令和のマスメディア「縦型ショートドラマ」の現在地 ―注目のクリエイター集団「ごっこ倶楽部」に聞く

近年、縦型ショートドラマに注目が集まっています。TikTokを中心に2分から3分の短尺で織りなされる物語がタイムライン上に流れてくると、つい目を奪われ、いつのまにか完全視聴、続きが気になり、のめりこんでいく感覚。筆者はこのループが止まらず、完全にショートドラマの世界に浸っています。周りの友人や家族に話を聞いても、縦型ショートドラマが自分のタイムラインに流れてくることが多いそうで、すでにSNS上では一大コンテンツになっているといえるのではないでしょうか。

 

そんな縦型ショートドラマの中でひときわ目立つクリエイター集団の「ごっこ倶楽部」をご存知でしょうか?フォロワー数170万人以上、日本テレビやNTTドコモをはじめ企業とのタイアップ企画で多くの実績を誇り、TikTok上半期トレンド大賞2024では「ショートドラマ」で大賞を受賞。2021年に結成された縦型ショートドラマを作り続けているクリエイター集団で、日本の縦型ショートドラマを牽引しています。

 

今回は縦型ショートドラマの世界にどっぷり浸かっている、いちユーザーとして「ごっこ倶楽部」を運営するGOKKO 代表取締役の田中聡さんにショートドラマの魅力を取材しました。

 

※本記事は情報、メディア、コミュニケーション、ジャーナリズムについて学びたい人たちのために、おもに学部レベルの教育を2年間にわたって行う教育組織である、東京大学大学院情報学環教育部の有志と『宣伝会議』編集部が連携して実施する「宣伝会議学生記者」企画によって制作されたものです。企画・取材・執筆をすべて教育部の学生が自ら行っています。

※本記事の企画・取材・執筆は教育部修了生・櫻井恵が担当しました。

写真 人物 GOKKO 代表取締役の田中聡さん。

GOKKO 代表取締役の田中聡さん。

経験者バイアスがないことが奏功 経験者がほとんどいない状態で立ち上げ

――「ごっこ倶楽部」は役者、脚本、監督、カメラなど全てインハウスで運用されていると伺いました。映像制作の経験を持つ人たちが集まっているのでしょうか。

現在は経験者採用を行っていますが、立ち上げ当初は脚本を含めて、ほとんど未経験者で制作していました。ただ、逆に経験者バイアスを持っていなかった点が「ごっこ倶楽部」の今の成長につながっているかもしれません。

縦型動画やそれを流すTikTokというプラットフォームの性質上、同じ画角で映し続けるようなコンテンツはユーザーにスキップされやすく、素早いカット割りかつ短尺でも急激なストーリー展開が求められます。これらは従来の横型動画の世界では、必要のなかった要素だと思いますし、そういう要素があるからこそ、未経験メンバーのつくりだすショートドラマが支持されたのではないかと思います。

――立ち上げ当初は、ほとんど未経験の方たちでコンテンツがつくられていたと聞いて、驚きました。そもそも中国でショートドラマが盛り上がっていることに注目したのが、縦型ショートドラマへの参入のきっかけと伺っています。ショートドラマに魅了されたポイントはどこですか?

視聴者目線で言うと、スマートフォンが日常生活に欠かせなくなり、動画も縦型がデフォルトになっていたこと。また投稿したコンテンツについてユーザーからのコメントが生まれやすく、ユーザーとのインタラクティブ性が非常にマッチしていると思いました。このあたりが縦型ショートドラマの魅力に感じた部分です。

――私も視聴者のひとりとして、ショートドラマがTikTokを中心に頻繁に流れてくるようになったことを実感しています。ショートドラマ専用アプリも続々と誕生しています。ショートドラマ市場が拡大している背景にあることとは何でしょうか。

プラットフォームの進化が影響していると思います。TikTokのサービス開始当初は、投稿できる最大の尺が15秒でしたが、それから60秒、3分、10分と尺が伸びていきました。これは、プラットフォーム側がユーザーの滞在時間を延ばし、可処分時間を増やしたいという狙いがあるためです。

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