本記事は9月29日発売の『販促会議』2023年11月号 に掲載している特集「新たな消費の立役者いま、起用したいインフルエンサー40組」の転載記事です。
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コロナ禍の影響で、カラオケ業界は転機に直面している。家族や友人と楽しむイメージが強かったことから、感染対策の観点からおよそ3年間、カラオケから遠ざかってしまった人や、その楽しみ方を忘れてしまったという人も少なくない。そこで、カラオケ業界を再び活気づけるため、「JOYSOUND」を展開するエクシングは、通称「エモカラ」プロジェクトを開始した。
施策では、TikTok上で公開されるドラマシリーズと、歌唱キャンペーンの2つを展開。ドラマシリーズではインフルエンサーを活用し、カラオケと疎遠になっていた人との接点づくりを心がけた。本記事ではキャンペーンを担当した、エクシングの山里氏と長井氏に施策の制作背景を聞いた。
利用機会の減少が契機に 視聴者の“共感”がキーワード
今回開始したTikTokでのドラマシリーズは、コロナ禍でカラオケの利用機会が減ってしまった20代後半から30代前半をターゲットに、カラオケ市場全体の回復を目指すことを目的としている。学生時代にカラオケを楽しんだ経験のあるターゲット層に対し、ドラマを通じて再びカラオケを楽しむきっかけを提供することで、業界全体に新たな活気をもたらすことが狙いだ。
一方、同じく実施する歌唱キャンペーンは既存層をターゲットに、さらなる積極的な利用やJOYSOUNDの指名利用の促進を狙う。平成時代にリリースされた曲を課題曲として用意し、楽しいカラオケ体験を再発見してほしいと山里氏は話す。
そして、ドラマは、2~3分で視聴できる短尺の縦型ショート動画として、TikTokで展開を開始。山里氏によると、数あるメディアの中から、視聴者の“共感”を生み出すためTikTokを選んだという。「今や若い世代の多くが日常的に利用しているTikTok。その中でも、縦型ショートドラマの閲覧は近年増加傾向であるとわかりました。短い時間で高い満足感を得られる点が特長。今回の施策を行うには、最適な手段だと考えました」(山里氏)。
さらに、ドラマでは視聴者の日常生活に密着したストーリーを配信することで“自分も同じように行動してみよう”と、生活者自身と結びつけやすい状況が生まれるよう図ったという。
「ドラマ視聴の特長は、それぞれの視聴者が自身の経験や感情を物語の出来事や登場人物と重ね合わせ、感情移入がしやすい傾向にあることですよね。その結果、縦型ショートドラマには、映像内容への共感と、その後の行動における再現性が備わっていると思います。これも、私たちが選んだ大きな理由です」(山里氏)。
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心理的距離の近さを評価 インフルエンサー独自の強みとは
本施策では、TikTokでクリエイターとして活躍する10代から20代の男女5人を起用した。その理由は、彼らが視聴者との心理的距離が近いことを評価したからだという。
「視聴者にとって、毎日のように接触しているTikTokクリエイターの存在は身近に感じるもの。起用することで、親近感や共感を生み出せると考えました」(山里氏)。
その上で、インフルエンサーとの連携では、あえてブランドの特長に関する情報共有を最小限に抑えた点が重要だったと感じたと話す。
「先述のように、“共感”が目的となる今回のキャンペーン。そのため、最も大事にした点は、インフルエンサーとターゲット層が共通の価値観を持てるような物語にすること。例えば、私たちは高校時代にカラオケに熱中していた記憶はあっても、特定のカラオケブランドやメーカーへのこだわりはあまりなかったように思えます。つまり、インフルエンサーへの過度なブランドプッシュは避け、実際のカラオケ体験を表現して……
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