【前回】「「ブランドパーパスとは、ソーシャルグッドのことだ」。
その誤解を解くために、書きます。」はこちら
みつをさんと、マツコさん
「私がこの世に生まれてきたのは、私でなければできない仕事が、何かひとつこの世にあるからなのだ」とは、最近知った相田みつをさんの言葉(それまでは「にんげんだもの」くらいしか知らなかったですが)。ブランドも同じではないでしょうか。どのブランドにも必ず、何かしら世の中で果たすべき役割が存在するんだと思います。ただし人間と決定的に違う点があります。それは、世の中で果たすべき役割を見つけられないブランドは存在することができない、という過酷な真実。
人は「私でなければできない何か」を探すために、青春時代にはバンドをはじめたり、世界一周の旅に出かけたり、いきなりポエムや小説を書き出したりして悶々としますよね(かなり主観が入ってますが)。あるいは社会に出てからは、「自分は、何をするべきなのか?」「今の仕事は、はたして自分の天職なのか?」と思い悩み、異動や転職を試みたりするわけですが、おそらく多くの場合、答えはなかなかすぐには見つからないものです。にんげんだもの。
しかしブランドの場合は、そう悠長なことを言っていられない。でもブランドの果たすべき役割を、どう見つければよいのか?
というわけで今回は、ブランドは、どう世の中における存在意義を見つけていけばよいのか?つまりブランドパーパスをどう発見すればよいのか?について書きたいと思います。
この内容は、ブランドパーパスそのものを探し当てるための考え方にもなるし、すでにブランドパーパスやそれに近いものがある場合でも、それを改めて見直したり、ブランドパーパスに基づいた、具体的なメッセージ(Say)やアクション(Do)を設計するための基本的な考え方にもなるものです。
さて、先日ぼんやりと「マツコ会議」を見ていると、マツコさんが「自分の天職って、自分で決めるのものではなく、あんがい他人が決めてくれたりするものよ」といった趣旨のことをおっしゃっていました。自分の内面を悶々としながら掘り下げていっても、こじらすだけ。他者があなたに対して求めていること、あなたという個性に対して期待していること。それに応えていくことで、いつの間にか自分の果たすべき役割が見つかっていく、と。
まさにブランドパーパスも同じではないか。ブランドの存在意義も、実はブランドの内部に深く潜れば見つかるというものでもなく、「世の中(あるいは、今という時代)」そして「消費者」という、ブランドの外部にあるものの存在によって、ある意味、おのずと決まっていくのではないか。そう思います。
もちろん、ブランドの内部にあるものも重要です。例えば、創業者の想い。開発者の願い。ブランドの起源や歴史。しかし、そういった想いやヒストリーも、実は当時の世の中に対する問題意識や、その時代だからこそ抱いた創業者や開発者の理想(前回紹介したハウス食品の創業の理念などは、まさにそうかも)、あるいは、「身近な誰かを助けたい」という想いなど、ブランドの外部にあるものに影響を受けて生まれていたりします。
「燃えない、スベらない。パーパス・ブランディングの極意とは」バックナンバー
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