日本におけるコカ・コーラ製品の製造・販売などを行っているコカ・コーラボトラーズジャパン。同社のMD企画課は来店したショッパーに製品を手に取ってみたいと思ってもらう売り場のため、日々、什器や資材を開発している。本記事では同課の「ワクワクする買い物体験」のつくり方に迫った。
※本記事は月刊『販促会議』2025年3月号の抜粋記事です。
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コカ・コーラ ボトラーズジャパンには、社内唯一のクリエイティブ部門「MD企画課」がある。店頭で使用する什器や自動販売機の資材などのマーチャンダイジングツールから、飲食店のメニューやポスター、他部門のコーポレートデザインまで、幅広いデザインやツール制作を手がけている部門だ。
ショッパーと小売のニーズを満たす売り場づくり
そのMD企画課が目標として掲げているのが「ワクワクする買い物体験」。買い物が楽しいと感じてもらうため、ショッパーの五感に訴えかける仕掛けづくりを最も意識していると話すのは、MD企画課のマネージャーを務める田中仁道氏だ。
「近年はコロナの影響もあり、買い物が無機質で短時間かつ計画的に済ませるものになっていると感じます。その中で、日常の買い物を親子や友人と一緒に楽しめるひと時に変え、什器や資材で自社製品のファンになっていただくきっかけをつくるのが私たちMD企画課の役割です。視覚や聴覚、触覚などでショッパーへ訴えかける売り場をつくり、買い物の情緒的価値を生み出すことを意識しています」(田中氏)。
MD企画課ではインサイトリサーチのために実際にスーパーなどを訪れ、ショッパーの視点から「惹かれる什器」の特徴を探ることが当たり前になっていると同課リーダーの猪俣浩之介氏は話す。
社内会議ではリサーチで得た現場の情報や、ショッパー・小売からのニーズに基づいた什器開発の話し合いを頻繁に実施。各小売の課題を什器でどのように解決するか、そしてその什器は売り場にマッチする仕様であるかを主に議論しているという。
「当然ながら売り場コンセプトやターゲット属性、高級路線か地域密着型かなどの方向性は店舗ごとに異なります。当社も以前は小売ごと、売り場ごとの特徴を十分に理解できておらず、例えばトレードマークである赤色を基調とした資材を提案しても、売り場イメージと合わないという理由で受け入れられないこともありました。
だからこそ、小売の課題を什器でどのように解決するか、そしてその什器は売り場に合っているかは慎重に議論します。大切なのは、ショッパーにお買い物を楽しんでもらいたいという共通目的を軸としながら、小売流通の要望と自社ビジョンとのバランスを取った売り場提案だと思います」(猪俣氏)。
親子で一緒に楽しめる什器ミニ缶需要の取り込みで展開拡大
猪俣氏によると、2023年7月に開発した「自動販売機風」什器は、買い物の情緒的価値を創出していくことを意識したという。
店頭に設置した「自動販売機風」什器。子どもでも飲み切りやすいミニサイズの缶を並べた。
「『自動販売機風』什器は、店内で子どもが遊べて楽しい什器が欲しいという小売のニーズから企画したものです。コンセプトは『初めて見た子どもたちがワクワクし、親子で一緒に楽しめる什器』。子どもが自動販売機を使う大人のマネをしたくなるデザインを目指しました。また、通路にはみ出し過ぎないよう奥行きをスリムにして省スペース化を意識した上で、スイッチの位置や収納本数にもこだわり……
……月刊『販促会議』2025年3月号では、本記事の続きをお読みいただけます!また店頭で「買いたい」をつくった什器・POP・パッケージの成功事例やデジタル時代におけるDMの価値についても特集。その他「人が集まる、商品が売れる」アイデアと事例を多数紹介しています。
