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「スポーツ」を越えて「日常」へ、千葉ジェッツふなばしのリブランディングプロジェクト

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B.LEAGUEに所属するプロバスケットボールチーム「千葉ジェッツふなばし」は6月7日、リブランディングの実施を発表した。設立から11年目を迎え、装い新たに「100年続くクラブ」を目指す。
(本記事は月刊『ブレーン』2021年9月号の特集、「海外アワードから読み解く 世界のクリエイティブ」に掲載したものです)。

「すべての時間をジェッツ色」に

「千葉ジェッツふなばし」のリブランディングコンセプトムービー。竹田芳幸さんのもと、スポーツのクリエイティブに強いメンバーが集まって制作された。

今年6月1日に開催された「日本生命B.LEAGUE FINALS 2020-21」で優勝を果たし、現在日本一の男子プロバスケットボールチームが「千葉ジェッツふなばし」だ。設立10周年を目前にした2018年頃から、リブランディングの実施について議論がされてきた。

「選手やスタッフ、ブースター(ファン)などへのヒアリングを重ねてきました。その中で見えてきたのが、良い意味でスポーツの枠に収まらず、日常の中のエンターテインメントとして千葉県の人々に溶け込む千葉ジェッツの姿。その姿に近づくために、チームの在り方や見せ方を再定義する必要がありました」と千葉ジェッツふなばしのアートディレクター 新井匠さんは説明する。

新たに制定したスローガンは「PAINT IT JETS」。「千葉ジェッツに関わるすべての人の、すべての時間をジェッツ色に染めていく」という意思が込められている。「以前はフォントやカラー、ロゴの設定も出面によってバラバラな節があって。より多くの方々に浸透させていくために、デザイン面の整理は必須だと考えました」と新井さん。そこでロゴやブランドカラーを刷新し、オリジナルフォントも制定した。それらはすべて、新井さんをはじめとした社内のデザインチームで内製したものだ。

ロゴの三角形の形状は、千葉ジェッツを構成する「ブースター」「パートナー・地域」「チーム」という三者を表現。左上が「C」、残りの部分が「J」を示し、「J」の終点の右肩上がりの角度や鋭角な形状は、上昇と挑戦を表している。またメインカラーの赤を「チャレンジング レッド」と命名、ネット上や街中でも一目で千葉ジェッツが連想されるような、統一された見せ方を目指す。

リブランディング後の「千葉ジェッツふなばし」のロゴ。
新しいロゴやカラーを用いたオリジナルグッズ。「日常でも使ってもらえたり身に着けてもらえるようなグッズを拡充していきたい」と新井匠さん。

意図を丁寧に伝えるしくみづくり

プロジェクト全体のコミュニケーションプランニングを担ったのは、電通デジタルのクリエイティブディレクター 竹田芳幸さん。スポーツチームのクリエイティブを多数手がけてきた。制作時はもちろん、その後の発表のフェーズにおいて竹田さんや新井さんが細心の注意を払ったのが「ファンの方々に受け入れてもらうこと」、そしてそのために言葉を尽くすことだ。実際Webサイトにはロゴを紹介するモーショングラフィック、コンセプトムービー、そしてリブランディングの背景まで、つぶさに説明がされている。

さらには今後のロゴやカラーの使用イメージまで記載。そのかいもあってか、6月7日の記者会見後には予想以上に好意的な反応が集まった。「すごく反応が良くて。ちょっと泣きました(笑)」と、竹田さん。

さらに、スタッフ向けに46ページにわたるブランドのガイドラインも制作。「外部のデザイナーなどと協業するとき、最初にシステムをつくれば、この資料ひとつでデザインの意図が伝わります。他のスポーツチームのブランディング事例を参考にしました」(新井さん)。

好調なスタートを切ったリブランディングプロジェクトだが、「ゴール」にはほど遠いと二人は口をそろえる。「既存のファンの方々に受け入れられつつ、継続的にファンを増やしていく役目を果たしていってほしい」と竹田さん。新井さんも「チームのさらなる成長のために、価値のあるブランドにすること。さらにそこからスポーツだけではなく日常にまで派生していけたら。スポーツをもっと夢のあるビジネスにしていきたいですね」と先を見据える。

ロゴやフォントについて説明するモーションムービー。
ロゴやブランドカラーなどの決定の背景を詳しく記載したリブランディングサイト。

スタッフリスト

全体

企画制作
千葉ジェッツふなばし+電通デジタル
Pr
安藤希倫
AD
新井匠、高良和忠
D
森駿介
C+コミュニケーションプランナー
竹田芳幸
PM
舟久保昇礼

 

Web動画

CD
竹田芳幸
Pr+制作
駒木剛
演出+編集(コンセプトムービー)
安藤隼人
モーショングラフィック
東方田桂伊
企画
森友佑
撮影
田中一成(コンセプトムービー)、小林茂太(インタビュー)
照明
若林茂一
編集(インタビュー)
早田晃誠
CG
島猛
音楽
穴水康介
録音
戸村貴臣
MIX
浅田将助
NA
清水優譲

ECD:エグゼクティブクリエイティブディレクター/CD:クリエイティブディレクター/AD:アートディレクター/企画:プランナー/C:コピーライター/STPL:ストラテジックプランナー/D:デザイナー/I:イラストレーター/CPr:クリエイティブプロデューサー/Pr:プロデューサー/PM:プロダクションマネージャー/演出:ディレクター/TD:テクニカルディレクター/PGR:プログラマー/FE:フロントエンドエンジニア/SE:音響効果/ST:スタイリスト/HM:ヘアメイク/CRD:コーディネーター/CAS:キャスティング/AE:アカウントエグゼクティブ(営業)/NA:ナレーター

 

月刊『ブレーン』2021年9月号

【特集 海外アワードから読み解く 世界のクリエイティブ】
・2020ー2021年 時代を映す 世界の広告10選
・日本の受賞作品
・4人のクリエイターが見た世界の広告の現在 7つのポイントと潮流
・「社会正義」とどう向き合う? 国民文化で変わる広告表現

【TCC賞2021受賞作品発表】

【青山デザイン会議 日本で表現するということ】
アユミタカハシ、キリーロバ・ナージャ、マイク・エーブルソン

【SPECAIL】
・CAREER NAVI ネクサス
・注目のクリエイティブチーム 青空
・CONNECTION LAB レポート 三菱UFJフィナンシャル・グループ「赤い球の冒険~MUFG Soul Movie~」(監督:大澤健太郎)
・今夜も窓に灯りがついている. 星野舞夜

【PICK UP】
・千葉ジェッツふなばし リブランディングプロジェクト
・日本女子プロサッカーリーグ「WEリーグ」

【連載】
・CMの裏側 キャスター/CASTER BIZ「レトロフューチャーオフィス」篇
・リサーチ主導のデザイン 文:山崎みどり
・プロトタイピング発想のデザイン 文:三冨敬太
・広告少年 松田翔太×吉兼啓介(博報堂)
・C-1グランプリ 岡部将彦(Que/Quest)×船引悠平(ADKクリエイティブ・ワン)
・仲畑広告大賞
・デザインプロジェクトの現在 柿木原政広、木住野彰悟
・今月のブックマーク 藤原麻里菜
・STAND THE FLAG 宮崎県/愛媛県
・心に残ったプレゼン術 岡部
・名作コピーの時間 近藤雄介(電通デジタル)
・クリエイターおすすめのブック&マガジン 稲田ズイキ
・デザインの見方 小杉幸一
・SPECIALIST NAVI:キャスティング 中村裕之(ビーポップ)