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経営の基本は「美点凝視」 前向きさがこれからの不二家をつくる

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月刊『販促会議』で連載されている新しい時代における流通・小売・サービス業界で、自ら事業を牽引するキーパーソンに迫る「シン・トップの現場力」。第5回は不二家 代表取締役社長 河村宣行氏。コロナ禍でも増収増益を遂げた同社だが、河村社長が考える「現場力」とは。
※本記事は月刊『販促会議』6月号に掲載されています。

「洋菓子事業」と「製菓事業」のシナジーを創出する

──まず「不二家」についてご紹介いただけますか。

大きく分けると「洋菓子事業」と「製菓事業」の2本柱でビジネスを行っています。「洋菓子事業」は明治時代から100年以上続く不二家の創業事業で、「不二家洋菓子店」を中心にケーキの販売を行っています。「製菓事業」ではメーカーとして、「ミルキー」や「カントリーマアム」をはじめとするキャンディやビスケット、チョコレートなどのお菓子の製造、卸売を行っています。

私が不二家に入社したきっかけも、この両事業を行っていることでした。ケーキを始めとする洋菓子を手掛けているからこそ、他のメーカーよりもよりよいお菓子をつくれるに違いないと思い、不二家に入社しました。

入社後は「製菓事業」で飲料の営業からキャリアをスタートしました。「洋菓子事業」も「製菓事業」も長い歴史がありますが、それぞれの部門が独立しており、同じ社内でも別会社のように存在していました。私は長く製菓事業にいたのですが、40歳のときに新規事業の立ち上げで洋菓子事業にも携わりました。当時は2つの事業部を経験することは稀であり、不二家にとって2つの事業部があることは、他の会社にはない大きな強みだと改めて感じる機会となりました。

その後、営業部長、総務人事部長、広報室長などを経て、2019年に社長へ就任しました。就任当時、「洋菓子事業」は採算が取れない状況が十数年ほど続いていました。しかし、洋菓子事業は私たちにとって祖業です。不採算店舗の閉鎖など、経営改善に取り組みました。また、就任挨拶では「洋菓子事業」と「製菓事業」のシナジー創出を掲げました。

写真 店舗・商業施設 不二家洋菓子店 外観

──「洋菓子事業」では新しい形態での取り組みを進めていますね。

「不二家洋菓子店」はフランチャイズチェーンとして店舗数を拡大してきました。しかし、オーナーの高齢化や後継ぎがいないなどの理由でお店を閉める方が増えていました。そこで、力を入れ始めたのが。納品形式でのスーパー内の出店。スーパーのサービスカウンターの横などにショーケースを設置し不二家の販売スペースを確保していただくのですが、この形式だと当社では人件費や家賃などの負担が削減できます。

こうしたスーパーとの結びつきはもともと、当社の「製菓事業」が強かったので、出店できそうなスーパーの情報を得て、スーパー内店舗の出店を加速させています。この形式の出店は就任当時で約250店舗でしたが、2倍に届く勢いで店舗数を増やしています。これも2本柱のシナジーを意識したからこその取り組みだと思います。

こうした経営改善を行いつつ、商品も「高付加価値」「高品質」なものへとシフトし、商品あたりの単価も上げることができました。

写真 店舗・商業施設 不二家洋菓子店 内観

コロナ禍でも増収増益 対話を増やす機会に

──コロナ禍により、事業や店舗運営にはどのような変化がありましたか。

百貨店の地下食品売り場、いわゆる「デパ地下」が入場制限や閉鎖されたこともあり、地元の不二家のお店でケーキを買ってみよう、という方が増えました。実際に、お客さまから「久々に不二家のケーキを食べたらおいしかった」というお声もいただきました。

また、2020年から不二家のブランドキャラクターに男性アイドルグループ「Snow Man」を起用したところ、彼らを通じて若年層への認知を広めることができ、お店へ来てくださる若い方も増えましたね。

「製菓事業」では工場への数億円規模の設備投資を行った直後にコロナ禍に見舞われました。こうした逆境の中でも現場がアイデアを色々と出し、ヒット商品となる「カントリーマアム チョコまみれ」を世に出すことができました。

未曾有の状況でしたが、「洋菓子事業」「製菓事業」それぞれで――、

続きは、月刊『販促会議』6月号で読むことができます。

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