※本記事は月刊『宣伝会議』2月号の連載「米国広告マーケティング事情」に掲載されています。
潜在ユーザーは2500万人 社会インフラとしての実装目指す
今や外出時に欠かせないものとなったスマートフォン。一方で、長時間外出する際、心配なのがバッテリーの残量だ。実際に外出中に電池切れを起こしてしまい困った経験のある人も多いのではないだろうか。そんな課題を解決するのが、INFORICH社の提供するモバイルバッテリーのシェアリングサービス「ChargeSPOT」だ。2018年のサービス開始以来、徐々に設置場所を拡大し、現在では、コンビニエンスストアや駅など、日常的によく使う場所からイベント会場まで、国内だけで約4万5000台のバッテリースタンドを設置している。
設置台数だけでなく、ユーザー数も増加しており、国内の累計利用者数は700万人を突破した。月間のアクティブユーザーも約100万人に達している。しかしながら、同社マーケティング部の北條貴頌氏はまだ伸びしろがあると言う。日本のスマートフォンユーザーは約9600万人。そのなかで、外出時に充電を必要とするのは約4割。シェアリング・バッテリーに興味を持つ人の割合を掛け合わせると、潜在的なユーザーは2500万人にも上る試算になるからだ。
駅内やコンビニ、店舗といった屋内空間だけでなく、最近は屋外にも設置されるようになった「ChargeSPOT」。利用者は専用のアプリやLINEからバッテリースタンドを探すことができる。
大胆な投資判断によりローンチ初期に認知を獲得
このように、ポテンシャルを秘めた「ChargeSPOT」だが、同社CEOの秋山広宣氏が事業を立ち上げたきっかけは、中国で同様のサービスを目にしたことだった。すでに成功していたそのサービスに着目した秋山氏は、香港で同じくモバイルバッテリーのシェアリング事業を行う企業と提携し、日本での展開を開始したのだ。
しかし、その頃の日本国内には、モバイルバッテリーをシェアする発想そのものがなかったという。「当初は、お店にバッテリースタンドの設置をお願いしても『何ですか?』と気かれることもよくありました」と北條氏は当時を振り返る。
…この続きは12月27日発売の月刊『宣伝会議』2月号で読むことができます。
