大坂なおみ選手の取材拒否と、ネガティブ・メディアトレーニングがなくなる日

【前回コラム】「記者会見時、マスクは外す?外したマスクはどこに置く?」はこちら

全仏オープン開幕3日前の5月27日に、女子テニスの大坂なおみ選手が試合後の記者会見を拒否した問題。これまでスポーツ選手は、メディアから投げられる「負の質問」への対応の“苦痛”に耐えることが義務のようになっていたが、彼女はその原因となる古い決まりごとに対し問題提起した。これは新しい時代への布石だ。

大坂なおみ選手(©123RF)

会見は、社会やファンに自分の意思を伝える場

メディアトレーニングの場に立ち会う機会のある筆者は、スポーツ選手のメディア対応の状況は、選手に不得手なことを求めるだけに止まらず、不愉快な質問にも笑顔で答えることが求められるため、苦痛を与えて疲弊させている行為だと感じていた。メディア側、そしてそれを黙認するかのような業界、そして社会には心底疑問を抱いている。

メディアトレーニングが目指すのは、「負のイメージ」と受け取られかねない言動のノイズを防いで、選手の生の声で大事なことを分かりやすく適切に伝えることだ。“選手のブランディング”という点を基軸として考え、聞き手により期待してもらえるようにトレーニングするのだ。

しかし、失礼でバカバカしい質問にムッとした顔ひとつせず、笑顔で答える練習をするのはメディアトレーニングではない。拷問に耐えさせるための覚悟の時間だ。これがおかしなことであると、なぜ今まで誰も発言しなかったのだろうか。

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日野江都子(企業ブランディング・プロデューサー/ 国際イメージコンサルタント)
日野江都子(企業ブランディング・プロデューサー/ 国際イメージコンサルタント)

東京生まれ、ニューヨーク在住。フリーランスを経て、2004年、ニューヨークでリアル コスモポリタンを設立。日欧米亜合わせ数千人のハイプロファイリング・クライアント(日系企業や外資企業日本法人の経営層、政治家、財界人、セレブリティーなど)の包括的なブランディングを手がけてきた。施策提案など総合的なコンサルティングを実施し、高い評価を得ている。主な著書『仕事力をアップする身だしなみ 40のルール』(日本経済新聞出版社) 、『Premium Image Management for Men』DVD監修(SONY PCL)、『NY流 魅せる外見のルール』(秀和システム) など。

日野江都子(企業ブランディング・プロデューサー/ 国際イメージコンサルタント)

東京生まれ、ニューヨーク在住。フリーランスを経て、2004年、ニューヨークでリアル コスモポリタンを設立。日欧米亜合わせ数千人のハイプロファイリング・クライアント(日系企業や外資企業日本法人の経営層、政治家、財界人、セレブリティーなど)の包括的なブランディングを手がけてきた。施策提案など総合的なコンサルティングを実施し、高い評価を得ている。主な著書『仕事力をアップする身だしなみ 40のルール』(日本経済新聞出版社) 、『Premium Image Management for Men』DVD監修(SONY PCL)、『NY流 魅せる外見のルール』(秀和システム) など。

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