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復権した「こだわり消費」調べ、考え、選び抜いて買いたい消費者

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事業や店舗運営を行っていく際には、コロナ禍による消費者価値観・意識の変化を知り、ますます重視度が高まりつつある「口コミ」をしっかりと味方につけていくための方策を検討していく必要がある。本稿では、野村総合研究所の松下東子氏が、同研究所が1997年から実施するアンケートをもとにコロナ禍が日本の消費者にもたらした影響について、消費意識に焦点を当てて解説する。

※本記事は、2022年8月1日発売の『販促会議』2022年9月号の転載記事です。

野村総合研究所
コンサルティング事業本部
マーケティングサイエンスコンサルティング部
プリンシパル
松下東子氏

 

様々な消費意識の中で、野村総合研究所では、「こだわり」感度と「価格」感度を切り口として消費者を4象限4つの消費スタイルに分け、その構成比の変化を追いかけています(図1)

【図1】 4つの消費スタイルの構成割合の推移

※図表はNRI「生活者1万人アンケート調査」(1997年、2000年、2003年、2006年、2009年、2012年、2015年、2018年、2021年)より引用。
※長期時系列比較のため、2009年以前の対象年齢に合わせて15-69歳に限定して集計。

「プレミアム消費」の復活 こだわりに重点シフト

最も大きな構成比の変化があったのが、2012年から2015年。ここでは、高くてもよいからとにかく楽に面倒なく買いたい、とする「利便性消費」スタイルが7ポイントも増えました。2015年といえば、スマートフォンの急激な普及が進み、消費者は多すぎる情報の中で自分のこだわりを見つけることに疲れてしまう、「情報疲労」の状態にありました。

雇用情勢が改善し、消費増税も相まって共働き家庭が増えたこと(=お金はあっても時間がない忙しい消費者が増えた)、また、「これ1つでいくらでも時間がつぶせてしまう」スマートフォンを持つことで、消費のための情報収集に割く時間やエネルギーがそちらに奪われてしまっていたということもあります。2015年から2018年にかけては、構成比はステイの状態で、2015年の環境・状態が維持されていたようです。変わらずスマホの利用は進み、雇用状況もよい状況が続いており、個別の消費意識でみても大きな変化はありませんでした。

そして、今回コロナ禍を経た2021年。2012年以降頭打ち状態にあった「プレミアム消費」=高くてもよいから自分の気に入ったものを買いたい、が2ポイント増えました。さらに、2015年に大きく減少した右下第4象限にあたる、しっかり情報を調べて、お気に入りのものを少しでも安く買うという「徹底探索消費」が、1ポイントとわずかではありますが回復しました。全体で見て、4象限の構成比の重点は、右側(「こだわり」)寄りにシフトしたことになります。

コロナ禍で生まれたもの 余剰時間と生活防衛意識

この背景には、余剰時間の増加と生活防衛意識、つまり先行きを見据えた節約意識の2つがあると考えられます。

―本記事の続きは、8月1日発売の『販促会議』2022年9月号で読むことができます。

月刊『販促会議』9月号

 
【巻頭特集】
リアル&SNS 口コミを使う!
店舗 新プロモーション
 
■OPINION
コロナ禍で復権した「こだわり消費」
よく調べて考えて選び抜いて買いたい消費者
松下東子(野村総合研究所)
 
投稿される場所や種類で変わる?
消費行動に与える「口コミ」の影響
池田紀行(トライバルメディアハウス)
 
■COLUMN
口コミで集客無双! 明暗を分ける最初の100件の投稿
成田直人(ジャパンブルーコンサルティング)
 
■INTERVIEW
決め手は“隙”の創出
「かつや」が話題を呼んだ“拡散”の秘訣とは
アークランドサービスホールディングス
Z世代の意見を取り入れたドンキの新業態
幅広い世代に支持される「キラキラドンキ」
キラキラドンキ ダイバーシティ東京 プラザ店
 
口コミ返信はPRの一部!
「誰もが見るもの」としての重要性を意識
セルリアンタワー東急ホテル
 
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■OPINION
不用意な口コミ対応を防ぐ
否定的な口コミの法的位置付けとその対応
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■第14回販促コンペ
一次通過者発表
 
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販促コンペで感じた、業務への好影響とは
サントリーホールディングス
 
コピーライターのステップアップに必要だったもの
販促コンペで機能する広告を学ぶ
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授業で学生たちが挑戦!
専門職大学でなぜ販促コンペに取り組むのか
開志専門職大学
 
【特集2】
買い物の“体験”を向上させる
最新 店舗DX
 
■OPINION
脱「店舗中心思考」で
店舗DXは成功する
宮田ひろ(リテールAI研究会)
 
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パーパスの実現に向けて
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ビックカメラの組織改革とDX化
野原昌崇(ビックカメラ)
 
リテールはテクノロジーとの
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シャディが取り組むメタバースの可能性
飯田健作(シャディ)
 
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顧客体験起点で店舗DXを考える
伊東英男(電通プロモーションプラス)
 
グローバルの先進事例に学ぶ
デジタルサイネージの活用法
中島美紗(アイランドシックス)
 
店舗のデータが収益を生む
注目されるリテールメディアの概況
稲森 学(アドインテ)
 
■TOPICS
購買行動に最適化したコンテンツ配信で
新しい店頭コミュニケーションを創出
電通プロモーションプラス
 
ツルハホールディングスと創り上げる
リテールメディアの推進と店舗DX
アドインテ
 
ソフトウェアで広がる
デジタルサイネージの活用
アイランドシックス
 
■販促の基本
オウンドメディアコンテンツ
成井五久実(スマートメディア)
 
■METHOD
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