2024年2月、ふくらはぎに特化した健康家電「ゴリラのひとつかみ」が発売された。販売元は、ニッチな商品開発で定評のあるドウシシャだ。発売するや否や、ECモールから商品が消えるほどの売れ行きで、現在も品薄状態が続いている。ライバルは着圧ソックス、価格は5000円(税別)。家電らしからぬ特徴が多い「ゴリラのひとつかみ」は、どのように開発されたのか。
「ふくらはぎ」の健康家電はブルーオーシャンだった
──健康家電の「ゴリラのひとつかみ」が絶好調です。品薄状態が続いていると聞きました。
「ゴリラのひとつかみ」は、2024年2月に発売した健康家電です。エアーでふくらはぎを力強く圧をかけるのが特徴。SNSでは“痛気持ちいい”と話題になっています。現在は「ゴリラのひとつかみ」の他に、「ゴリラハイパワーシリーズ」と題して計3種類の商品を展開しています。2024年は50万個販売する見込みです。
ドウシシャでは、「ゴリラのひとつかみ」の他に「ゴリラのひとつき」「スーパーゴリラのひとつかみ」も販売。計3種類で「ゴリラのハイパワーシリーズ」として展開している。
──開発した当時は、ここまで売れることを予想していらっしゃいましたか。
もちろん自信を持って発売しましたが、ここまで売れるとは思っていなかったのが正直なところです。
「ゴリラのひとつかみ」を企画し始めた当時は、若年層向けの美容家電や健康家電を開発しようという方針がもともと部内で発表されていました。その方針に沿って商品を企画したようなイメージです。
ドウシシャは、ニッチな市場に向けてターゲットに刺さる商品を開発することが1つの特長となっている会社です。今回もまだ商品が発売されていないようなブルーオーシャンを狙って、企画していきました。
しかし、健康家電と聞いて私が最初に想起したのはマッサージ機。どこの企業からも様々な商品が発売されている領域でした。しかも私には実際にマッサージ機を購入して利用した経験もなく。一般的に誰もが思いつくような肩や腰などの部位をほぐす商品を思い浮かべていました。
そこで、実際に家電量販店の健康・美容家電売り場に足を運んでみると、健康家電カテゴリの売り場に変わり映えがないことに気づいたんです。やはり肩や腰などのよく見かける健康家電ばかりで、価格を見ると約2~3万円程度。ここに参入すると勝てないなと思いましたね。
そこで思いついたのが脚。とりわけふくらはぎでした。立ち仕事をしている人やむくみを気にする方々には欠かせないふくらはぎのケアですが、健康家電を買ってまでリラックスを試みる人は少ないですよね。皆さん、レギンスや着圧ソックスで済ませてしまう人が多い。
ですが、ふくらはぎに特化した健康家電が全く販売されていないわけではなかったんです。もちろん販売されていたのですが、ある製品が一強といった状況でした。
しかし裏を返せば―――
本記事の続きは、月刊『販促会議』2024年12月号でお読みいただけます。