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コピーライターのステップアップに必要だったもの

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昨年の販促コンペにおいて、聖隷福祉事業団の課題でゴールドを受賞した中島優子氏。コピーライターとして広告業界でのキャリアを歩む中で、なぜ企画アイデアを競う販促コンペに挑戦しているのでしょうか。コピーライターのその先を見据える中島氏に話を聞きました。

第14回販促コンペ公式サイトはこちら

ビーコンコミュニケーションズ
コピーライター 中島優子氏

2015年、広告制作会社・レマンに入社し、グラフィック広告制作に従事。18年より広告代理店・ビーコンコミュニケーションズに移籍し、現在はマス、デジタル、紙媒体など多岐に渡るメディアを使い、企画立案やコピーライティングを行う。21年、ACC ゴールド/OCC賞/販促コンペ ゴールドなど受賞。日本ワイン、チーズ、猫、旅が好き。

―――はじめに中島さんのご経歴について教えてください。

コピーライターになる前は、総合インターネット会社で営業事務をしていました。文章を書くことに興味を持ったのは、当時の上司からサイトの文言を書いてほしいと依頼されたことがきっかけです。書くこと自体も楽しかったのですが、その文章が周りからも評価され、次第にコピーライティングが私の仕事の中心になっていきました。

ただ当時、社内にはコピーを適切に評価できる人がなく、自分はちゃんと機能するコピーを生み出せているのか、と悩む時期もありました。その時に、後輩からオススメされた谷山雅計さんの広告コピーの本と出会い、“発想体質”になるためのトレーニング方法が非常にわかりやすくまとめられた内容に、深く感銘を受けました。そして、その谷山さんが宣伝会議のコピーライター養成講座で講師をされていることを知り、講座にも通うようになりました。

講座に通っていると、コピーを書くことがどんどん楽しくなっていきました。何より、広告業界のことを心から楽しそうに語る先生たちや、刺激的な仲間たちとの出会いから、コピーライターになりたいという思いが強くなり、転職を決意。その後、広告制作会社・レマンに採用いただき、コピーライターになりました。2018年には、さらなるステップアップのために総合広告エージェンシー・ビーコンコミュニケーションズに移籍し、現在に至ります。

これまで宣伝会議のアワードでは、2015年と2017年に宣伝会議賞の協賛企業賞を受賞し、2019年には販促コンペ・協賛企業賞、2021年には販促コンペ・ゴールドを受賞しました。

第13回販促コンペでゴールドを受賞した「エデンの園 キャンパスライフコース」の企画書(一部)。

―――販促コンペに挑戦し始めた経緯について教えてください。

私はアワードに応募する際、何かを得たり、自分に足りない力を身につけることを目的にしています。コピーライティングを始めた当初はコピーライターになるため、採用後しばらくはコピーライターとしての力を磨くために宣伝会議賞にチャレンジしていました。

販促コンペへの挑戦を始めた理由は、純粋に企画のトレーニングのためです。かつての広告は1本のコピーが強い影響力を持つ時代でしたが、今はそうではないと思うからです。広告は世の中や消費者を動かすものですから、情報の中心にあるインターネットを踏まえ、様々なメディアを活用した企画を考えていく必要があります。そのためには、コピーを書ける能力と同じくらい、企画をつくる能力も持っていなければなりません。仕事を進めていく上でそれを痛感していたこともあり、しっかり世の中で機能する広告をつくりたいと思い、販促コンペに取り組み始めました。

初めて販促コンペに参加したときは、デザイナーの先輩に誘っていただいたのがきっかけだったのですが、その年は受賞できませんでした。ただ、先輩が他の方と組んで応募した企画が、審査員個人賞を受賞されていて、悔しかった記憶があります。

その後は毎年のように挑戦して、協賛企業賞、ゴールドを受賞できたのは、販促コンペで企画をつくる力が鍛えられてきたからだと思います。

―――昨年、ゴールドを受賞されましたが、販促コンペに取り組んできて、何か変化や得られたものはありましたか?

販促コンペで培われたスキルやノウハウが、自分の実務に確実に活かされていると感じます。販促コンペは、普段担当していない業種の企画を考えられるので、企画を考える際のアイデアの幅が広がりました。また、企画書づくりも、書きたいことがたくさんある中で、10枚に凝縮させないといけないので、それをまとめる力や、審査員や協賛企業にささる書き方などを学びました。

そのことは昨年、ACCのゴールドやCM総研「BRAND OF THE YEAR 2021」の「消費者を動かしたCM展開 特別賞」などを受賞したHARIBOのテレビCM制作においても少なからず寄与しているかもしれません。

HARIBOの案件は、競合プレゼンだったのですが、私がビーコンに入社して2年目のときで、まだ実務で企画の経験が少なかったため、不安が大きくありました。その際に、販促コンペで協賛企業賞を受賞していたことが、自分への自信につながり、チームのコピーライターとして企画に貢献できたのではないかと思います。

また昨年は、販促コンペのゴールドをはじめとした各賞を受賞したこともあって、ビーコンコミュニケーションズの社内表彰である「ベスト・プレイヤー賞」と「インスピレーション・オブ・ザ・イヤー賞」をいただくことができました。

様々な賞をいただきましたが、個人的には「消費者を動かしたCM展開 特別賞」が一番うれしい賞でした。なぜなら、私が携わった企画で実際に人が動き、クライアントのビジネスの発展にもつながったことが実感できたからです。

―――企画を考える上で重視しているポイントはありますか?

人を動かすために重要なのはインサイトだと考えています。インサイトはどんな人の中にも存在します。それをいかにとらえて、落とし込むかが、企画の難しいところであり、同時に面白いところです。最近は企画を立てる際、とにかくインサイトを見つける作業から始めるようにしています。そして、そのインサイトはひとりよがりになっていないか、ターゲットとなる人の中に本当に存在するものなのかを検証し、分析を重ねます。

ただ、あくまで企画の中心にあるのは言葉だと考えています。そういう意味では、コピーライティングで学んできたことが、企画づくりのベースにあるように思います。

販促コンペのアイデアを考える中島氏。カフェや屋外で作業することが多い。

―――これからの販促コンペの意気込みを教えてください。

一緒に取り組んでいる相棒とよく話すのですが、心から満足のいく企画をまだつくれていないため、これからも挑戦し続けたいと思っています。もちろん、目指すはグランプリの受賞です。グランプリを受賞すると殿堂入りとなり、応募ができなくなると聞いていますが、本当はそれでも続けたいぐらいの気持ちです(笑)。なぜなら販促コンペは、普段仕事をしている会社の仲間とは一線を引いて、純粋に個人の力を試せる貴重な場だと感じているからです。上司に回答を一切求めず、業種の異なる相棒と企画の正解を探していく時間は、とても刺激的です。

その企画を、第一線で活躍されている審査員の方々に評価していただけるので、私にとって販促コンペは本当に貴重な機会です。真に人が動く企画を生み出していけるよう、これからも頑張ります。

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