日本生命、トヨタ自動車などを皮切りに始まったフジテレビのCM差し止め。広告主企業70社以上がACジャパンのCMに差し替えをしたほか、系列局でも同様の動きが広がっている。
そんな中SNS上で話題になっているのが、公益社団法人ACジャパンによる全国キャンペーンのCM「決めつけ刑事(デカ)」。CMの内容自体も議論を呼んでいるが、CMを企画した制作者は反響をどう見ているのか。元々意図していたメッセージも含め、話を聞いた。
SNSの投稿に端を発する「決めつけ」に問題提起
まず「決めつけ刑事」のCMについて、スクリプトとともに内容を見ていこう。
俳優の嶋田久作演じる強面のベテラン刑事が、容疑者に迫る場面を描いたCM。迫力満点で「お前がやったんだろ。」と容疑者を追及するが、実はその根拠が、知らない人のSNS上の投稿ひとつだったと判明する。
「決めつけ刑事」篇(60秒)※ほかに15秒、30秒も有。
容疑者:刑事さん、本当です。僕はやってません。
女性刑事:どうします?
男性刑事:証拠がない以上、一旦釈放ですかね。
ベテラン刑事(嶋田久作):いや…
お前がやったんだろ。
容疑者:はぁ? 証拠は?
SE:バァン!!(机を叩く音)
ベテラン刑事(嶋田久作):知らない人がつぶやいてんだよ!!
容疑者:はぁ!?
NA:誰のどんな投稿も、
すべてを鵜呑みにして
追い込んでいく。
その名も、
決めつけ刑事!!
S:あなたも、こうなっていませんか?
決めつけ刑事(嶋田久作):はい、人生終了〜
若手刑事:真犯人が自首してきました!
決めつけ刑事(嶋田久作):え?
容疑者:ほらぁ。真犯人みつかりましたよ。
聞いてます?あやまってくださいよ!ねぇ!
CI:ACジャパン
間違った「決めつけ」で潔白の人を追い込んでいた“決めつけ刑事”。CMは「あなたも、こうなっていませんか?」という問いで締めくくられる。
各社のフジテレビでのCM放映差し止めに伴い生じた空き枠で本CMが多数流れ、SNS上では「フジテレビはSNSユーザーを批判している」「自虐だ」「世の中を風刺している」などさまざまな反響を呼んでいる。
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ACが掲げたテーマは「不寛容な時代」
そもそもACジャパンのCMは、どのようにしてつくられているのか。
まず一般生活者アンケートをもとにACジャパンがテーマを設定し、それを全国の会員広告会社に説明(オリエンテーション)を行う。それに対して広告会社が企画を提案し、審査会で選ばれたものが制作・放映へと進む、という流れだ。
2024年度のテーマは2つで、「不寛容な時代~エンパシーをヒントに」と「防災」だった。そのうち前者のテーマのもとで選出されたCMが、「決めつけ刑事」だ。
ACはテーマの意図を次のように説明している。