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聴取者のリアルタイムの状況や行動に焦点 23年に体得すべき音声広告の定石――Spotify

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「Spotify」は、テレビやスマートフォンの画面から目を離している「オフスクリーン」時間を攻略する有効な武器のひとつだ。音声メディア特有のターゲティングの仕方と、今後のさらなる活用可能性について紐解いていく。

Spotify使用イメージ

リスナーの「状況」に狙いを定める

テレビやスマホの画面に視線を固定する「オンスクリーン」状態でのメディア接触時間帯は夜に偏りがちだ。一方、「Spotify」の利用率をみると、朝の通勤・通学時間帯に最初のピークがあり、夕方の帰宅時間に再びピークを迎える。オンスクリーンでの広告コミュニケーションは活況だが、その上で「オフスクリーン」を活用し、広告効果を高めることができる。

接触時間を踏まえると、「オンスクリーン」メディアは、帰宅後に自宅でゆったりと過ごしているときに特に多く接触することが想定される。一方、通勤や運動時、集中して作業しているときなど、より幅広い接触時間が想定される「オフスクリーン」は、聴覚でメディア接触しながら、どのような行動をしているかの推測が重要となる。いわゆる「ながら」だが、何をしながら聴いているのか、ということがポイントだ。

Spotify利用時の図

「Spotify」での広告配信時、「鍵となるのは、プレイリストです」とスポティファイの広告事業部は話す。「Spotify」で聞ける楽曲を集めたリストであるプレイリストは、スポティファイの専門チームが作成したもの、アルゴリズムによって生成されたもの、ユーザーが自発的に作成したものがある。

楽曲のジャンル/サブジャンルなどのメタデータを基に、「チル(くつろぎ)」「フォーカス(集中)」「ホリデー(休日)」「ワークアウト(運動)」など、リスナーの現在の状況(コンテキスト)別にプレイリストを分類・ターゲティングし、コンテキストに合わせて広告を配信するのだ。たとえば朝方は、元気が出るような曲のプレイリストにリスナーが集まる。時間帯から通勤、通学中ということに合わせて、気持ちを高めたいというリスナーの状況が推測される。

コンテキストに着目することで、メッセージの浸透度を高めることができる。ポイントは、そのリスナーがまさに聴取のタイミングで置かれている状況=コンテキスト、ということだ。通勤(Commuting)のプレイリストを聴いている人は、まさにいま、通勤している蓋然性が高い。

「当たり前と思われるかもしれませんが、『オンスクリーン』メディアと比較すると、その真価がわかりやすいかもしれません。たとえばジョギングの動画や記事、SNS投稿を見ている人は、そのタイミングでジョギングしているわけではないでしょう。ゼロではないですが、おそらく少ないと思います。一方、ジョギング用のプレイリストを聴いている人は、まさにジョギングしていることが想定されます。では、いまジョギング中の人に何を伝えるか、どう表現するか。リスナーのコンテキストに最適化することで、広告効果が高まるということです」(スポティファイ 広告事業部)

「Spotify」は、年齢や性別、居場所といったデモグラフィック属性や、スマホ、PC、スマートスピーカーといった視聴デバイスや接続方法、時間帯などでもターゲティングをすることができる。たとえば年齢と時間帯とプレイリストを組み合わせれば、『いま受験勉強中の人』にアプローチすることが可能だ。想定される広告対象商品としては、栄養ドリンクや栄養食品、あるいはチョコレートをはじめとするお菓子などが考えられる。あるいは受験後の学生を集めたい旅行・レジャーや、自動車免許の取得なども想定し得る。

プレイリストを活用し、「Spotify」での広告配信で成果を挙げた事例に、マッチングアプリの「Pairs」がある。広告を出したのは「クリスマスソング」を集めたプレイリストだ。クリスマス自体は12月24日、25日が本番と言えるが、プレイリスト自体はそれよりも1カ月以上前から聴かれ始める。

「日本ではクリスマスと言えば恋人と過ごすイメージが強いと思いますが、クリスマスソングを聞いて恋愛モチベーションが大きく高まっているリスナーにを訴求することで、キャンペーンを盛り上げられるというお考えでした」

結果、「Pairs」ブランドの認知率は、非接触者と比べて31.9ポイント増加。同様に好意度は33.9ポイント増、利用意向は33.4ポイント増と、「大幅な広告効果の伸長が見られました」

「この例は、運営企業であるエウレカさまが、スポティファイ公式のプレイリストをスポンサードし、『Pairs』サービスとリスナーのコンテクストをうまく結びつけていただいたケースですが、どのようなコンテクストに対し、どのようなプレイリストが考えられるか、については、当社からご提案することが可能です。さらにはデモグラフィックとのかけ合わせや使い分けについても考慮することができます」

「Pairs」のようなスポンサードタイプの場合、そのプレイリストを聴取しているリスナーには、スポンサー企業のブランド広告が優先して配信される。スポンサードは1社のみのため、プレイリストをまさに専有できるのも特筆すべきポイントだ。

ポッドキャストが音声広告の起爆剤に

「Spotify」では、興味関心軸でのターゲティングも可能だ。国内では、「Spotify」の利用データを基に推定した、リスナーの興味関心に合わせて広告を出すこともできる。興味関心を基にターゲティングする上で、より直接的な因子もある。音声番組(ポッドキャスト)のテーマだ。「Spotify」には世界で500万を超えるニュースや経済、英会話、フィットネスなどの音声番組がある。ポッドキャスト聴取者は国内でも伸びており、「Spotify」はそのけん引役でもある。

数値の画像

「『Spotify』の国内ローンチ直後は、音楽好きの方や若年層というイメージが強かったと思いますが、ストリーミング配信によるコンテンツ消費が広がり、利用者層の世代も広がってきました。昨今では、音楽だけではなく、ポッドキャスト番組を聴取する方も増え、音声メディアのユーザー層はさらに拡大しています」(スポティファイ 広告事業部)

米国や一部の国ではすでに展開を開始しているポッドキャスト広告は、動画などと同様に、番組部分の再生前、再生中、再生後に広告が挿入されるというもので、日本市場でも今後の導入が期待される。ポッドキャスト広告も好調な米国市場を見ると、『Spotify』に出稿する大手広告主の構成というのは、実は、テレビCMを流している広告主の構成とよく似通っているという。つまり、広告主自体が、テレビ広告と音声広告に垣根を設けていない、ありていに言えば、音声だからと言って変に構えていないということだ。他社よりも優位なポジションを築く上で、効果的であればてらいなく用いる、実用主義が感じられる。

「実際に音声広告を聞くとわかりやすいのですが、コール・トゥ・アクション(CTA)の使い方次第では、よりリスナーを惹きつけることができます。テレビCMなどの認知施策と同じメッセージを流すことで利用や購買意向を高めるのに加え、音声広告限定のプロモコードを流すことで、パフォーマンス広告的に活用することもかなり多いですね。いわゆる、フルファネルでの使い方がなされているように感じます」(スポティファイ 広告事業部)

2023年第一四半期のスポティファイの広告収益は3億2900万ユーロで、前年比17%増となった(為替差損益を除く)。広告配信がある無料版の月間アクティブユーザー数は3億1700万人。一大メディアとなってきているが、国内では、その他の広告メディアとの棲み分けで出稿を躊躇するケースも少なくない。

しかし、それは翻せば、音声広告を加味した広告キャンペーンの定石をまだ誰も獲得していない、ということでもある。

「利用意向の伸びの測定とともにミッドファネルでの使用もできますし、パフォーマンス重視であれば、検索数の上昇を見ることで、キャンペーン内での位置づけを明確にすることもできます。当社としても広告の営業組織を拡大し、より多くのマーケターの皆さまにSpotify広告をメディアプランニングに組み込んでいただきたいと考えておりますし、積極的にさまざまな情報提供ができるように努めていきます」(Spotify 広告事業部)

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スポティファイジャパン株式会社
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