不用意な口コミ対応を防ぐ 否定的な口コミの法的位置付けとその対応

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口コミは、閲覧者にとっては有益な情報源になり、企業にとっても、商品やサービスの参考になり得る。一方、否定的な口コミによって、企業や商品のイメージ、売上が低下するなど影響が及ぶ可能性もあり、その対応に頭を悩ませる担当者も多い。本ページでは、岡本健太郎弁護士に口コミ対応への心得を聞いた。

※本記事は、2022年8月1日発売の『販促会議』2022年9月号の転載記事です。
 

骨董通り法律事務所
岡本健太郎氏

 

口コミは、商品やサービスのほか、接客、広告宣伝など、様々な企業活動が対象となり得ます。また、口コミの投稿場所も様々です。口コミの投稿場所としては、例えば、①5ちゃんねるなどの匿名掲示板、②SNS、③ブログ、④価格.com、転職会議などの情報サイト、⑤Amazon、楽天などの販売サイト、⑥Googleの検索結果(Googleマップ)などが挙げられます。

こうした対象や投稿場所の多様性などから、否定的な口コミを完全に防ぐことは困難と思われます。ご相談の多くも、否定的な口コミを削除したいといった事後対応です。口コミの削除に加えて、投稿者への損害賠償請求等を希望されることもあります。

第三者の権利を侵害する違法な口コミ

口コミは、「○○の機能がない」といった事実の適示と、「使いにくい」、「もう買わない」といった感想や意見に大別できます。どちらか一方のみの口コミもあります。口コミの違法/適法の考え方は、「事実の適示」と「感想や意見」とで異なります。

ただその前に、否定的な口コミの全てが違法というわけではありません。違法な口コミとは、第三者の権利を侵害する口コミです。口コミにより侵害されやすい権利として、個人については、名誉権、名誉感情、プライバシーなどがあり、企業については、名誉権、営業秘密などがあります。名誉感情の侵害が侮辱ですが、企業については、感情がないなどとして、名誉感情の侵害になり難いとされています(図1)。

図1 名誉権と名誉感情

事実無根な口コミで誹謗中傷されれば、名誉権の侵害となり得ます。ただ、事実に基づく批判も社会的に有益ですし、表現の自由にも繋がります。このため、①公共の利害に関する事実であって(公共性)、②専ら公益を図る目的であり(公益性)、③適示された事実が真実であるか(真実性)、あるいは、真実であると信じるに足る相当な理由があるとき(相当性)は、違法とはされません。

また、感想や意見については、上記①から③は概ね共通しますが、④意見や論評の範囲を逸脱しなければ、違法とはされません。単に否定的な感想を投稿しても、それだけでは違法とはなり難いのです。同様に…

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