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sioと博報堂ケトル、新会社「シズる」で新しい食文化をつくる

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「それ、シズってる?」が合言葉

——「シズる」という社名の由来や、そこに込めた想いは。

井手:鳥羽さんがすでに「シズル」という言葉を思いついていて。僕がやったのは、「ル」をひらがなにしたことぐらいですね。

鳥羽:でもそこが大事だよ。

「シズる」の企業ロゴ。

井手:カタカナの「シズル」だと名詞で動きがないけど、「シズる」にするとイントネーションが変わって動詞になるんです。世の中を、世界をシズらせる(=ワクワクさせる)アクションを、ひとつでも多く生み出していきたいという願いをこめています。

皆川:意志を感じられるようにしたいっていう話もあったよね。

鳥羽:井手くんの言葉で僕が大事にしているのは、「シズる」っていうのはバズじゃなくて文化をつくることだという話。未来を見据えた上で新しい食文化を提案していく会社なんだっていう話に新しい可能性を感じました。

僕らが大事にしているのは、世の中が、僕らがワクワクするのか、つまり“シズるかどうか”。もちろんビジネスだけど、合言葉は「それ、シズってる?」ですから。僕はよく「幸せの分母を増やしたい」という話をするんですが、食のクリエイティブを通じて「おいしい」を届けることで、幸せを感じる時間=幸せの分母を増やしていきたいなと思っています。

選定基準は「家族になれるかなれないか」

——具体的な事業内容を教えてください。

鳥羽:大きく4つあります。飲食ビジネスにおける課題解決を目指す「クリエイティブ開発」、店舗展開を見据えた「D2C」、オリジナルスイーツなどの「卸売り」、「飲食店の運営」になります。

皆川:具体的に言うと、プライベートブランドや商品・マスターメニューの開発やディレクション、パッケージデザインなどを行います。クライアントは飲食業の方々をメインに考えていますが、食の可能性ってすごく広いので、まったく関係のない分野に対しても、新しい食体験のアイデアを提案できるかもしれないなと思っています。

4つの事業のイメージ。

鳥羽:ジャンルを問わずたくさんの人を幸せにしたり、一緒に成長できるような提案をしたいから、仕事相手を選ぶ基準があるとするなら「家族になれるかなれないか」だけですね。

皆川:8月末には、表参道にsioとシズるで一緒レストランをつくる予定です。“おいしさ”という前提は軽々と超えつつ、飲食業界の課題を解決したり、まだ誰もやっていないスキームだったり、新しいスタンダードを提案できるお店にしようと構想しています。また、D2Cブランドも、秋ぐらいからアウトプットできると思います。

鳥羽:これらを運営するうえでの一番のモチベーションというか、肝は「課題解決」ですね。シズるは最高の相談相手になりたんですよ。食の目安箱みたいな。今まで飲食店の経営者は、食のことで相談したくても、どこに相談したらいいのか分からなかったんです。

僕自身がレストラン業界の未来や課題を考えていく上で生まれたのがシズるだから、何か困った時に「とりあえずシズるに相談してみようか」って言われるプラットフォームになれたらすごくいいなと思っています。

井手:広告をつくる流れがバケツリレーだとしたら、「シズる」は円卓。いろんな分野のプロフェッショナルが、卓上にある課題を食やPR、コピーといった多様な切り口から一気に解決します。それも、体験そのものをつくっていけるのが強みだと思います。ゼロからPRやコピーの発想を入れられるので、ものすごく純度の高い、強いものができる。

鳥羽:純度の高さとニュートラルさは、シズるのコアな部分だよね。“万人においしさがちゃんと届く”っていうのはかなり大事なことなんです。「シズる」はなんとなく、“おいしそうなイメージ”があると思うのですが、立ち上げたばかりの組織なのにそこまで伝わっているのは、井手くんの言語化があるからこそ。「おいしい」という感覚は言葉からも届くんだと、初めて知りました。

あと、芸術家のようなクリエイティブ制作に留まるのではなく、きちんとクライアントワークができる人が集まっている、というのもポイントだと思います。総合力がないとクライアントワークはできないので。

次ページ 「地域で耐久力のあるものづくりを」へ続く