新ジャンル市場の顧客獲得に引き続き注力
キリンビールは4月、発売20年目を迎えた新ジャンル「キリン のどごし<生>」をリニューアルした。2023年10月の酒税改正によって新ジャンル市場は縮小傾向にある。一方、物価高騰による節約志向の高まりで、手頃価格の「エコノミーカテゴリー」(発泡酒・新ジャンル)のニーズは今後も根強いとみられ、リニューアルをきっかけに顧客基盤の拡大を目指す方針。中長期的には新ジャンルの多くが淘汰される中で、上位ブランドだけが生き残るとみており、同社は引き続き新ジャンル市場への投資を継続する方針だ。
同商品は2005年に発売。飲んだ瞬間の飲みごたえや、飲み終わりの爽快な「後キレ」などが評価されており、2023年12月までの累計出荷本数(350ml缶換算)は200億本を突破した。
中味は発売以来15回のリニューアルで進化し続けてきた。今回はホップの使用比率変更により「トップの飲みごたえ」と「後半の後キレ」を強化。「進化し続けて20年目」のメッセージをパッケージの裏表に配置し、味を磨き続けるブランドの姿勢と長期間選ばれていることを表現した。水滴や炭酸を感じさせるようなシズルの動きも強化し、「爽快なうまさ」を表現しているという。
酒税改正によって2023年10月からビールの価格は350ミリリットルあたり約6円値下げ、新ジャンルは約9円値上げとなった。メーカー各社は相対的に購入しやすくなったビールカテゴリーに新商品を集中させており、新ジャンルは苦戦を強いられている。同社によると、店舗ではビール売り場が拡大する一方で新ジャンルは減少しており、下位ブランドの取り扱いや露出が減ることでブランド淘汰が進んでいるという。
一方、現状では価格差は埋まりきらず、2026年の再改正までは市場最大規模の重要なカテゴリーとして存在し続けるとみている。手頃な価格とおいしさ、親しみやすさなどを前面に押し出し、「気軽に好きなビールを楽しみたい」というニーズに応え続ける方針だ。
広報担当者は「激しい競争や酒税改正など厳しい外部環境の中で、多くのお客さまに愛され、20年目という節目を迎えることができた」と話した。市場が縮小しても「新ジャンル市場内でのお客さま支持獲得に十分量の投資を継続する」と意気込みを語った。
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