昭和のテレビCMソングが流れる車両
森下仁丹は昭和風にラッピングしたタクシーを走らせる企画「#タイムスリップ仁丹タクシー」を開始した。来年で誕生120年を迎える「仁丹」のリブランディングの一環。昭和時代の大阪のタクシーでは、運転手が乗客に仁丹を配っていたというエピソードにちなんでいる。車内は仁丹が最も売れた昭和50年代の光景を再現。若者のレトロブームに乗り、若年層への訴求を強化する狙いだ。期間は3月11~24日。
走行範囲は東京23区、武蔵野、三鷹地区。外装と内装を変えた「フルラッピング車両」を1台、後方のサイドガラスに広告を掲示する「Canvas車両」を100台稼働させる。
若年層に訴求するため、あえて昭和のレトロなイメージを前面に押し出す戦略を打ち出した。若い世代のレトロブームが拡大しており、SNSでは懐かしい雰囲気の商品やイベントが拡散されている。昭和をイメージしたタクシーで注目を集め、降車時に仁丹を配ることで認知度改善につなげる考えだ。販売チャネルの主力は薬局だが、自社運営のECサイトやAmazonなどで若者の購入を促す。
車両は昭和時代のタクシーの定番だったトヨタの「クラウン」を採用。外観は「銀粒仁丹」のパッケージカラーである「緑」と「金」のツートンカラーで、側面には「ジンタン、ありやん?」という関西弁のメッセージが記されている。車内は昭和の面影が残るシートカバーやフットカバーを使用し、車内のラジカセから昭和中期のテレビCMソングが流れる。配車はタクシーアプリ「S.RIDE」を使用する。
仁丹は風邪や食あたりで命を落とす人が多かった明治時代の1905年に「赤大粒仁丹」として誕生。1929年に発売した16種類の生薬を丸めて銀箔でコーティングした口中清涼剤「銀粒仁丹」は現在でも同社の看板商品となっている。一方、客層の高齢化が進んでおり、現在のメインは70代。売上もピーク時の40分の1となった。同社は若者に仁丹を訴求するため、2月11日からリブランディングを開始した。
昭和には喫煙習慣のある人がエチケットとして喫食することが多かったが、現在は気分転換で使用するシーンが増えており、ミントタブレットなどが競合商品とみている。医薬部外品として様々な効能を持つ優位性を訴求する考えだ。
リブランディングとして、ブランドサイトのリニューアルやブランドムービーの公開、Xアカウントの開設なども実施。3月9~10日には大阪梅田駅で銀粒仁丹を食べてアンケートに回答することで、オリジナル景品が当たる巨大ガチャにチャレンジできるイベントを開催した。
注)記事中に記載していた元号に誤りがあったため訂正しました。正確には本文の通り「明治時代」です。
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