Podcastだから好きな人だけ番組を聴いてくれればよいと完全に振り切れた! 「マユリカのうなげろりん!!」神吉プロデューサーに聞く

再生数だけでは測れない音声メディアの強みとは

――ラジオはリスナーとのエンゲージメントの深いメディアだと思いますが、神吉さんはどのように捉えていますか?

ラジオはリスナーさんとの結びつきが非常に濃いと思います。うなげろりんで以前、イオンモールさんとタイアップした際にその強さを実感しました。ヘビーリスナーの担当者様からお話をいただき、全国45箇所のイオンモールのサイネージに番組のオリジナル動画を流すというまさかの企画だったのですが、動画を見るためだけに全国各地の店舗にリスナーさんが駆けつけてくださいました。本当に足を運んでいただけるのかと不安もありましたが、サイネージで取り組んだキャンペーンの中では過去一番反響があったそうです。

普段、スポンサーに対して広告営業をする中で、ラジオの再生回数と動画の再生回数を比較されてしまい、ラジオの魅力が十分に伝えきれていないと感じることも多いです。

たしかに、再生数という基準だけでは動画には絶対勝てませんが、イオンモールの例も踏まえると、リスナーさんへ行動を促す力やコンテンツへの愛着度の高さは音声メディアの強みだと思っています。

――イオンモールでのキャンペーンのように、リスナーが提案してくださったことを寛容に受け止めるのがラジオならではの魅力のひとつだと思いました。

実は、2月16日に番組の公開イベントを開催したのですが、イベントのオリジナルグッズを作ってくださっているのもリスナーさんです。

「私は普段メーカー勤務でグッズやおもちゃを作っています。番組のファンとしてぜひグッズ制作に協力させてください」とメールをいただいたことがきっかけです。普通、グッズ化をするときは番組のことを全く知らないメーカーさんに「こういうグッズをつくりたい」と、趣旨から説明しますが、理解を得るのにどうしても時間がかかってしまいます。

けれども、リスナーさんから直接お声がけいただくことで、番組を好きゆえに、番組の文脈を捉えた熱量のある提案をしていただけるので、番組とリスナーさんとの相互協力でいいものができていると感じています。

実データ グラフィック 部屋と捨て猫とさゆりKV

2月16日開催された番組発のイベント。

Podcastとうなげろりんの未来

――Podcastについて、直近のデータでは、全年代の利用率は15.7%に対して、15〜19歳が32.8%、20代では25.0%が利用されているという結果が出ており、若い層の利用率が多いと伺います。若年層を中心にますます市場が拡大していくだろうと思っていますが、どう見ていますか?(出典:PODCAST REPORT IN JAPAN 第4回ポッドキャスト国内利用実態調査)

うなげろりんの配信を始めた3、4年前は、マユリカさん、スポンサー企業にもPodcastの存在すら知られていない状況でした。でも、今はPodcastがどんどん世の中に浸透し、誰もが知るような有名芸能人も新たに番組を始めています。暇なときに自然とYouTubeのアプリを開くのと同じ感覚で、Podcastもみんなが当たり前に聴くようになったらいいなとワクワクしますね。

――うなげろりんの今後の展望はいかがですか?

“ビキニ写真集”のように、「なんでその企画をやろうとしたの?」という興味の入り口をつくり続けることが何よりも大事だと思っています(笑)。一瞬では趣旨を理解できないくだらないことを永遠にやり続けることで、話題が生まれ、リスナーさんと新しい試みに挑戦できたり、新規のリスナーさんが聴きにきてくださったりすると思うので、面白いことは惜しまずにやり続けたいです。

【取材を終えて】
リスナーとして番組誕生秘話やコンテンツ戦略などの裏話を直接お伺いできたことが非常に光栄でした。取材を通して特に印象的だったのは神吉さんのラジオ愛とリスナーに寄り添う姿勢でした。リスナーが友人にシェアしやすい行動設計、リスナーを熱狂させるコンテンツ設計など打ち手の数々は、神吉さんがラジオという媒体とリスナーに徹底的に向き合っているからこそ生み出されているものなのだと感じました。学生記者ではありますが、一人の社会人としても非常に学びのある時間となりました。番組リスナーの方々も含め、読者の皆さまにはぜひ読んでいただきたいです(櫻井)。

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