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近視眼的な判断に陥らず 「虫の目、鳥の目、魚の目」でデータを捉える

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「データドリブンなマーケティング」という言葉が新鮮に受け止められていた頃に比べると、もはやマーケティング活動におけるデータの利活用は、必須となってきている。データを利活用するためには、データを取得する必要がある。データを取得するためには、お客さまと直接つながる新たな接点をオンライン上でつくる必要がある…。やるべきことは見えていても、なかなかその実践は難しいもの。NTTドコモの市川亮祐氏が国内企業の現状やマーケティングDX実践のポイントを解説する。

月刊『宣伝会議』2023年11月号(9月29日発売)では、「どうやってオンラインで顧客接点をつくる?どんなデータを取得すればよい? 実践!『マーケティングDX』」と題し特集を組みました。ここでは、本誌に掲載した記事の一部を公開します。

NTTドコモ
スマートライフカンパニー
マーケティングイノベーション部
プロデュース推進担当部長
市川亮祐氏

2008年ディーツーコミュニケーションズ(現D2C)に入社し、ドコモメディア事業・媒体管理を担当。12年に電通デジタル・ビジネス局 業務推進部へと出向し、その経験を経て、16年にD2Cデジタルマーケティング事業本部を立ち上げ。20年D2C Rにて営業担当取締役に就任後、22年よりスマートライフカンパニー マーケティングイノベーション部において最適なマーケティング施策の提案に従事している。

 
Q.「マーケティングDX」の定義をどう捉えているか。

A.事業・業務のイノベーションの実現。

デジタル技術の活用により、「事業・業務のイノベーション」を実現することと捉えています。3年間にわたり、続いた感染症の影響は、生活者の消費行動や、企業における事業の在り方や、働き方を大きく変化させました。そのような環境だったからこそ、デジタル技術をフル活用することで様々なイノベーションが起きたと思います。

今後、さらなる変化が求められる中で大事になってくるのは、いかにオンラインとオフラインをハイブリットさせるか。さらに、その先の「新規事業、新商品の開発」や「既存事業、既存商品の改善、効率化」を実現することだと考えます。

 
Q.業務効率改善だけでなく、新たな売上を得るためのマーケティングDXにおいて必要なこととは。

A.明確なデータ活用の目的を設定。

マーケティングDXにより新たに構築された仕組みがあっても、その仕組みを正しく理解して、使いこなせることが重要だと考えます。例えば、当社には9600万の会員データ(2023年6月時点)があり、ひとつのIDにオンライン、オフラインの行動データや、決済データなどを紐づけることも可能です。しかし、こうした仕組みがあってもデータを正しく理解して、正しく使いこなせなければ、意味を持ちえません。仕組みを正しく理解する上で大切なのは、その仕組みに内包されたデータを正しく理解すること。その上で、明確なデータ活用の目的を設定して、PDCAを効率的に運用できるかが重要だと考えています。

 
Q.昨今のマーケティング活動ではデータ利活用に際してどのようなことが課題になっていると思うか。

A.オンオフの統合データを正しく理解すること。

「虫の目、鳥の目、魚の目」でデータを捉えていくことが重要です。データ利活用の初期段階においては、近視眼的な判断でのデータ活用に陥りやすい。具体的にはデータ活用を細かく運用しようと思う程、掛け合わせなどを重ね、結果的にデータボリュームが小さくなりすぎてパフォーマンスが出しにくい状況がよく発生してしまうのです。こうした状況の回避には、オンオフ統合データを正しく理解して、「虫の目、鳥の目、魚の目」でデータを使いこなすことが重要だと考えています。

 
Q.顧客にかかわるデータの利活用で、企業側からのニーズが高まっていると感じる活用方法や目的とは。

A.生活者のライフイベントを捉えたコミュニケーション戦略。

当社に対する期待としては比較的、検討期間が長い商品、サービスを取り扱う耐久消費財関連企業、金融業界のお客さまから、生活者のライフイベント変化のモーメントを捉えたコミュニケーション戦略の相談が増えています。生活者の就職、転職、結婚、出産、住宅購入、引越しなどのライフイベント変化のタイミングでの効率的なコミュニケーション設計や、ライフイベント変化の予兆を捉えて、ユーザーナーチャリングに活かすなどの相談が増えてきています。

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