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顧客や企業を守り 不正対策に最善を尽くす――チェク・ジャパン

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写真 人物 プロフィール 布施一樹氏

布施一樹氏
チェク・ジャパン
AVP, 東アジア事業統括
ゼネラルマネジャー

日本オラクルを経て、2005年米メディアマインド(19年アマゾンに買収)の日本法人立ち上げに参画、後に日本法人代表に就任。15年デートラマ(現セールスフォース)の日本法人代表に就任、18年セールスフォース執行役員に就任、20年退任。21年11月、イスラエル創業のCHEQの東アジア事業統括GMに就任し現在に至る。

 

Q:世界的に見て、インターネット広告(デジタルマーケティング)においてアドバタイザーが抱えている課題とは?

A:未開拓地のデジタル荒野におけるマーケティング活動。

当社の調査によると、企業のWebサイトの全トラフィックのうち、平均して少なくとも11.3%が、ボット、自動化ツール、クリックファーム、クラッカーによる悪意のあるものであることがわかっています。マーケティング担当者は、まだまだ未開拓で、法律もルールも整備が不十分なこの「デジタル・ワイルド・ウェスト(デジタル荒野)」の世界で詐欺やフィッシング、乗っ取りなどから常に会社や顧客を守り、マーケティング活動をしなければなりません。

主要プラットフォームで偽のユーザが新規アカウント登録やオンライン入力フォームに登録した場合、せっかくDXを推進し、データを活用する段になっても、そのデータ自体がボットによって歪められ、マーケティング活動やトラッキング、分析に支障をきたすことになります。つまり、企業のWebサイトトラフィックの11%が自動化されたトラフィックで構成されている場合、レポートや測定に歪みが生じ、誤った情報に基づいた意思決定を行うことになります。

 

Q:インターネット広告におけるリスクとして、海外で注目されているものとは?

A:ボットによる「カゴ落ち攻撃」や不正な広告報酬の受領。

流通・小売業界では「カゴ落ち攻撃」と呼ばれている手法があげられます。これは、大きなセール期間などに、eコマース事業者がライバルのWebサイトに訪れ、限定品などの需要が高い商品を大量にカートに入れるというものです。実際に購入するわけではなく、ただカートに詰め込んで、制限時間までそのままにし、制限時間が切れるとまた同じことを繰り返すのです。その間、その商品は在庫切れとなり、せっかくサイトに訪問したお客さまは他の店で買わざるを得なくなります。カゴ落ちは通常、大量のボットによって実行され、高速で自動的に何千もの商品をカートに詰め込むことができます。

これは海外では珍しい攻撃方法ではありません。他にも悪意があるアフィリエイターは、ユーザが知らないうちにブラウザへクッキーを埋め込んだり、リスティング広告を作成したりすることで、実際にはビジネスに貢献していないにも関わらず、アフィリエイトの成果報酬を受領しているものもいます。

 

Q:注視すべきデジタルマーケティング活動のリスクとは?

A:ビジネス全体評価や企業価値にまで影響を及ぼす。

金融業界も不正トラフィックや偽ユーザについて関心を寄せています。JPモルガンがFinTechスタートアップを数百万ドルで買収しようとした際に、そのスタートアップ企業の創業者が膨大に水増しされた偽のユーザリストを作成し、JPモルガンを騙していたとして提訴されたニュースは物議を醸しました。このように、マーケティングの側面だけではなく、マーケティング活動で取得したデータがビジネス全体評価や企業価値にまで影響を及ぼしています。そして、多くの企業の財務担当者は、M&Aに関わる方まであらゆる業界、あらゆる役割を担った人が不正トラフィック、偽ユーザ、偽アカウント、偽ウェブに注目しています。

企業がクラウドを守るためにクラウドセキュリティを、APIを守るためにアプリケーションセキュリティを導入しているように、マーケターはGo-to-Market(GTM、市場進出)の取り組みとビジネスの評判を守るためにマーケティングのためのセキュリティで対策する必要があります。