える広報とは?【広報会議150号記念】

share

川崎フロンターレを3度のリーグ優勝に導くなど、チームを引っ張ってきた中村憲剛氏。現役引退後は、川崎フロンターレのリレーションズ・オーガナイザーとして活動している。
選手時代から広報活動に積極的だった、中村氏の広報観とは。

※本記事は『広報会議』150号(2021年6月1日発売)より転載しています。

©KAWASAKI FRONTALE
川崎フロンターレ FRO(Frontale Relations Organizer) 中村憲剛氏
なかむら・けんご 1980年生まれ東京都出身。2003年川崎フロンターレ加入。2006年日本代表デビュー、2010年南アフリカW杯出場。国際Aマッチ68試合出場6得点。川崎フロンターレの中心選手として2017、2018、2020年とJリーグ優勝。2016年歴代最年長36歳でJリーグ最優秀選手賞。40歳で現役引退、2021年から現職。サッカー解説者。日本サッカー協会ロールモデルコーチ。

FRO(Frontale Relations Organizer)。フロンターレひと筋18年、チームを引っ張り続けた中村憲剛氏が、引退後に就いた役職がこれだ。フロンターレを取り巻く組織や人との「リレーションズ」を円滑にし、望ましい形にオーガナイズ(調整)するという。ネーミングは自身で行った。

「フロンターレの育成組織のサポートと、クラブの内外問わず幅広い活動範囲でのサッカーの普及・広報。この2軸がメインです。でも役割はかちっと決めずフレキシブルにしたくて。引退後ここまでの間、ありがたいことに多くのお仕事をいただきました。そこで現役時代とは全く別の経験をすることができたのですが、選手時代、自分がいた世界は当たり前ですが狭い世界だったんだなと思います。改めて、こんなにも多くの方々がサッカーを伝える、広めるために動いてくれていることに感謝していますし、今、自分もその中に身を投じながらサッカーをいかにして広められるか、自分なりに考えながらチャレンジしているところでもあります」。

勝負の世界とSNS発信

選手時代から中村氏は積極的にブログやTwitter、Instagramなどで発信を続けてきた。

「フロンターレには選手自ら発信する文化があります。その発信に対するサポーターのリアクションもいい。Twitterを始めた年のJリーグの開幕戦で、勝利後にロッカールームでみんなで喜んでいる写真をツイートしたところ、サポーターの皆さんがすごく喜んでくれて。普段なかなか見られない場所でもありますし、これは出し方次第ですごくパワーになるぞと手応えを感じました。

そこからは勝利後のロッカールームツイートはサポーターの皆さんと勝利を共有するという意味でも自分の楽しみにもなりました。そういう経験を経て、次第に自分は“選手兼広報”のつもりでSNSを更新するようになりました。ただサッカーには勝ち負けがあるので、負けた時は『投稿なんてせずに練習しろ』と言う人も一定数います。それも含めての発信なんです。負けた時こそ真摯な発信をするべきだと思いますし、そう思って投稿を重ねるうち、リテラシーが身に付いてきました」。

ときにアンチによる心無い言葉もある。だが「文句を言っている=自分に時間を割いてくれている、ということ。逆にありがたいという感覚です」。

ただし投稿内容は熟考している。「誰かを傷つけてはいけないし、迷惑もかけてはいけない。全方位にとても気をつかいます。最後には妻やフロンターレの広報担当者の方など複数人に内容を見てもらってボタンを押します。投稿ボタンを押したらもう後には戻れません。公式な意見として全世界に広まります。なので投稿する時は最後の最後まで何回でも読み返しますね」。

選手時代、試合に勝った時はロッカールームの写真を撮影しTwitterでファンに届けるのが定番に。現役引退日のツイートは背番号14のユニフォームを投稿。

©KAWASAKI FRONTALE
川崎フロンターレ新体制発表会にて、FROに就任。ライブ配信も行った。契約書のサインは足型だった。

全力で楽しめる理由

FROになって見えてきたこともある。そのひとつがスポンサーとの向き合いだ。

「現役時代はスポンサーの方々にスタジアムへ来てもらったり、SNS上で絡むことはあっても、なかなか訪問はできません。引退後、個人のアンバサダーを務めるミズノの本社に引退の報告とこれまでのサポートへの感謝を伝えに訪問した時、テレワーク中にもかかわらずたくさんの社員の方々が温かく出迎えてくれて。SNSでは体感できないリアルな喜びを感じました」。

スポンサーのみならず、東日本大震災後の陸前高田の復興活動など地域社会にも向き合ってきた。

続きは、『広報会議』通巻150号特別号

『広報会議』通巻150号特別号

明日、6月1日発売の『広報会議』通巻150号特別号では、中村憲剛氏ほか、有識者、実務家に、社会における広報のパーパス(存在意義)は何か、インタビューしています。
 

特集
新サービスPRからリスク対応まで
社会の変化に対応する
「状況判断」力
 

これからの広報観1
周囲を喜ばせるパワーをサッカーの広報活動へ
発信後のリアクションが、成長機会になる
中村憲剛(川崎フロンターレFRO)
 

これからの広報観2
今や誰でも社外に発信できる時代に
広報は「オーガナイズ」する存在に進化すべき
青野慶久(サイボウズ代表取締役社長)
 

ベテラン広報に聞いた
取り組んだ改革、広報の醍醐味
アメリカン・エキスプレス/オムロン/サイバーエージェント/新生銀行/スクウェア・エニックス・ホールディングス/ダイドードリンコ/帝人/流山市役所/プリンスホテル/メルカリ
リスト/MSD/日本電気(NEC)/東邦レオ
 

著者に聞く広報観
広報は、報道・表現の自由を守り育てる一員
高木 徹(『戦争広告代理店』著者、NHK国際放送局 チーフ・プロデューサー)
 

これからの広報観3
どんな発信もコミュニケーションも
「伝わる」にはタイミングと選択
刈屋 富士雄(立飛ホールディングス スポーツプロデューサー)
 

これからの広報観4
対話で得た評判と実態の乖離を問い
無形資産づくり、ESG経営の担い手に
伊藤邦雄(一橋大学 CFO教育研究センター長)
 

なぜ「パーパス」「従業員エンゲージメント」に
関する取り組みが必要なのか
片岸雅啓(経済産業省 経済産業政策局 産業人材課)
 

CASE 中の人に聞いた
社会動向との接点を活かした
投稿事例6選
全日本空輸/太田記念美術館/日本マクドナルド/キングジム/スターバックスコーヒー ジャパン/森田アルミ工業