資生堂は2019年に、企業ミッションを「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD(美の力でよりよい世界を)」と定め、美しく健やかな社会と地球が持続していくことに貢献すると発表した。そんな同社が、2020年に立ち上げたブランド「BAUM」。サステナブルなプロダクトは売るのが難しいと言われる中、「樹木との共生」というテーマを掲げる同ブランドは、なぜ愛され続けるのか。
本記事は月刊『販促会議』2025年6月号の転載記事です。
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資生堂は2019年に、企業ミッションを「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD(美の力でよりよい世界を)」と定めた。100年先も持続的に輝き成長し続ける企業を目指し、社会課題の解決や環境負荷軽減などに取り組むとしている。
「BAUM」は、そんな同社の理念を投影し、ビューティービジネスそのものでサステナブルな循環を実現しているブランドだ。テーマは「樹木との共生」。パラベン、シリコーン、合成着色料を使用せず、90%以上を自然由来の素材から製造しているという特徴を持つ。
2020年に誕生したスキン&マインドブランド「BAUM」。「樹木との共生」をテーマに、アップサイクル木材を使用したパッケージ開発や植樹活動を行っている。2024年4月には、スキンケアライン5品を、新たな樹木成分「ひのき水」を配合した新処方にリニューアルした。
サステナブルだけじゃない多角的なブランドの魅力
「BAUM」グローバル コミュニケーション マネージャーを務めるカレメルアズサ氏は、同ブランドの開発当時を振り返り、「環境に配慮していること以外の魅力をきちんと伝えることが重要だった」と話す。
「商品パッケージに家具を製造する過程で発生した小さい木材を活用したり、レフィル商品や再生利用素材を積極的に採用したり……。そういったサステナブルな取り組みや環境配慮は、持続可能な社会のために必要です。そして、その取り組みに共感して商品を購入してくださるお客さまもいらっしゃいます。
しかし、商品の魅力がサステナブルであることだけでは、ブランドに親しみを持ち、買い続けてもらうことが難しいのも現実。『BAUM』においては、使い心地の良さ、気軽に森林浴気分を味わえること、パッケージのスタイリッシュさ、サステナブルであることなど、それらすべてがブランドの多角的な魅力になっていると考えています。『環境によい商品だから使う』のではなく、『使い心地が好きだから使う、そうしたら自然と環境にもよいことをしている』という体験を提供できるよう、意識していますね」(カレメル氏)。
そこで「BAUM」はまず、アップサイクル木材を使用しつつ、デザイン性の高い商品パッケージを訴求。インテリアになじむシンプルさが多くのファンを生んでいる。木製パーツにおいては、レフィルを詰め替えて愛着を持って使用してもらいたいという意図もあったとカレメル氏は続ける。
さらに昨年のリニューアルでは、保湿・肌保護のため日本人になじみがあるひのきから抽出したひのき水を配合し、より樹木の恵みを肌と心で実感できる仕様に変更。その他、樹木を素材として使うだけではなく、サステナブルな循環を生み出すための取り組みも実施する。……
……本記事の続きは、月刊『販促会議』2025年6月号にてお読みいただけます。
