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コラム

サステナブルな関係をつくる「コミュニティ的」オウンドメディア

同心円状のコミュニティ的メディア

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取材対象者にとって「代名詞」となるか

企業の発信のオウンドメディアでは、どうしても世の中ごとになる商品や取り組みの「裏側」に目を向けてしまいます。そういったコンテンツは引きがある一方でどうしても主語が大きくなり、時として読者を置いてけぼりにしてしまいます。とかくnoteのように「個人の思いを伝える」だと、主語の大きさと比例して読者が離れる傾向があるようにも思います。

そういう視点から離れて、従業員ひとりひとりにフォーカスを当てたコンテンツをやりたいとずっと思っていました。ひとりひとりの日々の小さな工夫の積み重ねが企業の推進力になっていることを伝えるために始めたのが「#わたしとキリン」というインタビュー企画です。

「#わたしとキリン」は、キリンのnoteの中でも随一のヒット企画となった。

この連載を始めた時に意識したのは、取材された従業員にとって、自身を物語る「代名詞」になりうるか、ということでした。それだけ密度の高い記事にすることを意識していました。

そうなるとインタビューは長丁場になりますし、自然文字数も増えます。中には10,000字を超えるものもありました。いかに長文コンテンツが多いnoteにあっても、なかなか勇気のいる文量です。それでもその記事が取材対象者にとって「代名詞」になるか、その一点を守るため、文字数は気にせずに記事化することにしました。

結果としてどんなことが起きたか。インビューされた従業員のみなさんが、公開されれば、家族や知人、自身のSNSにシェアしては、「家族が喜んでくれた」「部署内でも読んでもらっています」といった嬉しい声が届くようになりました。その熱を帯びた声は社内におけるnoteそのものの存在感がじっくり温まっていくのを感じました。

これもまた、「内側」に生まれたひとつの小さなコミュニティと言えるでしょう。この取材をきっかけにして、取材した従業員から、今度はその従業員が携わっている商品や取り組みにフォーカスしてほしいといった声が出るようになりました。ひとつひとつのコンテンツを丁寧に伝えることでインナーから小さな期待が生まれ、その輪が徐々に広がり始めているのを感じます。

Twitter上では、当社の印象がずいぶん変わったといったポジティブな声もありました。当初の目論見通りの反響が生まれています。着飾らず実直でパーソナルな言葉が浸透するのはnoteならではの傾向とも言えるでしょう。

次ページ 「代弁してもらえるほどの熱量を交換する」へ続く